自治体でのメタバース“ovice”活用事例まとめ
地域住民の生活に身近な行政を行う地方公共団体(自治体)。暮らしに不可欠な公共サービスの提供をはじめ、公共施設の運営管理、地域経済の活性化など、多種多様な役割を担っています。また、地域の魅力を伝えるイベントを開催し移住を促進したり、地域で就学する生徒のサポートに力を入れたりと地域住民のニーズに則してさまざまな取り組みが行われています。
こうした活動において、近年ではICTを使った取り組みも広がっています。中にはメタバース「ovice」を活用することで、参加者の間口が広がったり、より実効性の高い活動になった、という成果が見られます。
この記事では自治体が開催した「移住・UIターン促進」「市の施設の見学」「不登校支援」の3つの取り組みにおいて、実際にメタバース「ovice」を活用した事例を紹介します。
目次
1. 移住・UIターン促進、転職フェア
NIIGATURN/新潟県(新潟県産業労働部しごと定住促進課)
「NIIGATURN」とは、新潟県へのUIターンの促進を目的としたIT人材向けのキャリアイベント。新潟県への移住を考えている人に必要なさまざまなコンテンツを提供する催しです。
新潟県内の企業の担当者の方と直接話せたり、移住に関する講演を聞けたりします。イベントは、新潟県産業労働部しごと定住促進課の主催で行われています。
2022年に開催されたイベントでは、oviceを活用。会場の上部には「暮らしのコンテンツ」の講演エリアを設けYouTubeのライブ配信を行い、下半分の左右に企業の担当者と直接話せる企業ブース、中央に企業登壇スペースと会議室が設置されました。
oviceの「会議室」機能も利用し、中央に6部屋×2箇所の合計12部屋を用意。周囲に聞こえてほしくない質問でもしっかりとコミュニケーションできるようにとの考えだそうです。実際の利用も多く見られたとのこと。
参加者への声かけにはチャット機能をフル活用。「画面の右下で待っています!興味あればぜひお声かけください」というようなメッセージを、チャット欄に投稿すると、そのチャットに気付いて移動してくる方もいらっしゃったそうです。
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新潟県でのovice活用事例
オンライン相談会・転職フェア/東京都・島根県
2023年には、新潟県の他にも東京都専門職オンライン相談会や、島根県内のIT企業と話せる「Go島根!ITエンジニア転職フェア@オンライン」の会場にもoviceが採用されています。
2. 小学生のユニバーサルデザイン見学
ユニバーサルデザインを見学/浜松市(浜松市UD・男女共同参画課)
浜松市にはベンチや階段などにユニバーサルデザインが施されているエリアがあり、市内の小学生4年生から中学生を対象とした、そのユニバーサルデザイン施設の見学と体験を開催しています。
2022年は、そのうちのひとつ「アクト通り」を再現したバーチャル空間をoviceで作り、オンライン上でユニバーサルデザインを見学してもらいました。デザインは浜松未来総合専門学校の協力のもと作成されました。
このオンライン見学の対象は一部小学生でしたが、開催後には他の小・中学校にも公開。また一般の方に向けても、市のホームページにて公開をしています。開催期間中には、約30名の方が自由にバーチャル空間を体験しました。
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浜松市でのovice活用事例
<参照>UD学ぶバーチャル空間 浜松・追分小で体験会|中日新聞
3. 不登校支援
「オンラインの居場所」/三重県(三重県教育委員会)
三重県教育委員会では2022年7月に「オンラインの居場所」を立ち上げました。この取り組みは年間を通して定期に開催され、不登校の状況にある中学生や高校生が、他者や社会とつなが るきっかけを得たり、自身の興味・関心の幅を広げたり、強みに気付いたりできるようになることを目的としています。
oviceを活用し、参加者同士の交流や、ファシリテーターとの相談に役立てています。顔が映らないことから、同県教育委員会のご担当者は「参加する生徒が入りやすい環境」であると感じているそうです。
<画像出典>YouTube:【ovice活用事例/フルVer】三重県教育委員会
「U@りんくす」/宇都宮市(宇都宮市教育センター)
宇都宮市では2023年5月より、oviceを使ったデジタル適応支援教室「U@りんくす」の活動をスタートしています。このデジタル適応支援教室は、さまざまな理由で学校や適応支援教室、フリースクールなどとつながっていない不登校の児童・生徒が対象です。
自分のペースで興味関心のあるものを選べるようにとの考えから、ovice上に掲載する学習や体験系などの動画も増やしていく予定だそうです。
<画像出典>YouTube:U@りんくす 説明会動画
<参照>下野新聞|不登校支援デジタル教室スタート メタバース活用し交流 宇都宮市
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不登校支援・フリースクール・通信制高校でのメタバース“ovice” 活用事例5選
「誰にでも使いやすい」ovice
ICTの活用によって、現地に足を運ぶことなく、必要な情報を入手できたり、新しいことを学んだりすることが可能になります。しかし一方で、操作が難しいツールだったり、あるいは不特定多数の前で自分の存在を主張するようなデザインの場合には、イベントや活動への参加を難しくしてしまうこともあります。
ビジネスメタバースのoviceはパソコンのウェブブラウザからアクセスし、表示名を設定して使うことができます。また、自分でカメラをオンにしなければ顔が映ることもなく、動物のキャラクターのアバターで過ごすことも可能です。
同時に、近寄るだけで会話が聴けたり、吹き出しの形で出てくるリアクション機能を用いて意思表示をしたりなど、これまでのプラットフォームでは体験したことのないコミュニケーションができます。これらは、幅広い方の参加が前提となる、自治体が主体となった取り組みに適した特長といえるでしょう。
oviceでは、顔を見せなくてもいろんなことを伝えたり、参加したりが可能です。コミュニケーションの形式を選べることは安心感にもつながります。子供たちの成長の可能性をまもり育てる、6事例を紹介。