Z世代が望む働き方とは?キーはハイブリッドワークと現代コミュニケーション
Z世代(1996年~2012年の間に生まれた新たな世代 )の特徴・価値観を一言で表すと「デジタルネイティブ」だろう。幼い頃からYouTubeやSkypeなどのオンラインサービスに触れて育ってきたため、デジタルに対しての苦手意識が少ない彼らは、コロナ禍突入後に新社会人になった人が多い世代でもある。
Z世代が受けた新入社員研修の約65%はリモートで行われ、約42%が入社時の主な働き方がテレワークだった。また、テレワークやハイブリッドワークなど、今の時代に合わせた働き方の制度を整えている企業に対してほど、会社への帰属意識が高いことがわかった。
このように働き方を大きく変動させたコロナ禍が、Z世代の価値観も変化させたかというと、実はそうでもない。彼らが望んでいる働き方とは一体どういうものだろうか。そして、何に不安を感じているのだろうか。
テレワークと就業継続の関係は?Z世代は“ワークライフバランス”大切にできる企業を支持
多くのZ世代は、大学の授業もオンラインだった。約2年間、自宅からクラスに出席していた彼らにとって、毎日通勤・通学するという常識は薄まりつつあるのではないか。その中で、社会人になった途端に通勤義務を強いられたとしたら、そのギャップに疑問を抱いてしまうのも頷ける。
株式会社日本能率協会マネジメントセンターが行った「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2021」によると、Z世代はハイブリッドワークなど、新しい働き方を取り入れることに対して約75%が好意的であり、約72%がワーケーション制度を利用したいと答えた。前世代と比較して、約2.2倍の人が「環境の良さ」を重視しているという。
また、52.5%の人が、「勤め先がテレワークを推奨しているかどうかが、今後その企業で働き続けるかどうかに影響を与える」と回答している。つまり、テレワークを取り入れていない企業は、優秀な若手人材を失う可能性も高いということだ。
Z世代は仕事とプライベートのバランスを大切にしている人が多く、仕事に人生を捧げるような働き方を望んでいる人は少ない。職場以外の人間関係や、SNSの繋がりもリアルの人間関係と同じく大切なものと考えているため、飲み会に誘われても断る人も多く、付き合いが悪いと思われやすい。
<参照>
JMAM|【イマドキ新入社員意識調査2021】vol.1 Z世代の特徴
マイナビニュース|Z世代の特徴とは? 価値観やライフスタイルなどを解説
人間関係構築の不安を解消するハイブリッドワーク
その一方で、実は70%近くの若手社員が、対面でのコミュニケーションの有効性も実感しており、オフラインで仕事をする機会がゼロになることに不安を感じている。
先輩や同僚に相談する時間は、内容が事務的なものだとしても、信頼関係構築と精神的な安心感を得るためにも非常に大切な時間だ。オンラインでできないわけではないが、70%の若手社員は「オンラインだと細かなコミュニケーションがとりにくいがために生じるストレスが増した」とも回答している。
自分のペースで、程よい距離感を保ちながら、先輩・同僚と細かなコミュニケーションを取れる「ハイブリッドワークスタイル」は彼らの成長にプラスになり、マネージメントもしやすくなるだろう。
<参照>PRTIMES|【イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2021】ハイブリッドな勤務を求めるZ世代の働く価値観を徹底分解
開かれたコミュニケーションとダイバーシティがカギ
Z世代に関わらず、SNSを通じて日常的にコミュニケーションを取り、画面上のやりとりで人間関係を築いている人も多い。プライベートでは、テキスト上で飲み会並みにジョークを言い合い、腹を抱えて笑っているのが日常茶飯事なのである。Instagramに写真や自身の考えを投稿するなど、ネットを通して自己表現をすることにも抵抗がない。
また、SNSを通して国外からの情報も簡単に手に入れることができるため、子供の頃から広い価値観を持ち、社会問題への意識も高い。働き方のトレンドに関しても、海外からの情報を時差なく手に入れることができるため、働き方に関する日本の遅れた狭い価値観に疑問を持ちやすい世代でもある。
そのため、社会や企業にもオープンなコミュニケーションやグローバルな価値観を求める傾向にある。 ウェルビーイング経営が求められるハイブリッドワークでは、信頼関係を高めるためにも、よりオープンで裏表のないコミュニケーションと、多様性を受け入れる姿勢が大切だ。
以下の記事でtipsを紹介しているので、ぜひ参考にしてみてほしい。
関連記事:
テレワーク下での信頼関係の鍵は「テキストコミュニケーション能力」
ハイブリッド勤務がうまくいく「ウェルビーイング経営」Tips
また、Z世代と信頼関係を築くために理解すべきなのが、彼らの先進的な価値観だ。
TOKIONでは、Z世代の3分の1は、「人間は皆平等であると信じている」と回答していることが取り上げられている。SNSを通じて社会問題を身近に感じている彼らにとって、「少数派」でいることは大して問題ではなく、人種、性別、ジェンダー、年齢など関係なく、皆平等であり、それが受け入れられるべきだと考えており、受け入れられないことにひどく憤りを感じている。
<参照>TOKION|What Are “Gen Z Values”? Vol.1 Four Key Topics That Shape the Discourse
彼らの持つ先進的な価値観を理解できるかが、ハイブリッドワークをうまく機能させ、ウェルビーイングな企業経営、今後の社会のあり方にも大きく影響するだろう。
オンラインとオフラインの良いとこどりをした「ハイブリッドワーク」を軸に、先進的な価値観を積極的に取り入れることが重要だ。今回はZ世代が望む働き方をベースに紹介したが、作業効率やパフォーマンスを向上させながら、社員全員が理想としたウェルビーイングなワークスタイルを叶えていくことは今の時代可能なのではないだろうか。
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