バーチャルオフィス“ovice”活用事例10選
※製品のUIは2022年当時のものであり、現在と一部異なります。
リモートワークやハイブリッドワークを取り入れた働き方は、コロナをきっかけに急速に広まりました。一部の企業ではリアルなオフィスから撤退(もしくは減少)し、フルリモートに切り替えるといった動きも見られます。
多くの場合、リモートワークを進めるため導入されるのがビデオ会議ツールとチャットツール。ですが、「様子が分からず気軽に声をかけづらい」「約束を取り付けるのは心理的ハードルが高い」などの理由から、コミュニケーションが減り孤独を感じるメンバーもいます。
こうした課題を解決できるとして注目されているのがバーチャルオフィスです。しかしチャットツールほどには普及していないため、どのような使用感なのかイメージがつかない場合も多いでしょう。
今回はバーチャルオフィス「ovice」を導入した10社の活用について、6つのテーマに沿ってダイジェストを紹介します。
▼ovice活用事例の最新情報はこちら
ovice 活用事例
目次
<テーマ1>ハイブリッドワークの広まり
コロナへの対策が少しずつ落ち着きを見せる中、リモートワークと実際に出社するオフィスワークを組み合わせたハイブリッドワークが注目を集めています。出社を再開させた方が良いという考え方、リモートワークを中心に働いた方がいいという考え方、双方に対応できる環境があるのは大きな強みとなるでしょう。
関連記事:
ハイブリッドワークとは?メリット・デメリットと導入事例を紹介
①株式会社SOYOKAZE Staff Company(ユニマットスタッフカンパニー)
※2023年4月に株式会社SOYOKAZE Staff Companyに社名変更
【企業概要】
- 介護・看護人材の紹介事業を軸に、3つの事業を展開
- ovice利用人数は30名前後
【ここがユニーク!】
- 季節ごとの背景を変えてバーチャルオフィスならではの「空間」を作っている
- 離れている本社と支社を一つのオフィスに集約し、今までできなかった雑談ができるようになった
チャットとビデオ会議メインのリモートワークでは、会議以外の雑談や何気ない会話が一気に減ってしまい「孤独を感じる」との声があったといいます。その状況を、各部署のリーダーがチームで働く上で問題視したことが導入のきっかけでした。
実際に社内に定着するまでには約半年かかったとのこと。その背景には「もっとコミュニケーションを活性化させたい」人たちと、「このままでいい」人たちに分かれていたためです。
社内アンケートから意見を集約し、「マイクのON・OFFのルール化」や「個室を作る」など、試行錯誤を重ねoviceを推進。中には季節感のあるデザインを希望する声が多かったため、レイアウトや背景にもメンバーの声を取り入れています。東京にある本社と大阪支社のメンバーが同じ空間で雑談ができるようになりました。心理的距離が縮まり、一層仲間意識が強まったと言います。
株式会社SOYOKAZE Staff Companyのovice活用事例
②ヒューマンステージ
【企業概要】
- 正社員や契約社員・派遣の人材紹介を行う
- 大阪に本社を構え札幌から那覇まで全国に13の支店を持つ
- ovice利用人数は80名以上
【ここがユニーク!】
- バーチャルオフィスは一つのフロアに集約し、支店ごとにエリア分け。オブジェクトで支店メンバーをつなぐ。
- カメラONとミュート設定で、今まで知らなかった人の顔が分かり距離感が縮まった
バーチャルオフィスに出社したら、基本は全員のカメラをONにしてマイクはミュートに設定し。支店ごとに用意されたオブジェクト* に接続するというルールがあります。全国各地の従業員が同じフロアにいるので、今まで知らなかった他支店メンバーの顔も分かるようになりました。その結果、支店間のコミュニケーションも活発になったそうです。
*…ユーザーがつながることで、画面共有やカメラオンが可能になるoviceの機能。
<テーマ2>会社の在り方が変化
会社や企業活動は、もはや物理的なオフィスに従業員が出社する形態だけを指しません。バーチャルオフィスへの出社も、立派な出勤なのです。
③キオクシア
【企業概要】
- 世界トップクラスの半導体企業。主力商品はフラッシュメモリとSSD
- 「『記憶』 で世界をおもしろくする」というミッションを掲げる半導体メモリーのリーディングカンパニー
- ovice利用人数は500名以上
【ここがユニーク!】
- 30階建てのバーチャルオフィスビル
- 管理者が決めた運用ルールを、各部署の責任者がその部署に合うようにアレンジ
- 今後はお祭りのような社内イベントをovice内で実施する予定
コロナを機に、社内ワークショップをオンライン化。ワークショップに適したツールを探していた時にoviceと出会います。
決め手は情報セキュリティ面です。サービス利用にあたり、セキュリティ面の条件をクリアするには「密なコミュニケーション」が必要であると考え、日本製のoviceを選んだそうです。
oviceを導入して特に良かったと実感できたのは、オンライン上でも何気ない「立ち話」ができること。以前は、入社して間もないメンバーからも、「せっかく入社したのに誰とも話せず疎外感を感じる」という声があったとか。だからこそオンラインで「立ち話」ができるoviceが受け入れられました。
④ウイングアーク1st
【企業概要】
- 帳票による業務の生産性向上や運用の合理化サポート、その他BI製品・サービスの提供などソフトウェアとサービスを通じて、企業の情報活用を支援
- 違約金を払ってまでオフィスを解約。出社率は1割以下というテレワーク最先端企業
- ovice利用人数は約30人
【ここがユニーク!】
- バーチャルオフィス内に温泉エリアがあり、いつも誰かがお湯に浸かっている
- オンライン忘年会をoviceで開催
- 今後は新入社員のOJTもovice内で実施することを検討中
ウイングアーク1stはもともと「最新の働き方改革」を追求する会社で、2020年10月に六本木にあった1500坪のオフィスの3分の2を縮小しました。リモートワークに切り替わり、オフィスへの出社率は1割以下になったと言います。
同社ではオンライン忘年会をovice内で実施。リアルな飲み会のような雰囲気で楽しめて評判が良かったとのこと。さらにoviceの新しい活用方法を模索し、今後は新入社員のOJTにも活用できないか思案中です。
関連記事:
社内のオンラインイベントを盛り上げるには。準備の流れやコツを紹介
<テーマ3>さまざまな活用用途
現場の様子をライブカメラでつなぎ、oviceを通じてオフィスメンバーと対面できるようにした活用など、自社の事業形態に合わせた事例を紹介します。
⑤クラフトーチ
【企業概要】
- 鉄工所発のIT企業で製造業に特化したアプリやサービスを提供
- oviceの利用人数は約15人
【ここがユニーク!】
- 現場の工場にライブカメラを設置。デスクワークメンバーにも現場の朝会を見学できるようにした
- BIツールとoviceを連携させて、ovice上でミーティング情報や来客予定などを見れたり管理できるように設定
クラフトーチでは2020年ごろからリモートワークを取り入れていますが、開発メンバーはハイブリッドワーク、現場に出ているメンバーは毎日出社のように、勤務のスタイルは混在しています。
ビデオ会議ツールに常時接続するメンバーがいる現状を鑑みて、もっと気軽に集まれる環境を作りたいと思いovice導入を決定。また、新卒社員が気軽に相談できる環境を作りたいと考えたそうです。
同社ではoviceへのログイン率を上げようと、2022年3月から現場の工場にライブカメラを設置。oviceから工場の朝礼を見学できるようにしました。パソコンの前では完結しない業務を担うメンバーのいる組織でも、バーチャルオフィスが役立つ可能性を感じさせられる活用事例です。
⑥サンソウシステムズ
【企業概要】
- システムインテグレーション・サービスインテグレーションを提供
- oviceの利用人数は約30人
【ここがユニーク!】
- oviceをショールームとしても活用
- 自社製品のチャットボットシステムと連携させ、ovice内のちょっとしたトラブルに迅速に対応できるように
サンソウシステムズの社員構成は8割が外勤社員で2割が本社勤務。リモートワークが開始し、外勤から帰社したメンバーと雑談したいと考えoviceを導入したそうです。
oviceを活用して、社外の方々との新しいコミュニティのハブになれるのではと考え「イノベや」と名付けたショールームを運営しています。この空間には、自社製品や取り扱っている製品のバナー画像を置いて、動画が再生できるよう設定しています。また、チャットボットが自動応対したり、資料のDLが出来るようにしておくなどの自動化も進めています。
<テーマ4>導入ステップを工夫
新しいツールは、使い方を知らないために抵抗感が生まれたり、その効果を実感するまでに時間がかかることもあります。導入の際のハードルを下げることに成功した例を紹介します。
⑦ブレインパッド
【企業概要】
- データや事実に基づいたマーケティング支援や、人工知能によるビジネス課題の解決を提供
- ovice利用人数は約90人
【ここがユニーク!】
- 予め不安が出そうな項目を先回りして周知することでメンバーが安心できる
導入最初の一歩は「仲間集め」から。「どなたか実験に付き合ってくれる方いませんか?」とバーチャルオフィスにログインしてくれる協力者を募りました。
トライアル期間ではまずはじめにルールを設定。この時に決めたルールは「普段、マイクやカメラは切っていて良い」「出社したらログイン」「スピーカーはオン」。「上司に監視されるのでは」や「自宅での声や顔が筒抜けになるのでは」という不安解消を意図しています。
利用する頻度を増やすため「本部内の会議は全てoviceでやる」ことも設定。トライアル後のアンケート結果で「簡単な相談ごとなどがすぐに解決する」などポジティブな回答が得られたため本導入が決定しました。
導入後は、他部署の人も興味を持ったため、200人が同時ログインできるサイズに変更して運用。部を超えたやりとりができるようになり、「電話するまでもないけど、チャットだとニュアンスがずれる」ようなことが、ovice上で話しかけるだけで簡単に済ませられるようになっているようです。
<テーマ5>背景のレイアウトを工夫
オフィスのレイアウトは、メンバーがコミュニケーションを取る上でとても重要です。2Dのメタバースであるoviceでは、レイアウトによって心持ちも大きく変わるのです。oviceのバーチャルオフィスは背景を自由に設定できます。レイアウトにこだわり活用している例を紹介します。
⑧NPO法人N3
【企業概要】
- 精神科ソーシャルワーカーが中心となり障がいのある人の就労支援を行う非営利団体
- 障がいのある人がクリエイティブスキルをもって大いに活躍できるノーマライゼーション社会の実現を目指す
- ovice利用人数は約30名
【ここがユニーク!】
- レイアウトを物理オフィスと同じ配置にして「隣の席の人に話しかける」感覚を再現
フルリモートワークに切り替えたN3でしたが、利用者のほとんどはカメラオンを望まず、ビデオ会議ツールでは対面時のような自然なコミュニケーションができなくなります。そこで、oviceを導入。oviceのレイアウトは物理オフィスと同様、デスクが並ぶ形にしています。その結果、誰がどこにいるという位置関係が成立し「隣の席の人に話しかける」というコミュニケーションが実現しました。
さらに、実際のオフィスに出社していたときのように「意図的に挨拶しよう」と働きかけ、コミュニケーションの活性化を進めています。
関連記事:
障がい者の「働く」を、テレワークとoviceで変革
⑨ウンログ
【企業概要】
- 2012年からうんち記録アプリ「ウンログ」を開発・提供。
- 今では80万ダウンロードを越え、たくさんの方の健康管理に役立てられている。
- ovice利用人数は10数人
【ここがユニーク!】
- レイアウト・デザインに自社の個性が溢れている
- オンラインの採用からオンボーディングまで幅広く活用
- オンライン保健室の活用も考えている
コロナ前よりリモートワークがメインとなっていたウンログは十数人のメンバーからなる組織です。週一回の対面コミュニケーションに加え、非同期のコミュニケーションにはSlackを活用していました。
2020年、若手のメンバー層が一気に増えたこともあって従来のコミュニケーションでは無理があると感じたそうです。「サクッと何かを聞きたい」といった雑談レベルのコミュニケーションを、ビデオ会議ツールですることは難しかったとのこと。そこで見つけたのがoviceです。
ウンログのバーチャルオフィスには、公式キャラクターを各所に散りばめた背景が設定されています。「集まっていて楽しい場所」になるよう意識したそうですが「雑談したい」「今話せません」といったゾーンがイラスト入りでデザインされているほか、中央には「今日の一言」が表示されています。
また、「わからないことをすぐ聞ける」ことから、リモートで行う新メンバーのオンボーディングにも役立っているそうです。
<テーマ6>oviceの”コスパの良さ” ”その人の性格が見える”点を評価
バーチャル空間のoviceでは、ID課金ではなく、スペースの大きさに応じて利用料金が設定されています。こうしたコストパフォーマンスの良さに魅力を感じる方も少なくありません。
⑩NTTPCコミュニケーションズ
【企業概要】
- ネットワーク事業やデンターセンター事業を提供し、企業のネットワーク環境の構築を提供
- ovice利用人数は約150人
【ここが決め手!】
- ID課金ではなく上限人数による料金体系。無駄が出にくいところが魅力
- オンラインなのに、その人の様子や性格まで感じられる空間
NTTPCコミュニケーションズのある部署では、9割以上のメンバーがリモートで働いています。非同期コミュニケーション(チャット)が中心となることから、欲しい情報や回答がすぐに得られないことが課題となっていました。
様々なツールがある中からoviceを選んだ決め手は「音声品質の良さ」「背景が選べること」そして「コスパの良さ」です。oviceはスペース上に入れる上限人数により料金が決まるため、ID課金と比べて、ほとんど使わない人へのランニングコストが抑えられます。
機能面については、アバターで個々人の動きがわかる点が良いと感じるそうです。またアバターを通して、その人の性格がバーチャル空間上でも垣間見えるのが面白いという感想も。
運用面では、oviceが無理なく定着するよう、週に一回はスペース上に集まるように声をかけているとのこと。バーチャル空間での会話を楽しいと思ってもらいながら、操作にも慣れてもらっていることで定着が促進されています。
今後はoVice社のツアースペースのようなパブリックスペースを作り、外部の方を自社のバーチャルオフィスに招きたいと考えているそうです。