(インタビュー・執筆:稲葉めぐみ)
※本編の内容は、すべてインタビュー当時の情報です。
本シリーズでは、ビジネスメタバースの「ovice」を活用し柔軟な働き方を実現している方々の、「働き方」と「生き方」を紹介します。
ICTは、日本国内だけでなく海外から組織の一員として業務を行う「越境テレワーク」を可能にしました。越境テレワークは、柔軟な働き方を望む社員にとってだけでなく、海外進出や人材確保を目指す企業にとってもメリットがある働き方として、注目を集めています。
今回は、越境テレワークを実践するoviceユーザー企業と、oviceを提供するoVice社のメンバーに、越境テレワークを選んだきっかけや、実践する上で大切にしていること、そして今後の働き方などについて、話を聞きました。
目次
20年以上の日印越境テレワークの中で、「1つのチーム」が実感できるoviceを選択
■インタビュイー
背戸土井 貴之/株式会社インフォアイ 代表取締役社長
繊維専門商社・瀧定大阪株式会社(現:スタイレム瀧定大阪株式会社)を退社後、 2002年に株式会社インフォアイ及びインド事務所・INFOEYE INDIAを設立。アパレル業界の生産性向上・業務効率改善をサポートするクラウドソリューション「アパシス」の構築や運営、画像切り抜き加工サービスを展開している。
Sitaram Godara/INFOEYE SOFTWARE PVT. LTD CEO
インフォアイのインド事務所(INFOEYE SOFTWARE PVT. LTD)代表。 2006年に入社後、Javaを使った開発を担当し、 2011年よりディレクターを務める。現在は代表として、 40名のインド人スタッフを束ねている。
二階堂 礼美/株式会社インフォアイ サポート業務
企画・ 生産、販売までを行うアパレル企業にてデザイナー職に従事。2021年インフォアイに入社、現在の業務についている。
コロナ禍で「カジュアルな会話」の大切さに気づき、oviceを導入
ー日本社会にリモートワークが普及する随分前にインド事務所を設立されていますが、これまでどのような働き方をされてきたのでしょうか?
背戸土井:
2002年の創業当初は、現地にアパートを借り2〜3ヶ月に1度はインドへ出張していました。 普段のコミュニケーションはメールやSkypeが中心です。お互いに「顔が見えないストレス」を常に抱えていましたね。
大きな転機となったのがコロナでした。oviceの導入を決めたのは、「コロナ禍で、もっと楽しくコミュニケーションをとりたい」と考えたからです。どのビジネスツールも利便性に優れていますが、事務所にいるような感覚でリラックスして使えるのはoviceしかないと思いました。
Sitaram:
インド事務所では 、現在10名のメンバーがoviceを利用しています。 使い方がとても簡単だったため、スタッフの間にもすぐに浸透しました。
背戸土井:
oviceは開発状況などがオープンにされていることに感心しています。開発者の「顔」が見えるのはユーザーの安心感につながっていると思います。
(画像引用:インフォアイ公式X)
20年以上の経験から得た「越境テレワーク」を成功させるコツ
ー長年インドとの「越境テレワーク」を実践されてきた背戸土井さまですが、どんなことを障害に感じますか?
背戸土井:
20年以上、国境を超えて仕事をしてきた中で、難しいと感じるのは「質の高いコミュニケーションを取ること」です。
本音を言えば、「対面で会う」ことに勝るコミュニケーションは無いと感じています。私は現在、大阪・東京・インドの3拠点を移動しながら働いていますが、出張で各事務所に行けばメンバーとの距離もぐっと近くなり、普段より会話も弾みます。
しかし、弊社はインド事務所を発展させるために、必然的に「越境テレワーク」をすることが求められてきました。インドと日本という物理的距離のある拠点間で、一番リアルに近いコミュニケーションを実現するために「ovice」を選びました。
このような働き方を長年続けるためには、「信頼し任せること」が重要です。自分の思い描く内容と違ったとしても、相手を信頼して任せてみる。すると、スタッフが高いパフォーマンスを発揮してくれます。
「信頼」が根底に無ければ、越境テレワークは成り立たないと思います。
ーコミュニケーションを円滑にするために、日常的に大切にしていることはありますか?
二階堂:
始業前、終業時は、必ずインド人スタッフにも挨拶をしています。時差があるため、彼らがoviceに出社するのは毎日13時頃。より親しみが湧くように現地の言葉で「ナマスカ~!」と声をかけるようになりました。
帰り際も、皆が手を振ってくれるんですよね。顔を見ながら自然にコミュニケーションが取れるのは、oviceならではの良さです。チームの一体感形成にも繋がっていると感じます。
背戸土井:
単に仕事を指示する・任されるという関係ではなく、「1つのチーム」であることを日常的に感じられるのが大切だと思っています。そのために、日頃の挨拶や細かな気配りは欠かせないですね。
ビジネスを通じて「社会貢献」をするためにoviceは不可欠
ーSitaramさんはINFOEYE INDIAの代表として、会社にどのような感想をもっていますか?
Sitaram:
私は2006年にINFOEYEに加わりました。既存メンバーの家族や知人を紹介してもらうことで、社員は40人まで増えています。
「越境テレワーク」という働き方で、17年以上も日本と仕事ができることに感謝しています。これからも、社長と共にインドでのビジネス発展のために尽力していきたいです。
背戸土井:
Sitaramの他にも、多くのメンバーが長年勤めてくれています。
先日も、結婚を機に150km離れた場所へ引っ越すスタッフがいましたが、退職することなくリモートで働いてくれています。インド国内の優れた人材を確保できる点でも、oviceは力を貸してくれていると感じます。
ー今後のインフォアイの目標について教えてください
背戸土井:
2002年から開発拠点としての役割を担ってきたインド事務所ですが、今後はヒンドゥー語圏での販売・サービス拡大にも力を入れたいと考えています。
私がインドでビジネスを続ける理由の1つとして、「その土地で雇用を創出し発展に寄与することで、社会貢献に繋げたい」という思いがあります。当社のサービスの販路を拡大し、安定的な雇用を生むことで、少しでも現地の発展に繋がればいい、そう考えています。
そのような当社にとって、越境テレワークは、そのビジョンを実現するために欠かせないワークスタイルです。
バーチャルオフィス oviceの特徴や機能について詳しく見る
働き手・企業双方にメリット「越境テレワーク」実践のコツ
■インタビュイー
Melissa Kochanek/oVice株式会社 HR
オーストラリア・ブリスベン在住。前職ではIBM Australia, Ltdに15年間勤務し、日本語でのテクニカルサポートも勤める。2023年2月oVice社に入社後は、HR担当として採用計画や人事プログラムの企画などを担当。
「ワークライフバランスの実現」を目指し、越境テレワークに挑戦
ー前職ではリモートワークの経験がなかったそうですが、なぜ「越境テレワーク」という働き方が前提となるoVice社を選んだのでしょうか?
もともとは、リモートワークに条件を絞って求職活動をしているわけではありませんでした。ただ、「子供や自分のために使う時間の割合を増やすことで、ワークライフバランスを実現したい」という考えがありました。そんな時、前職の同僚である現職の上司に、oVice社を紹介してもらったんです。
前職では、何かあればすぐに上司に相談できていたため、リモートワークで同じようなコミュニケーションがとれるのか不安でしたが、全く心配する必要はありませんでした。たとえばovice上で「トントン」と肩を叩けば(*)気軽に相談ができるし、ミーティングルームに移動すればクローズドな会話も可能です。
実際に働いてみると、物理的な距離は殆ど感じませんでした。東京在住の同僚が、「毎日暑くて大変!」と話すのを聞いて初めて、彼女がオーストラリアとは真逆の季節にある日本にいると初めて実感できたほどです。
(*) oviceの「肩ポン」機能
離れているからこそ、意識的なコミュニケーションが必要
ー「越境テレワーク」で、心掛けていることはありますか?
実際に事務所で働くのと同じ感覚、もしくはそれ以上に挨拶や声かけを積極的にしています。
また、積極的な挨拶や声かけ以上の取り組みもあります。現在HRチームには、オーストラリア、チュニジア、韓国、日本の4か国のメンバーが在籍していますが、よりコミュニケーションを深めるため、毎週月曜日に、週末にあった出来事を写真と共にシェアしています。
このやりとりでは、お互いの住んでいる国やライフスタイルを紹介し、互いに理解を深めることができます。そうすることで、普段見えない同僚の価値観や考え方、性格についてもより多くを知ることができます。
オンラインではコミュニケーションが希薄になりがちです。あえて交流する時間を設けることが、同僚との信頼関係構築や働きやすさに繋がると考えています。
ー意識的なコミュニケーションを心掛けているということですが、リモートワークでのコミュニケーションにはどのような課題が発生しうると思いますか?
例えば、話したい相手が仕事に集中するあまり反応を忘れたり、忙しすぎて捕まらない場合もあると思います。オフラインであれば、相手を探して声をかければ済みますが、オンラインだと物理的に難しいですよね。
その場合は、予め相手のスケジュールを押さえるようにします。
また、今後は、リモートワークの「マナーガイドライン」のような、個々の意識に頼らないルールも必要になるかもしれません。リモートワークでも、お互いに気持ちよくコミュニケーションが取れるような配慮や仕組みづくりが求められると思います。
ー「越境テレワーク」をすることによって得られたものはありますか?
場所に縛られずフレキシブルに働くことにより、自由に使える時間が増えたので、仕事と私生活の両立がしやすくなりました。前職は車通勤で、渋滞に巻き込まれることも多く、通勤のために往復 2〜3時間かかっていました。今は通勤の必要がないので、その時間を家事や子供達と過ごす時間に充てています。
そして、オーストラリアにいながら、さまざまなバックグラウンドを持つ仲間と働けることも、私自身の人生において良い刺激となっています。
oViceでのリモートワークを経験して、これまで「オフィスでしかできない」と考えていた仕事も、工夫次第でリモートでできることに気がつきました。今後、出社する必要性が出てきたとしても、週3日はリモートで働くなど、「ハイブリッドな働き方」を模索したいです。
「越境テレワーク」は企業にとってもメリットがある働き方
ー企業にとって「越境テレワーク」を取り入れるメリットは何だと感じられていますか?
まず、「ワークライフバランス」を重視する求職者にとって、リモートワークはとても魅力的な働き方です。コロナ禍を経て、フレキシブルな働き方への関心が高まる中、場所を問わない働き方を採用していることは、人材確保に有利に働くと考えます。
2つ目は、多国籍の人材が集まることにより、新たなアイディアや解決策が生まれやすくなることがあります。例えば、HRチームで人事のプログラムを作る際には、自国の常識を基盤とする自分の考えとは異なる意見を取り入れることができますし、それにより組織に大きなメリットがもたらされることもあります。
居住する国が異なるメンバーなら、多様な視点に基づくアイディアを持ち寄って議論を深めることも可能です。こうした強みは、新しい企画やサービス開発に大いに活かせると思います。
バーチャルオフィス oviceの特徴や機能について詳しく見る
編集後記
今回は「越境テレワーク」をテーマに、oviceユーザー企業とoVice社員を取材しました。
「優秀な海外の人材を雇用し続けたい」「ワークライフバランスを実現しながら多様な価値観を取り入れられる」など、雇用する側・される側双方にこれまでになかったメリットをもたらすのが越境テレワークだと感じました。
一方で、多様な考えを持つ人達が集う場でリモートワークを続けるためには、質の高いコミュニケーションが必要だと分かりました。 こうした視点からも、oviceは今後も大きな機会を社会に提供していくのではないかと感じます。
このシリーズでは、これからもさまざまな「人生の選択」と「働き方」をご紹介していきます!
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