2022年10月25日、“oVice Summit 2022” がオンライン・オフラインにて同時開催されました。
多くの企業が「ハイブリッドワーク」を取り入れているものの、業務上または信頼関係構築の面でも課題を感じている方も少なくありません。そこで普段からoviceをご活用いただいている en world Japan (エンワールド・ジャパン株式会社)ヴァイスプレジデント 事業統括部長の小林クリス(Chris Kobayashi)氏をゲストに迎え「ハイブリッドワーク時代の人材戦略」と題したトークセッションを開催しました。
本編では、ビジネスメタバースを展開するoVice株式会社COO田村元氏と小林氏が語った、ハイブリッドワーク時代の人材戦略に関するセッションの内容をご紹介します。
外資系企業の80%が出勤率5割以下
田村:コロナ禍に突入した後、私たちの働き方はどのように変化したのでしょうか。
小林:2022年初頭、働き方に関する調査「State of Remote Work in Global Companies in Japan(日本のグローバル企業におけるリモートワークの現状)」を実施しました。コロナ禍に突入してからすでに2年間が経っている中、企業やクライアントが、いわゆるリモートワークでの作業を可能にするために実際何をしているのかを知るためです。
本日シェアさせていただく調査結果は大きく分けて2つのパートに分かれています。
一つ目は今現在抱えている従業員のエンゲージメントを高め、コミュニケーションを取るために何をしているのか。どのようにコロナ禍を切り抜けてきたのか。
そして二つ目は、まだまだ続くであろうコロナ禍でどのように人材雇用をしていくのか。これらをシェアします。
調査は50%が日本企業、50%が外資系企業、合計約250社を対象に行いました。
調査結果によると、外資系企業は、労働者の出勤率が50%に満たない企業が80%を占めており、ほとんどの企業が社員のリモートワーク・オフィスワークの両方を認めていることがわかります。また、ハイブリッドワークがもたらした大きな変化として「社内業務やワークフローのデジタル化」があげられました。そして、80%の企業が、リモートワークを長期的に導入することを決定しています。
つまり、“完全にリモートワークを無くし、オフィス勤務に戻ろう”とは考えていないということです。その場合、同僚との繋がりが疎遠になってしまう、コミュニケーションがうまく取れないなどの問題が出てきます。
田村:そうなると、社内業務のデジタル化だけでは不十分ということですね。だからこそ企業の皆様は長期的なリモートワークに備え、何か追加で工夫されているということですね。
在宅勤務のメリットと課題
田村:リモートワークを導入したことによって発生したメリットはどのようなものが多かったのでしょうか。
小林:リモートワークによる大きな変化・メリットとして、複数回答可で全体の59%が「社内業務やワークフローのデジタル化」、50%が「ワークライフのバランスが改善された」と回答しました。他にも「残業が減った」、「生産性が向上した」などポジティブな声が多く挙げられました。
田村:55%の外資系企業が「ワークライフバランスがデジタル化を進めたことによって改善している」と回答しているのに対して、日本企業は46%と低いですね。デジタル化が外資系に比べて進んでいないということでしょうか。
小林:そうですね。外資系はコロナ前からグローバルな環境の中で営業も行われていたため、日本企業よりも早い段階でデジタル化が進んでいたのだと思います。
課題としては「同僚との繋がりが感じられなくなった」、「情報共有やコミュニケーションが減った」という点が挙げられていますが、日本企業の方が外資系企業よりもそう感じているパーセンテージが高いということに驚きました。
田村:企業の方で最適な対処法を提供できていないためにその数値が出てしまっているのだと思うのですが、いかがでしょうか。
小林:私もそう思います。また、「同僚との繋がりが感じられなくなった」という点では、Well-beingやメンタルヘルスの問題に関してよくニュースで取り上げられていますよね。大企業の上層部の間でも重要なトピックになっています。
このことについて、私たちは二つの視点から見る必要があると思います。一つは、企業がこれを改善するために何をしているか。もう一つは、従業員に期待することは何か。
従業員達のメンタルヘルスやWell-beingにもっと注意を払い気にかけること。そして従業員は、自身もこの問題に対して積極的に関与し、協力しなければ解決しないということを理解しなければなりません。この二つに取り組まなければ解決はできないと思います。
従業員のエンゲージメントを取り戻すには
田村:「社員の会社へのエンゲージメントを取り戻す」という課題に対して、企業は実際にどのような取り組みをしているのでしょうか。
小林:一番成功しているアクションは、シンプルにマネージャーとの1on1ミーティングの時間を増やすということです。
田村:外資系企業にとって1on1ミーティングはよく実施されているものですが、多くの日本の企業にとってはまだ新しい取り組みという風に捉えられています。しかし最近では1on1ミーティングの重要性を発信しているリーダーも多くいらっしゃいます。
小林:そうですよね。日本も外資系企業も同じ環境下でビジネスをしています。コロナ禍そしてハイブリッドワーク下で社員との信頼関係を築くには今まで以上の努力が必要です。
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田村:そして驚いたのが、「社員のエンゲージメントを保つためにチームミーティングを頻繁に行っている」と回答したのが、日本企業は26%、外資系企業は45%とかなりの差があるということです。
小林:私も驚きました。日本企業の社員はチームとして成功した際に満足感を感じやすい傾向にある一方、外資系企業は個人の業績・成果に注目する傾向があるので、海外チームの方がチームミーティングを頻繁に行っているという結果は想定外でした。
田村:日本企業はチームミーティングがエンゲージメントを保つ上で効果的であるということを理解していないということでしょうか。それとも、既にチームミーティングは頻繁に行われており、特別なことではない故に数字が低いのでしょうか。
小林:恐らく両方だと思います。ただしハイブリッドワーク下では、電話またはビデオチャットなど、コミュニケーション手段が限られてしまいます。オフィスの休憩所で雑談をするような機会が減ってしまうので、その分もきちんとコミュニケーションを取っていく必要性があります。
その点でもoviceはとても便利なプラットフォームです。他のツールのみを使っていると誰がアクティブ(作業中)なのかを知ることができませんが、oviceではフロアマップを見るだけでその日に誰が働いているのかを把握することができ、瞬時に同僚と自発的なコミュニケーション・雑談をすることができるんです。
コロナ禍での人材雇用について
田村:続いて、コロナ禍で人材雇用を成功させるために、企業がされている取り組みを教えてください。
小林:50%近くの企業の皆さんが、リモート環境で働ける従業員の採用を既に進めているという結果が出ています。
もし100%オフィス勤務をする人を採用しようとする場合、出勤可能エリアに住んでいるあるいは住む予定の人たちの中から採用する必要がありますが、リモートであればそういった制約がなくなります。
また結果として、2021年、日本にオフィスを構える企業の30%がオフィスを縮小あるいは改装したそうです。
田村:例えば非常に才能のある人材が、大阪・福岡にいらっしゃったとしても、営業職ということになると採用は難しくなります。しかしメタバースの世界であれば地理的な距離は関係なくなりますよね。
小林:はい、そう思います。リモートでの人材採用を改善するために、テクノロジーやツールをしっかりと活用することは大事です。そして彼らが入社した後にもエンゲージメントを高めるため、これまで以上の努力が必要です。同時に、実際に対面で人との関係性を築き上げる方法などもしっかりと研修しなければなりません。
生産性を向上させるためには?
田村:組織としてまたは個人として、リモートワーク下でどのように作業の生産性を高めていけば良いでしょうか?
小林:難しい質問ですね。提案としては、先ほどお話させていただきましたが1on1ミーティングでマネージャーとの話し合いをする時間を増やす。あるいはチームミーティングを行う時間を固定しておくと良いと思います。それにより、エンゲージメントと生産性が高まってくると思います。
またリモートワークは長期的に続くということで、照明や快適な椅子が買える程度の予算を提供するなど、もう少し良い環境で在宅勤務をできるように金銭的な補償をすると、生産性も向上するのではないでしょうか。
田村:リモート作業は自身の業務に専念する(一人で黙々と作業をする)ことができ、その分野における知識を更に深めることができると思うのですが、それが自分の能力を高める上で制限になってしまうのではないかなと思います。
ナレッジ・トランスファー(知識の移転:個人に蓄積された情報を組織・企業内で共有し、組織の知識を蓄積していく)が起こるのは、同僚とのコミュニケーションだと思うんですよね。イノベーション(技術革新)は在宅勤務の中では生まれにくく、コミュニケーションや雑談が必要なのだと思います。
小林:そうですね。イノベーションは意図しない雑談から生まれることが多いです。
私はoviceの広報ではないのですが(笑)、oviceはその機会やチャンスを提供しています。自発的なコミュニケーションを可能にします。それにより、生産性も向上して行くと思います。
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