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新入社員をテレワークで一人前にするには?日本企業の実例とコツ

日本企業が積極的にテレワークを取り入れ始めてから、この春で3年目に突入する。

テレワークの課題として、「新入社員の教育が難しい」という声をよく聞くが、中にはフルリモートで新入社員を一人前に育て上げている企業もある。

そこで今回の記事では、フルリモートで新人教育を成功させるコツと、日本企業の実例を紹介する。

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フルリモートで当たり前に仕事は回る

まず前提として、フルリモートで仕事を回すことは難しいという思い込みを無くさねばならない。

2014年に設立した株式会社キャスター(宮崎県西都市)は、全社員の約700人がテレワーク勤務をしている。採用段階からリモートで面接を行うため、一度も直接会うことなく入社となるケースが大半を占める。つまり、場所を選ぶことなく、全国各地の優秀な人たちを採用することができるのだ。

設立当初、業務受託としてテレワークをしている人は日本にも多く存在したが、社員契約でテレワークをしている人は少なかった。業務受託の就業環境も悪いものが多く、場所を選ばなくて良いという自由さがある一方、時給換算すると100円を切ってしまうような低賃金で働いている人もいたほどだ。

この問題を改善するためにも、キャスターは「リモートワークを当たり前にする」というミッションを掲げ、テレワークを希望する人たちが普通に働ける仕組みを作りたいという想いで、リモートワークを基軸とした人材サービスを幅広く展開している。

参照:ニュースイッチ|700人全社員フルリモート企業に聞く、リモートワーク導入のコツ

このように、テレワーク8年目という企業も存在するということは、ある企業にとってはもう特別なことでもない。フルリモートでも当たり前に仕事を回すことは可能である。

リモートでOJTを行うことも、もちろん可能だ

OJTとはOn The Job Trainingの略で、新入社員の教育・研修を実際の仕事を通して行う方法だ。

今までなら直接コミュニケーションを取りながらできていた作業をテレワークでは全てオンラインで行わなければならず、ハードルを高く感じている方も多いかもしれない。しかし、コツを掴めば、テレワークでもOJTは可能であり、オフラインよりも効率的に行うことができる。

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アスクルが行ったフルリモートOJT法と、3つのコツ

通販サービスを運営する株式会社アスクルは、新人社員をフルリモートで研修した。2020年3月、出社せずに研修ができるように実施内容や方針を決定させ、3月27日に新人社員全員と対面し、パソコンなど業務に必要なものを支給した後、オリエンテーションを開催。

4月からの3ヶ月間行われた研修は完全リモートで、6月末からの約1ヶ月間は週一回程度の出社かテレワークを選べる「ハイブリッドワークスタイル」で研修を実施した。その後7月末に各部署へ配属が決定された。

研修内容は、基本マナー、会計やコスト意識、各本部の説明研修(社内知識)、輪読やデザイン思考を身につけるトレーニング、フィールドワーク研修といったもので、通常は対面式で行われていたものだ。

アスクルで新入社員教育や育成担当者フォローを行う多田双葉氏は、テレワークでの課題解決をするために、研修時に以下の3点を特に工夫したという。

参照:DIAMOND ONLINE|新入社員をフルリモートで一人前に育てるコツ、アスクル・ZOZOテクの実例

①毎日10~20分の「1on1ミーティング」をする

テレワークでの課題として挙がっているのが「コミュニケーション不足」だが、アスクルでは人事部による「1on1ミーティング」を毎日10分〜20分程度実施した。また、週1回は全体ミーティングをして、情報共有などを行った。

上京したばかりだった新入社員の肥田あかねさんはいきなりのテレワークで不安を抱えていたが、「面談で話した管理職もフレンドリーに話をしてくれて、とても安心できた」と振り返っている。

オフラインであっても社内コミュニケーションに不安を持つ方は多い。しかし、より丁寧なコミュニケーションが取れる「1on1ミーティング」をオンラインで行うことによって、不安感は取り除くことができるだろう。

②「新入社員主体のプロジェクト」を4月から実施

テレワークでは、人事部以外の社員とコミュニケーションを取る機会が減ってしまう。

そこでアスクルは社内の人間関係を構築するために、ITチームと連携した「新卒ページの作成」や先輩社員との座談会、役員とのつながりを生む「Slackの環境設定」などのプロジェクトを、新入社員主体で実施した。

プロジェクトを通して「タスク管理」や「PDCAの回し方」など、ビジネスの基本が気付いたら身につくような環境である上、自然発生的に先輩と交流することができる。

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③「配属時のガイドライン」を作成し、各現場の育成担当者に配布

テレワークでのOJTに不安を抱いていたのは新入社員だけでなく、育成担当者も同じだ。そこでアスクルでは、各部署のリーダー向けにオンライン上でのコミュニケーションの取り方などを含めた研修カリキュラムを用意した。

新入社員研修で行ってきたこと、テレワークで仕事をする上で選ぶべきツール、オンライン上でのコミュニケーションの取り方のコツなどを説明したという。

相手の様子が見えにくいテレワークで信頼関係を構築するには、オンラインツールを駆使することが重要だ。

同社では、午前と午後で2回以上、負担にならない程度でカメラをONにしての定例を行った。また、集中力が高まる環境づくりとして「一人で考える時間」も取るようにするなど、テレワークで必要なスキルも同時に育てている。

テレワークでは、出社勤務よりも一人作業が多いために孤独になりやすい。そこで、配属後も社員研修と同様に、「人事部、上司・先輩はちゃんと見ているよ」という丁寧なコミュニケーションを取り、その中で自然と一人前のビジネスパーソンになっていけるようなブログラムを組むことが大切だ。

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ZOZO子会社はフルフレックスタイム・フルリモート制度を全社員対象で導入

ZOZOのグループ会社 ZOZOテクノロジーズは、始業・終業時間を自身で自由に設定できるフルフレックス制度と、好きな場所で働くことができるフルリモートワーク制度を全社員対象で導入した。

これまでのフレックス制度では、必ず就業しなければならない「コアタイム」が存在していたが、フルフレックス制度では、月間所定労働時間を満たしていれば、勤務時間を完全自由に設定できる。

働く場所も時間も自身で選ぶことができるので、理想のワークスタイルを各自がデザインすることができ、個人のパフォーマンス能力向上や会社全体の生産性向上を図ることができる。そして新入社員も例外なくテレワーク勤務をしており、入社半年も経たずして戦力として活躍している。

フルリモートでも新入社員の成長速度を高めるために、ZOZOテクノロジーズは3つのミーティングを実施した。

まず1つ目が2週間に一度、30分間の「1on1ミーティング」。2つ目に、KPT(Keep・Problem・Try)という振り返りのフレームワークを導入した、月1回2時間のチームミーティング。3つ目が、週1回50分間のチームでの定例ミーティングだ。

参照:FASHIONSNAP.COM|ゾゾ子会社がフルフレックスタイム・フルリモートワーク制度を導入、ニーズにあった働き方を推進

相談できないと成長が止まる。相談しやすい環境を

同社ZOZOTOWN部iOSチームのチームリーダー 荒井勇輔さんは、メンバーの心理的安全性を高めることを最も重要視していた。誰に聞いていいかわからない状態が続くと、成長できなくなってしまうという。

アスクル同様、テレワークによるコミュニケーション不足を防ぐための「1on1ミーティング」では一人一人ひとりの要望や悩みを解決する場を設けたり、新入社員の教育にはメンター制度を導入し、困ったときにはまずメンターに相談してもらうようにしている。

その上でオンライン飲み会なども実施して、メンター以外のチームメンバーとのコミュニケーションも活発に行い、気軽に相談しやすい環境を作っている。

新人教育に成功している企業に共通することは、コミュニケーションの場を設ける工夫をしていることだ。丁寧なコミュニケーションを日常的に取っていることによって、「相談する」というハードルが下がる。相談が早ければ、問題解決も早くなるため、成長速度もグンと向上するのだ。

参照:働き方改革ラボ|テレワーク時代のOJTとは?新入社員育成成功事例も紹介


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YUI SASANO
フリーランス歴10年目、現在25歳の作詞作曲家/SNSマーケター。アーティストや文化人、企業のSNSプロデュースの他、コラムニストとしても活動している。