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従業員エンゲージメントとは?4つの低下要因と具体的な向上策

今日のビジネスにおいて、「従業員エンゲージメントの向上」はビジネスの成長に欠かせません。エンゲージメントが高く、従業員のモチベーションや忠誠心が強い組織では、生産性の向上や商品・サービスの品質向上、離職率の低下など、さまざまなメリットが期待できます。この記事では、従業員エンゲージメントとは何か、向上がもたらすメリットを整理したうえで、低下してしまう場合にみられる4つの典型的な要因と、具体的な向上先を解説します。

従業員エンゲージメントとは?

従業員エンゲージメントとは、従業員が組織に共感し、自らの意思で「この会社に貢献したい」と思う状態を指します。自社のミッションとビジョン、すなわち組織の目指す使命と将来の目標に対して、従業員が共感することによって、従業員の働きやすさを向上させるだけでなく、従業員のコミットメントを強化し、業務生産性や業務品質を高め、ビジネスの業績向上と競争力強化にもつながります。単なる愛社精神や忠誠心とは異なり、組織との信頼関係に基づいた主体的な貢献意欲が特徴です。

従業員エンゲージメントが高い組織は、従業員が自発的に業務に取り組み、生産性や業績の向上につながります。一方で、従業員エンゲージメントの低下は、モチベーションの低下や離職率の上昇など、ビジネスの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、従業員エンゲージメントの低下に悩む組織も少なくありません。

従業員エンゲージメント向上がもたらす具体的なメリット

図版 従業員エンゲージメント向上がもたらす具体的なメリット

従業員エンゲージメントの向上は、組織や従業員に多くのメリットをもたらします。従業員が組織の理念に共感し、その使命と目標に沿って自発的に業務に取り組むことで、ビジネスの成長はもちろん、従業員自身の満足度や充実感も高まります。主なメリットは以下のとおりです。

  • 従業員のモチベーション向上:従業員が自身の仕事に意義を見出し、やりがいや達成感を覚えやすくなります。
  • 従業員の生産性向上:業務に対する理解が深まり、創造性や問題解決能力が向上します。これにより、作業効率が改善され、組織の生産性が向上します。
  • 商品やサービスの品質向上:顧客ニーズと自社の提供価値への理解が深まり、創意工夫や改善提案が活性化します。これにより、より高品質な商品やサービスが生み出されます。
  • 顧客満足度の向上:商品やサービスの品質向上ときめ細やかな顧客対応により、顧客のニーズや期待を上回る体験を提供でき、顧客満足度が向上し、顧客ロイヤルティが強化されます。
  • 離職率の低下:職場に対する愛着や信頼が高まることで、従業員が働き続けたいと感じる意識が深まります。これにより、離職率の低下が期待できます。
  • ワークライフバランス・健康面の改善:柔軟な働き方が可能になり、仕事と私生活のバランスが取りやすくなります。心身の健康が維持されることで、従業員の幸福度も向上します。
  • 企業イメージの向上:「働きがいのある会社」「社員を大切にする会社」として外部からの評価が高まります。従業員の士気向上、優秀な人材の獲得、顧客からの信頼向上につながります。

従業員エンゲージメントの向上は、組織と従業員双方に多大な利益をもたらします。生産性向上、業務品質改善、顧客満足度向上など、業績の強化につながる一方で、従業員の幸福度やメンタルヘルスも促進します。この好循環は組織の持続的成長に寄与するため、経営戦略の核として従業員エンゲージメント向上に取り組むべきでしょう。

従業員エンゲージメントが低下する4つの典型的な要因

従業員エンゲージメントの低下は、組織の制度、職場環境、働き方の仕組みなどの複数の要因が複雑に絡み合って引き起こされます。以下に典型的な要因を4つ挙げます。そのいずれかが自社で見られる場合には、従業員エンゲージメント低下が懸念されるため、ビジネスリーダーは状況を把握し、改善に取り組む必要があります。

要因1. 評価制度が公平性に欠けている

不公平な人事評価制度は、従業員のモチベーション低下の一因となります。個人の業績評価と報酬体系が適切に連動していない場合や、評価基準が不透明な場合などは、従業員は「努力しても報われない」と感じ、不満や不信感を抱きます。

こうした状況では、職場内の人間関係にも悪影響を及ぼし、エンゲージメント低下につながります。公平かつ透明性の高い評価制度を導入することで、従業員の納得感と信頼感を高めることが重要です。

要因2. 働き方が受動的になっている

トップダウン型の指示、目的不明確な業務環境では、従業員が主体的に行動する機会が減少します。その結果、「この仕事にどんな意味があるのか」「成果につながるのか」が分からず、仕事へのやりがいや達成感を感じにくくなります。

こうした状況では、業務に対する従業員の意欲や責任感が低下し、組織への信頼も損なわれます。従業員が自ら考え行動できる環境を整えることが求められます。

要因3. コミュニケーションが希薄である

リモートワークやハイブリッドワークの一般化で、対面でのコミュニケーション機会が減少すると、従業員同士の関係性や信頼感が希薄になります。非対面環境では相手の状況が分かりづらく、声をかけるタイミングも掴みにくいため、孤立感を抱く従業員も増えかねません。

雑談も含め日常的な交流機会の減少は、従業員の心理的安全性にも影響し、結果としてエンゲージメント低下につながります。コミュニケーション活性化に向けた仕組みづくりが重要です。

要因4. 心理的安全性が低い

心理的安全性とは、職場で誰もが安心して自分の意見を発言しやすい環境を指します。心理的安全性が低い職場では、「自分の発言が否定されるのではないか」「ミスをしたら責められるのではないか」といった不安から、従業員が積極的な発言や行動を控える傾向があります。

こうした状況では、信頼関係が築きにくくなり、帰属意識が低下してしまいます。従業員が安心して意見を述べられるオープンな環境を整えることが、コミュニケーションを促進し、失敗を学びの機会として受け入れる文化を育むことが大切です。

従業員エンゲージメントを向上させる具体策

従業員エンゲージメントは、組織としての制度の整備や配慮によって向上させることが可能です。従業員エンゲージメントの向上は、従業員の働きがいを高め、業績の強化や生産性の向上にもつながります。以下に、効果的な具体策を紹介します。

具体策1. 定期的なエンゲージメントサーベイの実施

エンゲージメントサーベイの定期的な実施を通じて、従業員の満足度や課題を定量的・定性的に把握、傾向や要因を分析し、適切な対策を講じることが重要です。

サーベイ実施にあたっては、以下のポイントを押さえるのが効果的です。

  • 解決すべき課題を明確にし、それに沿った質問を作成する
  • 結果を社内に公表し、経営層が従業員の意見を真摯に受け止める姿勢を示す
  • 得られたデータを分析し、具体的な施策につなげる
  • 施策の効果を再度サーベイで検証し、PDCAサイクルを回す

これにより、従業員の信頼感が高まり、組織全体の継続的な改善に貢献します。

具体策2. 経営理念やビジョンの共有

従業員が自身の業務と組織の目標のつながりを実感できると、仕事への意欲と組織への貢献意識が高まります。

理念やビジョンの浸透には、以下の取り組みが有効です:

  • 年度始めや四半期のような区切りのタイミングで、事業方針や目標をすべての従業員に直接伝える機会を設け、経営層の想いや組織の向かうべき方向を共有する
  • 社内報や社内SNSを活用して、理念やビジョンを定期的に発信し、従業員が日常的に意識できる環境を作る
  • 自社サイトに理念やビジョンを掲載し、社内外に向けて一貫したメッセージを発信する

これにより、従業員が組織の目標に共感し、自らの仕事に意義を見出せるようになり、組織の一体感が高まります。

具体策3. 評価基準や報酬の見直し

公平で納得感のある人事評価制度と報酬制度を構築し、従業員の努力が正当に評価される環境が整えられると、従業員の自発的な創意工夫や業務改善が促進されます。

そのためには、以下の取り組みが有効です:

  • 目標達成の有無だけでなく、そこに至るまでの努力や工夫といったプロセスも評価の対象とする
  • 360度評価制度を導入し、上司だけでなく、同僚や部下などさまざまな立場の人が評価する
  • 自己評価の仕組みを導入し、従業員の自己認識を言語化、上長と共有することで、成長機会を提供する
  • 昇給やインセンティブの基準を明確にし、努力や成果が適正に反映される仕組みを整える

これにより、従業員が公平性を感じ、組織への信頼を深めることができます。

具体策4. 適切なフィードバックの実施

上司によるメンバーへの適切なフィードバックは、成果を認め、改善点があれば伝えられることから、従業員の動機付けと成長を促すことができます。

そのためには、以下の取り組みが有効です:

  • 管理職向けの研修を実施し、フィードバックの質を向上させる
  • 定期的に上司から従業員へのフィードバックを行い、成長を促進するツールとして活用する

効果的なフィードバックができるようになると、改善点を適切に伝えられるようになり、従業員は次回のフィードバックでの成長を期待して前向きに取り組むようになります。

具体策5. ワークライフバランスの改善

労働環境を適正な水準に保つことは、従業員の健康維持だけでなく、組織全体の生産性低下や離職増加を防ぐうえでも欠かせません。

そのためには、以下の取り組みが有効です:

  • 組織と個人の業務量の適正化を図る
  • 長時間労働を排除し、残業を削減するため、事前申請制度を導入する
  • 育休や介護などの休暇支援制度、フレックスタイム制度、時短勤務制度、リモートワーク制度などを導入し、従業員の働き方の柔軟性を高める
  • サバティカル休暇制度など、人事制度と報奨制度を連動させる

特に、多様な働き方を取り入れることは、従業員エンゲージメント向上に大きく貢献します。多様化したライフスタイルに対応した柔軟な働き方の導入は、ビジネスの競争力向上にも欠かせません。

ワークライフバランスの改善に関連して、2025年4月1日から改正された「育児・介護休業法」が段階的に施行されます。3歳から小学校就学前の子どもを育てる従業員を対象にした「柔軟な働き方を実現するための措置」の義務化(2025年10月1日から)や「仕事と育児の両立に関する意向聴取・配慮」の義務化(2025年10月1日から)、「育児のためのテレワーク導入」の努力義務化が盛り込まれました。

<参照>
厚生労働省 | 育児・介護休業法 改正ポイントのご案内 (P2, P4, P5)

さらに、「実家の親を介護したい」「郊外で子育てをしたい」などの理由から、遠隔地での勤務を希望する従業員も増えています。こうしたニーズに対応するため、全国どこからでも勤務できる「遠隔地勤務制度」の導入を検討するのもひとつの方法です。

ワークライフバランスについては、以下の記事もご覧ください。

▼関連記事
ワークライフバランスとは?意味や注目される背景、メリットを解説

具体策6. キャリア開発の支援

従業員の自律的なキャリア開発をサポートすると、従業員の主体性を促しながら、業務効率の向上を図ることができます。

そのためには、以下の取り組みが有効です:

  • スキルアップのための研修の実施
  • 資格取得の支援
  • キャリア相談制度の導入

これらにより、従業員は「組織に大切にされている」「獲得したスキルを活かしたい」と感じ、より前向きに働けるようになります。キャリア開発支援は、従業員が自らのキャリアを主体的に考え、その成長を組織内で活かしたいと思える環境を作るために不可欠です。

具体策7. 組織内のコミュニケーションの円滑化

従業員の成長を促進し、長期的な視点でキャリアを形成できるよう支援することは、個人の満足度向上と組織の競争力強化の両面で重要です。

そのためには、以下のサポートを提供することが効果的です:

  • 1 on 1ミーティングの実施:個別のフィードバックや相談の場を設ける
  • オンライン・オフラインを組み合わせた交流イベントの開催:従業員同士の相互理解を深める
  • シャッフル方式のランチ会の実施:日常業務での接点の少ない従業員同士の交流を促す

特に重要なのは、非言語コミュニケーションを取り入れることです。表情や声のトーンなどを通じて、相手の気持ちを理解できるため、心理的安全性を高めることができます。これにより、従業員が安心して働ける環境を作り、エンゲージメント向上に寄与します。

これらの施策を総合的に実施することで、従業員エンゲージメントを向上させ、ビジネスの持続的な成長につなげることができます。組織の状況に応じて、適切な施策を選択し、継続的に改善を図ることが重要です。

従業員エンゲージメント向上に役立つovice

従業員の集まる交流の場を提供し、コミュニケーションの円滑化を促進し、多様な働き方を実現することで、従業員エンゲージメント向上に役立つのが、バーチャルオフィスツール「ovice(オヴィス)」です。

チャットツールなどの「離席中」「対応可能」「取り込み中」といった限られたステータス表示とは異なり、oviceのバーチャルオフィスでは、誰がどこで何をしているのか、誰と話しているのかがリアルタイムで可視化されます。従業員の出社するバーチャルオフィス内では、従業員はアバターとして社内での活動が表されます。例えば「会議室で 1 on 1 ミーティング中」「オフィス内で役員同士が雑談中」といった状況が一目で把握することが可能です。

話したい相手にアバターを近づけて「肩ポン」すると、気軽に話しかけることができます。また、誰かと会話中の相手に用事がある場合は、その会話が終わるまでそばで待ち、相手がフリーになったタイミングでつかまえることも可能です。

このように、従来のステータス表示だけでは実現できなかったスムーズなコミュニケーションが、oviceのバーチャルオフィスでは実現できます。リモートワークやハイブリッドワークでは「ちょっとしたすれ違いで連絡が取れない」といった課題が発生しやすいです。またオフィス出社していても、席が離れていたら、電話やチャットなどで確認しなければなりません。しかし、oviceを活用すれば、コミュニケーションを取りたい相手がオフィス内の異なるフロア、別の拠点、海外などのようにどこにいたとしても、相手の状況が一目でわかり、スムーズなやり取りできます。

実際に「オンラインでの人間関係やチームの構築に課題を感じていた企業の 4 人に 3 人が、oviceを導入することで課題を解消した」というデータもあります。社内コミュニケーションの円滑化に課題を感じている企業は、バーチャルオフィスツール「ovice」の導入を検討してみてください。

まとめ

従業員エンゲージメントとは、従業員が自発的に「この会社に貢献したい」と思う状態を指します。しかし、労働環境や組織風土に課題を抱えていると、従業員エンゲージメントが低下することもあります。

従業員エンゲージメントを向上させるには、働き方の柔軟性向上、ワークライフバランスの改善、キャリア開発の支援、社内コミュニケーションの活性化など、さまざまな角度から働く環境を見直すことが重要です。特に、コミュニケーションの改善には、oviceのようなバーチャルオフィスツールの活用が効果的です。

従業員エンゲージメントの向上により、組織に対する従業員の愛着が高まり、モチベーションの向上、生産性の向上につながります。結果として、組織全体の成長を促す大きな要因にもなります。

従業員エンゲージメントの向上に向けて取り組むことにより、従業員が安心して働ける環境をつくり、ビジネスの成長と競争力強化につながります。

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