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テレワークで生産性はどう変わる?生産性を上げる方法も併せて紹介

新型コロナウイルスの前から、生産性向上の効果が期待できると言われてきたテレワーク。しかし、実際にテレワークを実施したものの、大した効果を感じられていない企業もいれば、逆に生産性が落ちていると感じた企業もいると思います。

テレワークで本当に生産性は上がるのか、もしくは下がるのか。その実際と理由について紹介しています。

テレワークと生産性に関する調査

テレワークで生産性が上がるのか、もしくは下がるのか。その疑問に対する答えは「どちらでもある」としか言いようがありません。

新型コロナウイルス感染拡大により、多くの企業がテレワークを導入してから、様々な企業や機関が生産性の調査を行ってきました。

例えば、日経BP総合研究所イノベーションICTラボの調査によると、コロナによる緊急事態宣言が発出された当初の2020年4月時点では、「テレワークにより生産性が下がった」と回答した割合が62.9%にものぼっていました。

一方で、その割合は徐々に低下し、直近の2022年10月時点で同様の回答をした割合は35.5%に留まっています。生産性のあがらない場合に、出勤をするようになったことがその背景にあると同調査は分析しています。

「テレワークによる業務の生産性は、職場(派遣・常駐先を含む)で仕事に取り組む場合を100とした場合、どれくらいですか」への回答

①2020年4月(宣言中):下がったは62.9%、上がったまたは変わらないは37.1%
②2020年10月(解除後):下がったは48.5%、上がったまたは変わらないは51.5%
③2021年1~2月(宣言中):下がったは46.7%、上がったまたは変わらないは53.3%
④2021年3~4月(解除後):下がったは51.1%、上がったまたは変わらないは48.9%
⑤2021年7~9月(宣言中):下がったは44.8%、上がったまたは変わらないは55.2%
⑥2021年10月(解除後):下がったは44.2%、上がったまたは変わらないは55.8%
⑦2022年2~3月(措置中):下がったは46.4%、上がったまたは変わらないは53.6%
⑧2022年3~4月(解除後):下がったは46.2%、上がったまたは変わらないは53.8%
⑨2022年10月:下がったは35.5%、上がったまたは変わらないは64.5%
▲<strong>テレワークによる業務の生産性は職場派遣常駐先を含むで仕事に取り組む場合を100とした場合どれくらいですかに対する回答<strong> 出典<a href=httpsxtechnikkeicomatclnxtcolumn1802269112700004 target= blank rel=noopener title=>日経XTECH|テレワークの生産性が大幅改善それでも喜べない理由とは<a>

また、総務省が発表した「令和3年通信利用動向調査の結果(概要)」では、「生産性の向上」を目的としてテレワークを導入する企業も3割程度存在することが確認できます。

テレワークの導入目的
①新型コロナウイルス感染症への対応(感染防止や事業継続)のため:令和3年は90.5%
②勤務者の移動時間の短縮・混雑回避:令和3年は37%、令和2年は43.1%
③非常時(自信、台風、大雪、新型コロナウイルス以外の感染症お流行など)の事業継続に備えて:令和3年は31.1%、令和2年は68.3%
④勤務者の輪0クライフバランスの向上:令和3年は27.9%、令和2年は28:4%
⑤業務の効率性(生産性)の向上:令和3年は27.6%、令和2年は29.7%
⑥障がい者、高齢者、介護・育児中の社員への対応:令和3年は12.2%、令和2年は17%
⑦長時間労働の削減:令和3年は8.5%%、令和2年は11.8%
⑧人材の雇用確保・流出の防止:令和3年は8.1%、令和2年は5.3%
⑨オフィスコストの削減:令和3年は6.5%、令和2年は4.5%
⑩業務の創造性の向上:令和3年は4%、令和2年は3.9%
⑪顧客満足度の向上:令和3年は2.5%、令和2年は3.3%
⑫省エネルギー、節電対策:令和3年は0.7%、令和2年は1.1%
⑬その他:令和3年は2.3%、令和2年は5.2%
▲テレワークの導入目的 出典<a href=httpswwwsoumugojpjohotsusintokeistatisticsdata220527 1pdf target= blank rel=noreferrer noopener>令和3年通信利用動向調査の結果概要<a>

同調査では、テレワークを導入した企業の85%以上が、それぞれの導入目的に対して「効果があった」と答えています。

テレワークの効果(令和3年)
・非常に効果があったまたはある程度効果があった:74.3%
・非常に効果があった:17.6%
・ある程度効果があった:56.7%
・あまり効果がなかった:4.7%
・マイナスの効果があった:1.4%
・効果はよくわからない:19.6%
▲テレワークの効果 出典同上

これらの結果を見ると、一定程度テレワークが生産性向上に寄与していると考えられます。ただし、後述のように、どのように取り入れるかによっても結果は大きく異なってくるため、「テレワークを導入すれば生産性が上がる/下がる」とは一概に言えません。テレワークを導入すれば必ず生産性が向上する/低下すると決めつけないで、どのように取り入れるかを考えた方が健全でしょう。

テレワークで生産性が上がる理由

必ずしも生産性が上がるわけではないものの、テレワークで生産性が上がった企業にはそれなりの理由があります。その理由を見ていきましょう。

通勤時間がなくなる

最も大きな理由は通勤時間がなくなることです。仮に片道1時間の通勤時間が合った場合、1日に2時間、1月(20日)で40時間もの時間を節約できたことになります。それだけの時間をプライベートに充てられれば、休息もしっかりとれるため生産性が上がるのは容易に想像できるでしょう。

また、通勤時間がなくなるメリットは、単に時間を節約できるだけではありません。満員電車のストレスから開放されるため、1日のパフォーマンスも高まります。朝から満員電車に押し込められ、出社した時に疲れているようでは、パフォーマンスも何割かは下がっていてもおかしくありません。朝から元気な状態で仕事できるだけでも、生産性アップが期待できるでしょう。

仕事環境を自分でコントロールできる

仕事環境を自分でコントロールできるのも、生産性を上げられる大きな要因です。オフィスでは会社が用意した環境で働かねばならず、自分でカスタマイズできる部分は限られています。しかし、テレワークならデスクや椅子を始め、仕事環境を自分好みにカスタマイズできるのです。また、オフィスでは周囲の人の声が聞こえて、長時間集中がしづらいといったケースもあり得ます。

自宅に限らずカフェで作業をしたり、中にはドライブの最中に自然の中で働く人も話題になりました。業務内容に併せて自分に合った環境を選べれば、ストレスなく働けるでしょう。

プライベートを充実させやすい

生産性を上げるには、プライベートも非常に重要です。仕事が忙しく、趣味の時間や家族との時間がとれずに満たされない思いをしている人もいるでしょう。テレワークなら仕事が終わってすぐに趣味や家族との時間をとれるため、充実した生活を送れるようになった人も増えたはず。

プライベートが充実すれば、モチベーションとともに生産性も上がります。

テレワークで生産性が下がる理由

一方でテレワークによって生産性が落ちる場合もあります。その理由には、どのようなものがあるのか見ていきましょう。

労働環境が整っていない

1つ目の理由は労働環境が整っていないこと。自分好みに労働環境をカスタマイズできるテレワークですが、中には自宅が狭くて適切なワークスペースを確保できない人もいるのです。会社にあるような立派なデスクや椅子を用意できず、仕事のしにくさを感じている人もいるかもしれません。

また、自宅の通信回線が遅いなどの理由で生産性が落ちるケースもあります。もっと早い通信回線に乗り換えたくても、集合住宅の都合で制約があるケースなどもあり、十分な労働環境を整えられない場合は生産性も下がります。

会社のルールが整っていない

会社のルールを変えずにテレワークを導入したことで、かえって生産性が落ちているケースもあります。特にコロナ禍の初期は、テレワークを導入しながらも、はんこをもらうためだけに出社している人たちが話題となりました。

テレワークは、ツールを導入するだけで取り入れられるわけではありません。テレワークに適したルールに切り替えなければ、生産性を上げるのは難しいでしょう。

コミュニケーションがとりづらい

テレワークに慣れていない人にとっては、コミュニケーションの取りづらさから生産性が落ちる人もいます。オフィスにいれば、声をかけたい手が空いていそうなタイミングを見計らってちょっとした用事で話しかけられていたのが、オンラインだと様子が見えないので憚られてしまうという経験に心当たりはありませんか。

重要な問題は会議の場で話し合っているから大丈夫というようにも思えますが、こうした小さなコミュニケーション不足が積み重なって生産性に悪影響を及ぼしてしまうのです。

マネジメントがしづらい

コミュニケーションが取りづらくなったことで、マネジメントのしづらさを感じているマネージャーもいることでしょう。部下がどんな仕事をしているのか見えなくなり、評価もできなければアドバイスもできなくなったというケースも見られます。逆に言えば、部下は上司から指示を受けづらくなり、アドバイスをもらいにくくなったことで、生産性が落ちてしまいます。

途中経過を知っていれば軌道修正も早かったのに…という経験には、上司も部下も心当たりがあるのではないでしょうか。しかし、あまりに頻繁に進捗共有を求めると、テキストでの報告作成やビデオ会議の連続になってしまい、部下も疲弊してしまいます。

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オン/オフの切替がしづらい

仕事が終わればすぐにプライベートというのがテレワークの利点ですが、逆にオン/オフの切り替えの難しさにも繋がります。仕事が終わっても、仕事モードから切り替えられずにリラックスできないと感じたことが誰しもあるのではないでしょうか。

こうした状況が続くと、本来ならプライベートで解消できていたストレスが解消できなくなり、メンタルのバランスを崩してしまうケースもあります。睡眠の質や量が下がることで、生産性が落ちてしまうケースも少なくありません。

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テレワークでの生産性を上げる方法

テレワークのデメリットを抑え、いかにメリットを活かすか。その方法について見ていきます。

コミュニケーションの量を増やす

まずはメンバー同士のコミュニケーションを増やすこと。コミュニケーションが増えれば、チームに対する理解も深まり、どのタイミングでどの人物を頼るべきかといった判断も下せるようになります。結果的に、スピード感があり無駄のない業務進行が可能となるでしょう。

しかし「たくさんコミュニケーションしてください」と社員に伝えて増えるわけではありません。会社がコミュニケーションのしやすい環境や機会を作りましょう。

たとえばオンライン会議ツールだけでなく、雑談がしやすいようなバーチャルオフィスを導入したり、定期的にメンバー同士集まれるイベントを企画するのもおすすめです。1on1を取り入れ、業務の進捗確認以外のコミュニケーションをとれる機会も作りましょう。

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ツールを導入する・見直す

テレワークには、自社に適したツールの導入が欠かせません。現在の業務フローを見直し、効率化できるツールがないか探してみましょう。例えばプロジェクトマネジメントにおいては、期日と担当者を設定できるツールを導入すれば、各自が自主的にやるべきことを確認できるようになります。

また、現在使っているツールが本当に自社に合っているか見直し、自社に合ったツールに切り替えるのも重要です。

あるいはすでに導入しているツールの機能をきちんと使いこなせているか見直すのも良いでしょう。自動化できるところがあれば自動化を設定することで、効率をアップできます。

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勤怠管理と評価制度を見直す

ツールと一緒に見直したいのが会社のルール。特に勤怠管理と評価制度はいち早く見直しましょう。テレワークでは、働く時間と場所を比較的自由に選べます。夕方に子育てをしてから夜に仕事をしたり、海外にいながら仕事をしたり。人によって働き方が異なるため、多様な働き方に対応できる勤怠管理と評価制度が求められます。

正しく評価されることで社員のモチベーションが上がるため、生産性向上に繋がるでしょう。

業務プロセスを可視化・改善する

従来の業務プロセスのままテレワークに移行しても、必ず非効率が生まれます。テレワークでの業務進行ではオンラインでのコミュニケーションが存在するため、対面でのやり取りを前提にした進行が想定通りに進まないということがあり得るからです。

テレワークに適した業務プロセスにするためにも、まずは一度プロセスを可視化して、テレワークに合うよう改善しましょう。一度の改善で最適なプロセスにはならないので、仕事をしながら都度プロセスを見直していくことが重要です。

テレワークでの生産性向上が期待できる、バーチャルオフィス

調査では、テレワークでの生産性低下の理由として、環境が整っていないことやコミュニケーションのしづらさなどが指摘されていました。

しかし今後、人材獲得の面でも、より高い生産性を実現するためにも、テレワークを取り入れることは組織にとって欠かせない戦略となってくるでしょう。生産性を向上させ事業の推進力を強めるためにも、引き続きテレワークで発生する各種課題の解決が必要です。

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SuzukiKohei
フリーのビジネスライターとして、ビジネスメディアでの執筆やベンチャー企業の採用広報を担当。起業家や投資家のほか、ベンチャー企業とのオープンイノベーションに積極的な大企業への取材を行う。