April 26, 2022
リモートワークとオフィスワークを組み合わせ、それぞれのメリットを享受できるとして注目の「ハイブリッドワーク」。今や多くの企業がその新しい働き方を取り入れようと取り組んでいるものの、思うように進まず悩んでいる担当者も少なくありません。 そこでoviceでは、4/15(金)にサイボウズ株式会社ワークスタイルエバンジェリストの大槻幸夫氏をゲストに迎え「出社とリモートの両方を叶える次世代型ワークスタイル|ハイブリッドワーク成功の秘訣」と題したイベントを開催しました。 ビジネスメタバースを展開するoVice株式会社代表ジョン・セーヒョンと大槻氏が語った、ハイブリッドワークの市況動向や定着させる秘訣をお届けします。 マストな働き方になりつつあるハイブリッドワーク ーまずは大槻さん、今起きている働き方の変化について聞かせてください。 大槻:みなさんもご存知の通り、コロナ禍でリモートワークが急に普及し、これまでのような「集まらないと成果がでない」という認識が崩れ「どこにいても成果が出せる」という認識に変わってきました。 その変化の中で、出社させたいエグゼクティブ層とリモートで働きたい労働者の衝突も起きています。欧米ではリモートワークを廃止する企業が現れ、多くの従業員が「リモートワークができないなら辞める」と退職するケースが起き始めているのです。 ただし、労働者の間でもリモートワークにおける切実な声があがっているのも事実。「オンライン会議では発言がしづらい」「雑談する機会がない」と嘆く声が聞こえます。シニアの管理職の中には、オンラインの波についていけず、コミュニケーションが減ったのが寂しく感じ出社を強要するケースも少なくありません。 エグゼクティブ層、労働者ともにフルリモートの働き方に限界を感じてきており、その中でハイブリッドワークに注目が集まっています。 ージョンさんは、この働き方の変化をどのように捉えていますか? ジョン:コロナ禍への対策として始まったリモートワークが、今では経営戦略の中心になりつつあると感じています。もしも、私たちのサービスがコロナ対策だったとしたら、緊急事態宣言が解除された時に多くの企業に解約されているはずでした。 しかし、実際はそうならず、多くの企業が出社をしながらもリモートで働ける環境を残したのです。大槻さんも言ったように、今やリモートワークは優秀な人材を確保しておくためには欠かせない働き方。多くの企業がハイブリッドワークのためにoviceを活用し続ける選択をしてくれました。 コロナ禍で多くの企業が頭を抱える「人事評価」。2社の見解は? ーコロナ禍で働き方も大きく変わりましたが、その中で企業が抱えている課題についても聞かせてください。 大槻:多くの企業が口をそろえて言うのは、評価に関する困りごとです。オフィスに出社していれば部下が働いている姿が見えていたので、難なく働きぶりを把握できていました。しかし、リモートワークになると仕事ぶりが見えず、適切な評価ができなくなったのです。そこで、メンバーシップ型雇用から、ジョブ型雇用にシフトして成果で評価しようという議論が増えてきています。 しかし、それは本質的な解決にはならないと思います。歴史を見てみると、実は60年も前から日本は「ジョブ型雇用に以降しなければ」と議論をくり返してきました。それでも未だに移行できていないのは、私たち日本人の感覚にジョブ型雇用がなじんでいないから。 大事なのは、雇用制度を見直すことではなく、働き方を可視化することです。ツールを使って働きぶりを可視化さえできれば、これまでのメンバーシップ型でも適切な評価ができるはずです。oViceさんでは、その点はどのような人事制度を敷いていますか? ジョン:全ポジションに評価テーブルを設ける形で評価制度を運用しています。とはいえ評価制度はまだ始まったばかりで、今後もブラッシュアップしながら続けていく予定です。 働き方の面では「勤務中はovice上にいる」というルールがあり、「今は誰が仕事をしているか」「誰と誰が会話しているか」などが誰でもひと目で分かるようになっています。「勤務場所は快適な通信環境があれば世界中どこからでもOK」とメンバーには伝えています。 そのため、oViceメンバーはグローバルで韓国、アメリカ、チュニジアと場所は様々で全社員フルリモートワークでも一体感を持って仕事を進めることができています。 また、必ずしも日中に働く必要はなく、自分の都合の良い時間でやるべきことさえやればいいと私自身は考えています。このような働き方は私たちのフェーズだから成り立っているのかも知れませんが、「もっとメンバーを信頼してほしい」と世の中の経営者にはお伝えしたいです。メンバーを信頼して仕事を任せ、メンバーはプロフェッショナルとしてその信頼に応える。そのような関係性が築ければ、ハイブリッドワークも実現できると思います。 ハイブリッドワークでメンバーの個性を活かした働き方を実現 ーサイボウズはハイブリッドワークを導入してますが、具体的にどのような働き方をしているのか教えてください。 大槻:ハイブリッドワークと称していますが、実際に出社しているのは10%くらいです。IT企業としては当たり前の数字に感じるかもしれませんが、1,000名以上の組織でリモートワーク率90%は高い数値だと思います。 とは言え、私たちもすぐにハイブリッドワークに適応できたわけではありません。コロナ禍でリモートワークを余儀なくされた時は困惑し、試行錯誤しながら今の働き方を作ってきました。…