社内コミュニケーションの活性化につながる取り組みと成功事例
社内コミュニケーションが活性化すると、生産性や顧客満足度の向上・離職率の低下など多くのメリットがあります。
しかし、社内コミュニケーションに課題を持つ企業は少なくありません。
この記事では、社内コミュニケーションの活性化につながる取り組みや、アイデアや成功させるポイント・企業事例を詳しく紹介します。ぜひ参考にしてみてください。
目次
社内コミュニケーションの目的とは
社内コミュニケーションを活性化させる目的は、円滑な組織運営の実現です。
そもそも社内コミュニケーションは、職場における社員同士の情報共有や交流を指し、健全な組織作りに貢献します。
部署内だけでなく部署を超えた連絡や、飲み会や忘年会などのイベント、オンライン上のツールを使ったやり取りも、社内コミュニケーションに含まれます。
社内コミュニケーションが活性化すると、社内での情報共有が促進されます。同僚や上司に相談しやすい環境が整い、トラブルやミスの削減効果も得られます。
さらに、企業やチームにおける心理的安全性が高まって離職率が低下するなど、長期的なメリットも期待できるのです。
社内コミュニケーションの目標設定例
社内コミュニケーションの活発化を実現するには、目標を設定して社員と共有することが大切です。曖昧な目標では社員に伝わらず実行につながらないため、具体的な表現を使いましょう。
社内コミュニケーションの目標設定例は、次の通りです。
<社内コミュニケーションの目標設定例>
- 1on1ミーティングを月に1度実施する
- 週に1度、朝礼を開く
- 部署間の交流イベントを開催する
- チャットメッセージにリアクションを取る
- 異なる拠点にいるメンバーが交流できるようオンライン飲み会を開催する
社内コミュニケーションに課題を抱える企業は約7割
2023年、HR総研が発表した「HR総研:社内コミュニケーションに関するアンケート 結果報告」では、「社内コミュニケーションに課題がある」と答えた企業は7割近くいました。
とくに大企業では、「部署内の課長とメンバー」「部門間」「経営層と社員」の関係において、コミュニケーションの課題が指摘されています。
同調査ではコミュニケーション不全により、会社が「目指す方向へ認識の統一」ができない、「迅速な情報共有」ができないなど、業務に支障をきたしていることがわかっています。
また、2023年に日経BP総合研究所イノベーションICTラボが実施した調査によると、約2割が「テレワークにより会社への帰属意識が弱まる」と回答しています。
テレワーク環境では、コミュニケーションの機会が少なくなることによって、社員が孤独感を抱えるなどの課題も生まれやすく、改善に向けた取り組みが必要です。
<参考>
HR総研:社内コミュニケーションに関するアンケート 結果報告|HRpro
さらば愛社精神、4人に1人が在宅勤務で「心」もオフィス離れ|日経XTECH
社内コミュニケーションを活性化する重要性
ここでは、社内コミュニケーションの活性化が重要な理由や、活性化することで得られるメリットを紹介していきます。
働く意欲が高まる
社内コミュニケーションを活性化することで、社員の働く意欲が高まります。社員のモチベーション管理は、企業経営において非常に重要です。
社内コミュニケーションが活発な企業風土では、自分の意見が否定されにくいので働きやすくなり、仕事のモチベーションが高まります。また、社員同士がコミュニケーションをしっかり取ることでお互いの個性や能力を把握しやすくなり、チーム力の向上につながります。
イノベーション創出につながる
役職や部署を超えて話し合える職場環境が整うと、自分にはなかったアイデアを得やすくなり、イノベーション創出につながります。
イノベーションを生み出すには、最新のテクノロジーや社会問題などを学ぶことが大切です。役職や年齢に関係なく意見交換する場を社内に設けると、日々の業務では得ることが難しい情報に触れることができ、アイデアが生まれやすくなります。
また、やる気や発想力のある優秀な社員の発掘にも役立つことも、期待できるメリットの一つです。
生産性が向上する
社内コミュニケーションが活性化されると情報共有がスムーズになるため、業務のやり直しやミスが減り、組織全体の生産性が向上します。
例えば営業部門であれば、成約に至らなかった失敗事例を共有することで、アプローチの改善につながるでしょう。
良好な関係が構築されている風通しの良い組織であれば、トラブルが起こったとしても解決の糸口を見つけやすくなります。チーム内でフォローができるので、課題の迅速な解決につながります。
離職率が低下する
円滑な社内コミュニケーションが実現すると、社員一人ひとりが働きやすくなり、離職率が低下する効果も見込めます。
上司や同僚に相談しやすくなることで、お互いにフォローする雰囲気が生まれ、安心して働ける環境が整うためです。
顧客満足度が向上する
社内コミュニケーション活性化による効果の一つとして、顧客満足度の向上が挙げられます。社員間の連携が強化されて情報共有がスムーズになり、顧客対応が素早くなるからです。これによって、担当者がいなくても別の人がフォローする体制が整い、結果として顧客からの信頼感が高まります。
さらに、社員一人ひとりの「伝える力」や「聞く力」が磨かれていくと、顧客のニーズや不満を的確に把握できるようになります。改善点をサービスや商品に反映させることで、業務品質の向上も期待できます。
社内コミュニケーションが活性化する取り組み・アイデア7選
ここからは、社内コミュニケーションが活性化する取り組みや、具体的なアイデアを紹介していきます。
1on1ミーティング
1on1ミーティングとは、上司が部下に対して行う個人面談のことです。起業活動が盛んなアメリカのシリコンバレーで始まったといわれています。
近年、転職が一般化して社内の人員が流動的になっていることから、社員との絆を強める方法として注目されるようになりました。
定期的に1on1ミーティングを実施することで、会社と社員の双方に以下のメリットがあります。
- 信頼関係が深まる
- 部下の成長が促進される
- パフォーマンスが向上する
- チーム形成に役立つ
関連記事:
1on1とは?目的や話すこと、具体的なやり方を解説!
フリーアドレス
フリーアドレスは、職場の席を固定せず、社員が自由に席を選んで働く制度を指します。
毎日違う人が隣りに座ることで部署間のコミュニケーションが促進され、社内コミュニケーションの活性化に有効です。社内交流だけでなく、新しいアイデアやイノベーションの創出を目的に、フリーアドレスを導入する企業も少なくありません。
フリーアドレスを効果的に実施するには、離れた席に座ったチームメンバーと連絡が取れるように、コミュニケーションツールの活用がおすすめです。
関連記事:
フリーアドレスとは?課題と解決方法・ツールの選定方法をご紹介
フリーアドレスの廃止が増加中?導入のメリット・デメリットを解説
飲み会・ランチ会
飲み会やランチ会のような交流イベントも、社内コミュニケーションの活性化に効果的です。
食事をしながら気軽に話す機会を持つことで、お互いの性格やスキル、仕事内容などを把握できます。
食事にかかる費用を会社が負担することで、参加率の向上が見込めます。また、就業後の飲み会には参加できない人もいるので、プライベートを犠牲にしないランチ会の開催も検討しましょう。
社内報・社内SNS
社内報や社内SNSを導入すると、スムーズな情報共有が実現します。それぞれの概要は次の通りです。
手段 | 概要 |
社内報 | 組織のニュースやイベント、業績、新しいプロジェクトの進捗状況などの情報をまとめて伝えるツール |
社内SNS | 社員同士が交流できるオンライン上のプラットフォーム |
どちらも、組織の一体感やコミュニケーションの活発化を醸成できます。
メンター制度
メンター制度は、年齢の近い先輩社員が新入社員の悩みを聞き、成長を支援する制度です。
社会人経験のある社員がメンター(先輩)として、新入社員(後輩)と密なコミュニケーションを取ることで、新入社員にとって安心できる居場所が構築されます。
オンラインを含めた社内イベント
オンラインを含めた社内イベントも、社内コミュニケーションの活性化に有効です。
花見や社員旅行、スポーツ大会などの社内イベントを通じて、社員同士が自然に話す機会を提供できます。Web会議ツールやバーチャルオフィスを活用することで、オンラインでもゲーム大会や飲み会の開催が可能です。
自宅で働く社員や、別の拠点にいるメンバーとの交流が促進され、組織として一体感が生まれます。
休憩スペースの充実化
オフィスの休憩スペースを充実させると、社員同士の自然なコミュニケーションが生まれやすくなります。
例えば、カフェのようにリラックスできるスペースを社内に設け、コーヒー休憩やランチタイム用に開放しておくと、他部署の社員と顔を合わせる機会が増えます。
社内コミュニケーションを活性化させるポイント
社内コミュニケーションの活性化に向けた取り組みは、単に実践するだけでは効果が出ないケースがあります。
取り組みを成功させるためのポイントとして、今回は次の3つを紹介していきます。
- 社員の意見を聞く機会を作る
- 会話が自然に発生する環境を整える
- コミュニケーションツールを導入する
社員の意見を聞く機会を作る
まずは、社員の意見を聞く機会を設けて、社内コミュニケーションの活性化に向けてどのような施策に取り組むかを決めましょう。
社員の意見を取り入れないまま社内コミュニケーション活性化の施策を実施すると、取り組みが社内に浸透せず、形骸化してしまうからです。
社員の意見やニーズを聞き出す方法として、アンケートの実施がおすすめです。例えば、アンケートに以下の項目を含めることで、社員のコミュニケーションに関する要望や課題を聞き出せます。
- 自分の意見が社内で尊重されているか
- 相談しあえる雰囲気があるか
- トラブルの発生時に周囲からのサポートがあるか
- コミュニケーションツールをうまく活用できているか
また、1on1ミーティングやメンター制度などを通じて、仕事の悩みや会社への要望を含めてヒアリングする方法も有効です。社員の意見を尊重することで、満足度の高い施策の実施が可能になります。
会話が自然に発生する環境を整える
オフィス内に、社員同士の会話が自然に発生する環境を作りましょう。
具体的には、社員がリラックスできる雰囲気のリフレッシュスペースやフリースペース、オープンなミーティングスペースを導入すると、自然なコミュニケーションの発生が期待できます。
例 | 詳細 |
リフレッシュスペース | ・仕事の合間で休憩ができるスペース・飲み物を充実させると社員が集まり、コミュニケーションが生まれやすくなる |
フリースペース | ・大人数を収容でき、用途ごとにレイアウトの変更が可能なスペース・社内イベントの開催が可能になる |
オープンなミーティングスペース | ・予約が必要ないようなミーティングスペース・ちょっとした打ち合わせが可能になる |
加えて、座席のレイアウトを工夫することも重要です。ジグザグの配置にしたり、ワンフロアに全部署のデスクを集約させたりすることで、顔を合わせる機会が増えて話しかけやすくなるでしょう。
コミュニケーションツールを導入する
社内コミュニケーションの活発化につながるツールの代表例として、以下のようなものがあります。
ツールの代表例 | 概要 |
Web会議ツール | オンライン会議を可能にするツールで、資料を共有しながら会話ができる。カメラや音声を通じてコミュニケーションを図ることが可能 |
グループウェア | タスク管理やカレンダー、メール、アドレス帳、社内の施設予約などの機能がまとまったツールで、社内の情報共有を促進できる |
チャットツール | テキストベースでメッセージを送信でき、資料や画像、動画の共有もできる |
バーチャルオフィス | インターネット上に作り出された仮想オフィス。テレワークでも社員の勤務状況を可視化できるため、一体感が生まれる |
oviceは、従業員を働く場所の制約から解放し、活発な交流を促すバーチャルオフィスです。多数のコミュニケーション機能が搭載されているため、テレワーク中でも実際に顔を合わせているような感覚で気軽に話しかけられます。
社内コミュニケーション活性化に成功した企業事例
ここでは、社内コミュニケーションの活性化に成功した5つの企業事例を紹介していきます。
- 350名がビジネスメタバース上の社内イベントに集合|株式会社リコー
- 社内SNSでドライバー同士の情報共有が促進|佐川急便株式会社
- 営業関連の通知をチャットに集約し生産性が向上|株式会社LIFULL
- 福利厚生による全社ランチ企画と食事代の補助|フォルシア株式会社
- フリーアドレスとハイブリッドワークでも社員の状況を可視化|株式会社梓設計
350名がビジネスメタバース上の社内イベントに集合|株式会社リコー
株式会社リコーは全国各地に拠点があるため、社員全員が一箇所に集まることは困難でした。そこで、ビジネスメタバースoviceを活用し、社内コミュニケーションの一環として「RICOH BIL Tokyo Summit 2022」を開催。全国から350名以上が参加し、交流を深めました。
バーチャルイベント会場には舞台と座席を設け、知り合い同士で近くに着席することで、同じ場所で一緒に参加しているような体験を提供しています。チャットにコメントやスタンプでの反応が多く書き込まれるなど、活発な交流につながりました。
関連記事:
「隣に座る」ができるoviceでの社内イベント。参加者350名の“一体感”が実現
社内SNSでドライバー同士の情報共有が促進|佐川急便株式会社
物流業界のリーディングカンパニーである佐川急便株式会社では、社内SNSを活用しドライバー同士でコミュニケーションを図っています。
従来は携帯電話を用いていましたが、1対1のコミュニケーションに留まってしまい、グループ間の情報共有に滞りが生じてしまう点に課題がありました。
そこで社内SNSを導入し、想定利用シーンのテンプレートを準備して共有することで、スムーズな情報共有を実現しています。「道路が凍結している」など道路状況の共有にも活用し、ドライバー同士の連携強化につながりました。
営業関連の通知をチャットに集約し生産性が向上|株式会社LIFULL
物件情報プラットフォームを運営する株式会社LIFULLでは、デジタル技術を活用して効率的なコミュニケーションを実現しながら、柔軟な働き方を構築しています。
具体的には営業活動を効率化するために、CRMツールとビジネスチャットツールを連携。承認プロセスにおける通知をビジネスチャットに集約させる仕組みを構築することで、受注後のクイックなレスポンスを実現しています。
その結果、承認までにかかる時間が20%削減され、生産性向上につながりました。
<参考>Slack 活用で受注後リードタイム 20% 削減を見込む LIFULL|Slack
コミュニケーションを活性化させる全社ランチ企画と食事代の補助|フォルシア株式会社
DXソリューションなどを提供するフォルシア株式会社では、コミュニケーション活性化に向けた様々な取り組みを実施しています。
具体的には、会社からピザなどが提供されて全社でランチを楽しめる企画や、社員同士の食事会の費用を会社が負担する制度を導入。そのほか、社員発案によるアウトドアやスポーツイベント企画も奨励しています。
部署や役職を超えてコミュニケーションを円滑にするためのイベントや制度を導入し、話しやすい文化を醸成しようとする姿勢がうかがえます。
<参考>コミュニケーション活性化 |フォルシア株式会社の採用情報
フリーアドレスとハイブリッドワークでも社員の状況を可視化|株式会社梓設計
株式会社梓設計では、フリーアドレスとリモートワークを取り入れたワークスタイルを実施しています。ビジネスメタバースoviceを導入し、在宅勤務とオフィス勤務のメンバー全員が一つの空間にいる「ワンプレートオフィス」を実現。
在宅勤務中のメンバーの状況が可視化されるため、社員同士がつながる場として活用されています。oviceでは「今いいですか?」といった気軽な声がけができ、短時間のコミュニケーションを実施できる点が特徴です。
今後は全国の拠点や海外拠点との連携を強化するために、oviceの利用拡大を検討しています。
関連記事:
フリーアドレス×ハイブリッドワーク 梓設計でのovice活用法
メンターが女性のキャリアを支援|キリンホールディングス株式会社
キリンホールディングス株式会社では、2008年より女性の総合職や経営職のキャリア支援を目指し、「キリンメンタリングプログラム」に取り組んでいました。
同プログラムでは、身近にロールモデルや相談できる人を作り、継続的な就業を支援するために、役員がメンターとしてメンタリングを実施。その結果、課題となっていた総合職で5年目の女性社員の離職率が低下し、女性経営職の増加につながったといいます。
さらに困ったことがあればメンターに相談し、自身も後輩のキャリアを支援するなど、社内では女性活躍を推進する文化が醸成されました。
まとめ
社内コミュニケーションの活性化は、円滑な企業活動に欠かせません。社員同士の密なコミュニケーションが行われることで、生産性や顧客満足度の向上や、イノベーションの創出など、様々なメリットが得られます。
社内コミュニケーションの活性化に向けた具体的な取り組みとして、フリーアドレスやメンター制度などを導入すると効果的です。オンライン上のコミュニケーションを図るには、ツールを活用すると効率的な情報共有が実現します。
oviceはどこからでも参加でき、業務上の交流を促すバーチャルオフィスです。インターネット上の仮想オフィスに出勤し、実際に顔を合わせているような交流ができます。
社内コミュニケーションを活性化しながら柔軟な働き方を実現したい場合、ぜひ検討してみてください。