採用課題とは?新卒・中途の採用市場や解決方法、成功させるポイントを紹介
新卒採用や中途採用において、「優秀な人材が集まらない」「自社が求めている人材を確保できない」などの課題を抱える企業担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
企業が採用活動を成功させるには、採用課題を明らかにして改善することが大切です。
この記事では、最新の採用市場や、新卒採用と中途採用における課題と解決方法、採用活動を成功に導くポイントを紹介します。
目次
採用課題とは
採用課題とは、簡潔に説明すると、企業の採用活動がうまく進まない原因のことです。
候補者に対して効果的にアピールができていないなどの内部要因だけでなく、市場の動向や人口減少といった外部要因も含まれます。
採用課題を解決して優秀な人材を確保するには、社会動向を踏まえつつ、各採用プロセスに課題はないか分析し、改善を繰り返すことが重要です。
【2023年最新】採用市場はどう変化している?中小企業は厳しい状況に
採用課題を考えるために、まずは外部要因である採用市場の状況を見てみましょう。
新卒採用と中途採用、それぞれ順番に説明していきます。
新卒採用
2022年10月に実施された株式会社ディスコの調査によると、2023年卒の内定者充足率の平均は71.3%であることがわかりました。
内定者充足率とは、企業の採用予定数に対する内定者数の割合のことです。内定者充足率は、採用活動の成功を示す重要な指標となっています。
調査結果によると大手企業すら8割に届かず、従業員規模が小さいほど内定者充足率は下がる傾向にあり、目標割れしている中小企業は多いと考えられます。
中途採用
続いて、2023年に報告されたリクルートワークス研究所の調査から、中途採用における実態を見てみましょう。
調査結果によると、2022年度下半期では「必要な人数を確保できなかった」という未充足企業の割合(52.7%)が、「必要な人数を確保できた」という充足企業の割合(45.8%)を上回っていることがわかりました。
これは2013年以来、もっとも低い数値となっています。都市部への人材流動や人口減少などが原因で、採用難易度が高まっていると考えられます。
続いて、2023年に報告されたリクルートワークス研究所の調査から、中途採用における実態を見てみましょう。
調査結果によると、2022年度下半期では「必要な人数を確保できなかった」という未充足企業の割合(52.7%)が、「必要な人数を確保できた」という充足企業の割合(45.8%)を上回っていることがわかりました。
これは2013年以来、もっとも低い数値となっています。都市部への人材流動や人口減少などが原因で、採用難易度が高まっていると考えられます。
採用課題の発見・分析方法
採用課題は、内部要因と外部要因から成り立っています。外部要因に働きかけることは困難ですが、内部要因であれば改善が可能です。
内部要因、つまり社内の採用課題を発見するには、採用プロセスを細分化して分析し、プロセスごとの課題を見つけることが大切です。
「エントリー〜選考〜内定」までの採用フローのなかで、どのタイミングで次のプロセスに進む割合が低下しているかを確認すると、改善ポイントを見つけられます。
例えば、次のように書類選考から面接へ進む割合が著しく低い場合、書類選考の方法や候補者との連絡などに課題があると考えられます。
選考フロー | 通過人数 | 通過率 |
エントリー | 100名 | 80% |
会社説明会 | 80名 | 75% |
筆記試験 | 60名 | 67% |
書類選考 | 40名 | 15% |
面接 | 6名 | 50% |
内定 | 3名 | 67% |
入社 | 2名 | – |
【新卒採用】採用課題一覧と解決方法
ここからは、新卒採用における代表的な課題と解説方法について、それぞれ詳しく説明していきます。
中途採用における代表的な課題と解説方法については、次の項目(こちら)で説明します。
採用課題一覧
新卒採用の代表的な課題 | 概要 |
母集団形成が難しい | 多くの企業で新卒採用を実施しており競争が激しく、候補者が集まらない |
求める人材を獲得できない | 求人要件に対する応募者のスキル不足 |
応募者から辞退される | 学生とのコミュニケーションが不足しているなどの理由で、他社に流れてしまう |
新卒採用の代表的な採用課題として、主に次の3つがあります。
- 母集団形成が難しい
- 求める人材を獲得できない
- 応募者から辞退されてしまう
母集団形成とは、採用活動の初期段階で学生からの認知を獲得し、応募者の集団を作ることです。母集団形成の課題として、候補者が少なすぎたり、候補者が集まっても求める人材の水準に達していなかったりすることが挙げられます。
また採用したい候補者に内定を出しても、コミュニケーション不足や他社からより魅力的なオファーがあった場合には、辞退されてしまう可能性もあります。
解決方法
新卒採用の代表的な課題を解決するにはどのような方法があるのでしょうか。代表的な採用課題別に見ていきましょう。
新卒採用の代表的な課題 | 解決方法 |
母集団形成が難しい | ・自社が魅力的に映るよう掲載情報や採用チャネルを見直す ・自社サイトで社員インタビューを掲載するなど、掲載情報を充実させる |
求める人材を獲得できない | ・ペルソナを現実的な路線に再設定する ・評価基準を統一し書類審査や面接時に社内でぶれがないようにする |
応募者から辞退される | ・候補者に合わせ複数チャネル(メール、SNS、内定者ページなど)でコミュニケーションを充実させる ・選考フローをわかりやすく改善する |
母集団形成が課題の場合
母集団形成に課題がある場合、自社がターゲットとするペルソナに対して魅力的な採用チャネルを使用し、掲載情報を見直すことが大切です。
思うような反応・成果が得られない場合は、ターゲットに刺さるような訴求内容に変更することも検討しましょう。
求める人材の獲得が課題の場合
求める人材の獲得が課題の場合は、ペルソナの再設定や、評価基準の統一が有効です。
架空の人物を想定しながら、ペルソナをなるべく詳細に設定しましょう。働く価値観は多様化しているため、自社で活躍している人材をモデルにしながら検討することが大切です。
また、面接を行う各部署で評価基準を統一することにより、採用の精度を向上できるでしょう。
応募者からの辞退が課題の場合
応募者からの辞退が課題の場合は、コミュニケーションの充実化や選考フローの改善が必要です。
とくに内定後の辞退を防ぐためにも、メッセージや交流会などを通じてコミュニケーションを続けるようにしましょう。
選考フローに関しては、遠方の候補者もフォローできるようにオンライン面談を実施することで、歩留まりの低下を防止できます。
【中途採用】採用課題一覧と解決方法
続いて、中途採用の代表的な課題と解決方法を紹介します。
採用課題一覧
中途採用の代表的な課題 | 概要 |
母集団形成が難しい | 計画的な新卒採用とは異なり、中途採用は採用ニーズの発生に応じて募集をかけるので、応募者数が極めて少ないこともある |
採用コストが高い | 自社の条件にマッチした人材を見つけるのは難しく、新卒採用よりも採用コストが高くなる傾向にある |
早期離職が多い | コストをかけて採用したものの、入社後すぐに辞めてしまう |
中途採用は、新卒採用とは異なる難しさがあります。中途採用の代表的な課題として、次の3つが挙げられます。
- 母集団形成が難しい
- 採用コストが高い
- 早期離職が多い
新卒採用は計画的に行われますが、中途採用は社内ニーズが発生した際に行われます。新卒採用のように候補者は準備できないため、急に求人を出しても応募者を確保しにくい点が課題です。
また、即戦力や高い専門性を持ち合わせる人材の獲得は、新卒採用よりも採用コストが高くなる傾向にあります。人材会社などの外部パートナーを利用すると、ある程度の予算を確保する必要があるでしょう。
コストをかけて採用しても、入社後に「この会社は合わない」と判断されると、早期離職につながる恐れがある点も課題の一つです。
解決方法
続いて、中途採用の代表的な課題を解決する方法を見ていきましょう。
中途採用の代表的な課題 | 解決方法 |
母集団形成が難しい | ・市場環境について調査分析する ・募集ポジションごとに採用ターゲットの詳細な設定 |
採用コストが高い | ・外部パートナーに依存しない自社での採用活動を強化 |
早期離職が多い | ・適切な教育計画策定やOJTの実施などのフォロー ・気軽に質問できるような空気作り |
それぞれ、詳しく説明していきます。
母集団形成が課題の場合
中途採用における母集団形成は、職種や役職によって大きく異なります。
例えば、営業職や事務職などの文系職と、研究職やエンジニアなどの理系職を比較すると、特定の専門スキルを持つ理系人材の獲得の方が難しいです。このことから、職種によって母集団形成の施策を変える必要があります。
まずは、募集する職種や役職ごとに、他社との競争状況や市場環境を調査し、外部要因を理解することが大切です。加えて、ペルソナを詳細に設計してどの採用チャネルを使用すれば良いか、職種や役職ごとに検討しましょう。
採用コストが課題の場合
採用コストを圧縮するには、自社での採用活動強化が有効です。
採用活動においては、大別して2種類のコストが発生します。
- 社内で発生する経費などの内部コスト
- 社外に支払う外部コスト
求人広告の出稿や採用イベントへの出展、人材会社など、外部の採用チャネルを利用する場合、一定のコストがかかります。外部コストを抑えるには、自社の採用サイトを活用すると効果的です。
例えば、自社の採用サイトに社員インタビューを掲載し、より柔軟に自社の魅力や社員のリアルな声を載せる方法があります。社員インタビューを読んで共感した候補者が求人に応募すれば、外部サービスを利用するよりも安価に人材を獲得することが可能です。
また、社員の紹介によって採用につなげる「リファラル採用」も有効です。
リファラル採用が実現した場合には、紹介した社員にインセンティブを支払う必要がありますが、外部コストと比較すると大きな費用はかかりません。
以上のように、外部コストを抑えて自社の採用活動を強化することで、採用コストの課題解消につながります。
早期離職が課題の場合
中途採用者の早期離職に関する課題を解決するには「なぜ、早期離職が起こってしまうのか」、原因を考えることが大切です。
早期離職の原因として、次のような内容が考えられます。
- 企業イメージや社風が入社前の想定と異なっていた
- 想定ポジションの業務内容が食い違ってしまった
- 入社後のフォローが不足していた
早期離職を防ぐには、例え即戦力として採用していたとしても、適切な教育計画やOJTの実施など、適宜フォローが必要です。また、チーム内で気軽に質問できるような空気作りも欠かせません。
入社後のギャップを最小化するためにも、定期的に業務内容のすり合わせを行いましょう。
採用活動を成功に導くためのポイント
採用活動の課題を解消して成功に導くには、次の3つのポイントが大切になります。
それぞれ、詳しく見ていきましょう。
現場と人事で求める人材像を一致させる
新たな人材を求める現場と採用活動を進める人事部で、ターゲットのイメージ像を一致させることが大切です。
現場と人事部でターゲットが一致していなければ、人事担当者が書類選考を通過した人材が現場のニーズと異なり、通過率が下がってしまいます。
不一致のまま採用活動を続けても課題を解消できないため、求める人材像を部署間ですり合わせることが必要です。
採用スピードを改善する
採用スピードを改善することで、人材確保につながりやすくなります。
採用活動におけるスピードが遅く、各フェーズで合否の通知が遅くなってしまった場合、候補者は別の企業を選んでしまう可能性があります。
すぐに返信がなければ応募を諦めてしまうこともあるため、常にスピード感をもって対応しましょう。
多様な働き方を採用する
求職者のなかには、柔軟な働き方が用意されている会社で働くことを希望する人もいます。
そこで企業は、フルリモートワークやハイブリッドワーク、フレックスタイムなど、多様な働き方を導入し、求人媒体などでアピールすることが重要です。柔軟な働き方に関心の高い候補者からの応募が増え、母集団形成につながるでしょう。
多様な働き方を支えるツールとして、ビジネスメタバース「ovice」があります。oviceは従業員を働く場所の制約から解放して、柔軟な環境を提供しながら交流を促す2次元のバーチャルオフィスです。
アバター同士の交流により、実際のオフィスにいるかのようなコミュニケーションが実現できます。
まとめ
採用課題は内部要因と外部要因から構成されており、自社で対応できる内部要因にフォーカスして改善する必要があります。
改善すべき課題を特定するには、採用プロセスを細分化して、歩留まりが低下している段階を特定しましょう。
また、多様な働き方を導入して訴求することは、より優秀な人材の獲得につながります。
多様な働き方を導入する上で、ビジネスメタバース「ovice」を活用すれば、リモートワークでも、社員同士で手軽にコミュニケーションをとることが可能です。
採用課題の解決に向けてリモートワークなどの導入を考える際には、ぜひoviceの導入も一緒に検討してみてください。