テレワークとは?メリット・デメリット、リモートワークとの違い、どんな仕事に向いているかを解説
テレワークとは、ICT(情報通信技術)を活用して場所や時間にとらわれず働くことです。企業がテレワークを導入すると、人材確保やコスト削減など様々な効果が得られます。
この記事では、テレワークの定義や現状からメリットとデメリット、どのような仕事・職種に向いているのかまで、わかりやすくご紹介します。
企業でテレワークを定着させるポイントも紹介するので、テレワークを自社に取り入れるべきか迷っている企業担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
テレワークの意味・定義とは
総務省によると、テレワークとは「ICT(情報通信技術)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」のことです。英語のテレ(tele:離れた場所)とワーク(work:働く)を組み合わせた言葉が由来となっています。
企業がテレワークを導入するメリットとして、ワークライフバランスの改善や、出産や介護などライフステージの変化による離職防止などが挙げられます。
柔軟な勤務形態は魅力的な就業条件の一つであるため、求職者に対するアピールポイントにもつながるでしょう。
<参照>総務省|テレワークの意義・効果
テレワークにも種類がある
一般社団法人 日本テレワーク協会によると、テレワークの主な種類として、次の4つが挙げられています。
それぞれの概要を、詳しく見ていきましょう。
在宅勤務
在宅勤務は、自宅を就業場所とする働き方です。コロナ禍において、日本でも一つの働き方として広く認知されました。
在宅勤務は育児や介護などプライベートの用事と両立しやすく、通勤が必要なくなるため時間を有効活用できるようになります。
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モバイルワーク
モバイルワークは、移動中の新幹線、カフェ、空港、ホテルなど、一時的に立ち寄る場所を就業場所とする働き方です。
外出が多い営業担当者に向いている働き方で、隙間時間を使って業務に取り組めます。訪問先から時間をかけてオフィスに戻り、作業する必要がなくなる点がメリットです。
サテライトオフィス勤務
サテライトオフィス勤務は、自社から離れた施設で業務に従事する働き方です。サテライトオフィス勤務なら、出先から近い場所で働けるため利便性が高まります。
自社専用のサテライトオフィスだけでなく、会員制のコワーキングスペースやシェアオフィスを利用する場合もあります。
ワーケーション
ワーケーションは、work(働く)とvacation(休暇)を組み合わせた言葉で、リゾート地で休暇を過ごしながら働くスタイルです。
コロナ禍において、一部の自治体がワーケーションを取り入れたことで話題になりました。
例えば、自治体のなかでも、和歌山県は早期からワーケーションを提唱。「ワーケーションの聖地」と呼ばれる白浜町では、企業の保養所などを活用し、大手IT企業がサテライトオフィスを設けたことで注目されるようになりました。和歌山県は、ワーケーションを「価値創造ツール」と捉え、積極的に受け入れを進めています。
従業員にとってはストレス軽減効果があり、企業にとっては従業員の満足度が高まり人材流出の防止に効果的です。また、ワーケーションは受け入れ先の経済や地域活性化にも貢献します。
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テレワークとリモートワークに違いはある?
「テレワーク」と似た言葉として「リモートワーク」があります。呼び方は異なりますが、2つの言葉の意味に大きな違いはありません。
「tele(テレ)」と「remote(リモート)」には、どちらも「遠く離れた」という意味があり、「テレワーク」も「リモートワーク」もオフィス外での勤務形態を表しています。
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日本におけるテレワークの現状
国土交通省は、総務省、厚生労働省などと連携し、働き方改革の一環として「テレワーク」の普及に努めています。
実際、日本ではどれくらいテレワークが普及しているのでしょうか?
国土交通省が発表した「令和4年度 テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)-」によると、2022年の全国における雇用型テレワーカーの割合は26.1%でした。前年比で0.9%減となりましたが、ほぼ同水準をキープしています。
また同調査では、テレワークの実施状況を居住地域や企業規模別で見たときに、首都圏が約4割と最も高くなっています。企業規模が大きくなるほど、テレワーカーの割合が高いことも明らかになりました。
<参照>国土交通省|令和4年度 テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)-
テレワークに関する助成金・補助金について
企業がテレワークの実践や定着を図るには、パソコンや勤怠管理システムなどを用意する必要があり、環境整備にコストがかかります。
そこで、国や自治体は、テレワークの導入に活用できる助成金や補助金を提供しています。
ここでは、テレワーク促進助成金、人材確保等支援助成金(テレワークコース)、IT導入補助金を紹介します。
テレワークに活用できる助成金・補助金の概要(2023年9月時点) | |
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テレワーク促進助成金 | ・公益財団法人東京しごと財団が主催・30人〜999人以下の規模で、助成金の上限額は250万円・2人〜30人未満の規模で、助成金の上限額は150万円 |
人材確保等支援助成金(テレワークコース) | ・厚生労働省が主催・機器等導入助成と目標達成助成の2種類がある・機器等導入助成の上限額は、1社100万円または20万円×人数の金額が低い方(経費の30%)・目標達成女性の上限額は、1社100万円または20万円×人数の金額が低い方(経費の20%) |
IT導入補助金 | ・中小企業庁が主催・通常枠のA類型とB類型の2種類がある・A類型の上限額は、5万円~150万円未満・B類型の上限額は、150万円~450万円以下 |
テレワーク促進助成金
テレワーク促進助成金は、公益財団法人東京しごと財団が提供する制度です。都内に本社または事業所を置く企業などが対象となっています。
事業者の規模によって2パターンの助成金があり、概要は次の通りです。
事業所の規模 | 助成金の上限 | 助成率 |
30人以上999人以下 | 250万円 | 2分の1 |
2人以上30人未満 | 150万円 | 3分の2 |
また、常時雇用する労働者を対象にした「一般コース」だけでなく、非正規社員のテレワーク拡充を目的にした「非正規社員拡充コース」の2つがあり、どちらかを選ぶ必要があります。
人材確保等支援助成金(テレワークコース)
厚生労働省が提供する人材確保等支援助成金(テレワークコース)は、中小企業事業主を対象とした助成制度です。機器等導入助成と目標達成助成の2種類があり、概要は次の通りです。
助成の種類 | 支給額 |
機器等導入助成 | ・支給対象となる経費の30%・1企業あたり100万円、またはテレワーク実施対象労働者1人あたり20万円の低い方の金額を上限とする |
目標達成助成 | ・支給対象となる経費の20%・1企業あたり100万円、またはテレワーク実施対象労働者1人あたり20万円の低い方の金額を上限とする |
受給までの流れとして、テレワーク実施計画を管轄の労働局に提出して認定を受け、テレワークを実施した上で申請する必要があります。
<参照>厚生労働省|人材確保等支援助成金(テレワークコース)
IT導入補助金
中小企業庁が実施するIT導入補助金は、中小企業や小規模事業者を対象にした制度です。
IT導入補助金には、大別して通常枠、セキュリティ対策推進枠、デジタル化基盤導入枠の3種類があります。テレワーク関連で利用できるのは、通常枠のみです。通常枠における補助額や補助率については、次の通りです。
類型 | A類型 | B類型 |
補助対象経費区分 | ソフトウェア購入費・クラウド利用料(最大2年分)・導入関連費 | |
補助率 | 1/2以内 | |
上限額・下限額 | 5万円~150万円未満 | 150万円~450万円以下 |
A類型とB類型の違いは、導入するITツールの規模です。比較的安価なITツールを導入する場合はA類型、大規模で導入する際はB類型を選択しましょう。
<参照>一般社団法人 サービスデザイン推進協議会|IT導入補助金2023
テレワークを導入するメリット
テレワークを導入すると、企業と従業員の双方にとって多くのメリットがあります。ここでは、次の6つの効果を紹介します。
メリット①人材を確保できる
テレワークの大きなメリットの一つとして、人材確保しやすくなる点が挙げられます。
人材確保がしやすい理由として、テレワークで勤務できる場合は、オフィスから離れた場所に住んでいる人も就労できる環境が整うからです。
昨今では、柔軟な働き方を希望する人が増えています。これに伴い、採用活動でテレワークを実施している点をアピールできると、母集団を形成しやすくなり、応募者の増加につながります。
メリット②業務改善のきっかけになる
次に、テレワークの実践は、業務改善が進むきっかけになります。
テレワークでは物理的な書類のやり取りや口頭での相談が難しくなるため、ペーパーレス化や業務の電子化を進める必要があるからです。
業務の電子化を進めるにあたって、業務全般の洗い出しと重要度の見直しが必須となり、結果的に大幅な業務改善につながります。
メリット③コストを削減できる
コストを削減できる点も、テレワークを実施する大きなメリットです。
テレワークでは、従業員がオフィスへ通勤する回数が減るため、交通費の削減につながります。
また、オフィスの使用頻度が下がれば、オフィスの規模を小さくするなどで固定費を削減することが可能です。
メリット④生産性が向上する
続いて、テレワークでは生産性向上が期待できるメリットがあります。
テレワークの環境では、従業員が柔軟かつ自律的に働くことができるため、モチベーションやパフォーマンスの向上が期待できます。
実際にテレワークで働いている従業員のなかには、「電話や雑音が気にならないので、オフィスよりも集中しやすい」という声があがっています。本来の業務に集中することで、効率よく仕事ができ、生産性向上が実現します。
メリット⑤ワークライフバランスが取りやすくなる
テレワークの利用で、従業員はプライベートと仕事のバランスが取りやすくなります。通勤時間がなくなり自由な時間が増えることで、家事や育児、趣味にもコミットしやすくなるからです。
企業がテレワークを推進すると従業員のワークライフバランスが良くなり、離職防止や満足度の向上にもつながるでしょう。
メリット⑥BCP対策になる
テレワークの導入は、BCP(事業継続計画)対策にもつながります。
感染症の蔓延やオフィスが地震や台風などの災害にあった場合でも、テレワークを導入していれば自宅から業務を継続できるからです。
テレワークの実施に向けて、書類をクラウドに保存するなど「ペーパーレス化」を進めておけば、オフィスが災害にあっても、重要な書類を紛失することなく業務を進められます。
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テレワークのデメリット
テレワークには多くのメリットがある一方で、デメリットや課題も残ります。
ここでは、次の4つのデメリットを解説します。
デメリット①コミュニケーションが不足する
コミュニケーションが不足してしまう点は、テレワークの課題の一つです。
オフィスでの仕事とは異なり、上司や同僚に気軽に話しかけにくくなることから孤独を感じやすくなります。
コミュニケーション不足に陥ってしまうと、会社やチームとしての一体感がなくなり、業務に支障が出る恐れもあるでしょう。
そこで、テレワークにおけるコミュニケーション不足の解消には、ビジネスメタバース「ovice」がおすすめです。oviceは、2次元のメタバース上で自分のアバターを自由に動かすことができ、相手のアバターに近づくだけで簡単に話しかけられる機能があります。
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デメリット②オンとオフの切り替えが難しい
テレワークの一つである在宅勤務の場合、オンとオフの切り替えが難しく作業効率が落ちてしまう恐れがあります。
また、どのタイミングで仕事を切り上げていいか判断しづらく、残業が長引いてしまうといったケースも見られます。
デメリット③勤怠や進捗の管理が難しくなる
テレワークでは従業員の様子を可視化することが難しくなるため、管理職は従業員の勤怠や進捗状況を管理しづらくなってしまいます。
そこで、ビジネスメタバースのoviceなら、従業員の出社状況や勤務状態を可視化できます。誰がどのような業務をしているか把握できるので、マネジメントが行いやすくなります。
詳しい特徴や機能については、下記のページよりご確認いただけます。
デメリット④セキュリティリスクが高まる
オフィス以外の場所で働くテレワークは、セキュリティリスクが高まる恐れがあります。端末の紛失やパソコン画面の覗き見など、情報漏えいリスクが想定されます。
また、作業場所によっては使用するネットワークのセキュリティが完備されていないこともあるため、予期しないサイバー攻撃に合うリスクも考慮しておかなければなりません。
そこで、従業員のセキュリティに関するリテラシーを高めるなどの対策が必要です。具体的な方法については、「セキュリティ対策を取る」で紹介しています。
テレワークはどんな仕事に向いている?
テレワークはその性質上、1人で作業を完結でき、成果が評価しやすい業務に向いています。
テレワークに向いている仕事や職種の例は、次の通りです。
- 仕事:資料分析、デザイン作成、システム構築など
- 職種:事務職、Webデザイナー、インサイドセールス、管理職など
このような仕事や職種であれば、オンラインでコミュニケーションが取れる体制を整えることが可能です。さらに、業務の評価基準を明確にすることで、オフィス以外でも働ける環境を構築しやすいでしょう。
対して、販売員や教職員、介護職などの複数の人と対面する必要のある仕事や職種は、テレワークに向いていないといえます。
テレワークを定着させるポイント
ここからは、テレワークの導入を検討中の方に向けて、企業がテレワークを導入し、定着させるためのポイントを紹介します。
セキュリティ対策を取る
適切なセキュリティ対策を取ることで、テレワーク時のリスクを軽減でき、安心してテレワークを継続できます。
具体的には、「公共Wi-Fiに接続しない」「重要データはカフェや新幹線で開かない」などが挙げられます。
従業員がテレワークで守るべきルールを明確にして共有することで、情報漏えいのリスクを抑えられるでしょう。また、定期的なセキュリティ研修の実施も効果的です。
なお、テレワーク時に使用するパソコンへのセキュリティ対策ソフトの導入や、VPNを使用した安全なネットワーク環境の構築などが重要になります。
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コミュニケーションツールを活用する
コミュニケーションツールを活用することで、テレワークの定着を図れます。
Web会議システムやチャットツール、バーチャルオフィスを導入することで、メールや電話よりも気軽に社内コミュニケーションが取りやすくなります。以下で、それぞれの概要を見てみましょう。
<テレワークで社内コミュニケーションの活性化に役立つツール>
ツールの種類 | 概要 |
Web会議システム | ・各拠点を映像や音声でつなぎ、社内外とコミュニケーションを行うツール ・遠隔地にいながら相手の顔を見てコミュニケーションが取れる ・1対複数のやり取りになりがちで、双方コミュニケーションが難しいことも |
チャットツール | ・テキストベースでビジネスコミュニケーションを図るツール ・チームや部署単位など複数人で使用でき、資料を共有しながらリアルタイムに意思疎通ができる |
バーチャルオフィス | ・自分のアバターが仮想のオフィスに出社してコミュニケーションができるサービス ・実際にオフィスで会っているかのような感覚で、気軽に会話ができる |
なかでも、バーチャルオフィスはWeb会議システムのように会議を設定することなく、自分のアバターが同僚のアバターに近づくだけで会話ができます。
バーチャルオフィスのツールによっては勤怠管理ができるものもあり、導入するとテレワーク時の出社確認が行いやすくなるでしょう。
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ペーパーレス化を促進する
ペーパーレス化を促進することで、テレワークも同様に促進されて定着につながる効果があります。
紙ベースの作業を削減するペーパーレス化で、承認や押印のために出社する必要がなくなり、テレワークを実施しやすくなるからです。
また、紙の管理作業が軽減することで雑務が減り、業務効率化につながる点もメリットです。
オフィス環境を改善する
テレワークの定着に向けて、オフィス環境の改善も検討しましょう。
テレワークではオフィスに出社する従業員が少なくなり、デスクの稼働率が下がります。そのままにしていてはオフィスの維持費の負担が発生するため、フリーアドレスの導入やオフィスの集約で、省スペース化を図ると効果的です。
オフィス環境の改善で、打ち合わせや休憩など用途別のスペースを設けることで、テレワークとオフィスワークを組み合わせたハイブリッドワークに適したオフィス作りに役立ちます。
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まとめ
社会環境の変化から、主に首都圏や大企業においてテレワークで業務に従事する人が増えています。
テレワークには生産性が向上するなど多くのメリットがある一方で、コミュニケーションが不足してしまうといったデメリットも見られます。
そこで、ビジネスメタバース「ovice」を使うと、自分のアバターを設定してオンライン上のオフィス内で仕事ができます。
自分のアバターを近づけるだけで別の従業員のアバターに話しかけることができるので、まるでオフィスにいるような感覚で、他の従業員と雑談や立ち話が可能です。
テレワーク時のコミュニケーションは、一方的な説明に終始してしまいがちです。しかしoviceなら、必要に応じて映像でお互いの顔を見ながら双方コミュニケーションを気軽に行えます。
oviceの活用で、テレワーク時のコミュニケーションにまつわる課題が解決し、組織活性化を促せます。無料トライアルも利用できるので、テレワーク時のコミュニケーション不足にお悩みの際はぜひお試しください。