テレワークとメタバースが広げる社会の多様性 ~障がい者雇用・不登校支援やフリースクール事例~
2020年以降、コロナウイルスの影響もあってテレワークという働き方が社会に浸透しました。これまでよりも場所や時間に柔軟性を持たせた条件で仕事ができるようになり、以前であれば勤務先を見つけることが大変だった人でも就労の機会を得ています。
障害を持った方などの活躍の場の広がりもニュースになっています。また、登校していない児童や生徒が、メタバースを会場に、学習や、他人との交流、自己表現の機会を得ているケースも増えています。
この記事では、ビジネスメタバース“ovice”を活用し、テレワーク等を通じてこれまでそうしたことが難しかった人々の社会参画を実現している団体や企業の事例を紹介します。
目次
障がい者の“働く際の障害”低減するテレワークという働き方
身体的な障害を持つ人にとって、通勤のリスクと負担は非常に大きいものです。例えば車椅子に乗って移動する方であれば、電車を利用する際には駅員に声をかける必要があったり、エレベーターのある限定的な経路を選ぶ必要があり、時間と手間がかかります。ルートを自由に選べる健常者にとっては数十分で移動できる距離でも、車椅子の場合は2時間、3時間かかるということもあり得ます。人によっては、心理的な負担にもつながるでしょう。
受け入れる企業にとっても、身体的な障がいを持った人に勤務してもらうために社内のバリアフリー化を実現することは容易ではありません。結果として、障がい者雇用に力を入れたいと思っていても受け入れる要件を満たすまでのハードルが高く、中々取り組めなかった会社もあるかもしれません。
また通勤にストレスを抱えたり、誰かと同じ空間にいることに困難を抱えるケースのある精神障害の場合も、自分にとって望ましい環境で就労できるリモートワークは有効な選択肢となります。
テレワーク環境のあることは、雇用する側にとってもされる側にとっても、余計なコストをかけずにその能力を発揮するための後押しとなります。
参照:テレワーク 障害者を後押し 通勤の負担なし、融通利く勤務時間 出勤に向けたステップにも|東京新聞
令和5年度から変わる障がい者雇用率、2.7%に引き上げ
厚労省は、企業に義務づけられている障がい者の雇用率を令和5年度から2.7%とすることを決めました。実際には計画的な対応ができるように配慮し、現在の2.3%から段階的に引き上げ、3年後の令和8年度には2.7%となるよう段階的に引き上げる方針です。
政府も障がい者の雇用を増やすよう働きかける中、注目されているのがテレワークです。就労支援を行うNPO法人や民間企業など、テレワークを活用してより多くの人にやりがいを持って働ける場所を作ろうと取り組んでいます。
実際にテレワークを活用することで、多くの人が働く機会を得ています。
- 障害者雇用の経験も、テレワークの制度も運用経験もなかった企業が、地方在住の精神障害者を完全在宅雇用
- 障害者雇用支援会社を持つ企業がさらなる障害者雇用を推進させるため、障害者の在宅雇用に挑戦
(引用:テレワークで障害のある方をより企業戦力に!(導入事例集))
不登校支援・フリースクールでも広がるオンライン交流
オンライン環境を活かした、リモートで組織の一員として活躍できるという環境の有用性は、働く現場にとどまりません。例えば、「学校に行くことはしていないが、学びたい」「登校はしたくないが、友達はほしい」というような児童や生徒を受け入れるフリースクールや、行政などが取り組む不登校支援の活動でも、リモートでのコミュニケーションが取り入れられています。
メタバースでの交流を取り入れることで、対面やビデオ会議ツールでは実現しなかった関係性を構築できるようになったと感じているケースも出てきています。
参照:インターネット上の仮想空間「メタバース」留学の疑似体験、不登校中高生の「居場所」作りにも|メ~テレ
▼メタバースを活用しフリースクールのクラスを展開する、学研 WILL学園
【事例】ビジネスメタバース活用し「障がい者雇用」「不登校支援・フリースクール」
2Dのビジネスメタバース oviceを活用したテレワークや居場所づくりが、障がい者や学校に行かない・行けない生徒の活動の場を広げたケースを紹介します。
事例①Man to Man Animo株式会社
Man to Man Animo株式会社で活躍する緒方さんは、入社から完全在宅で勤務しています。SMAという病気で、体の中で動くのは指先だけですが、パソコン操作は画面上のキーボードを使い、RPAについてサテライトオフィスのメンバーに教えたり、その他サテライトオフィスの機器設定なども担当したりしています。
同社は障がいのあるメンバーを対象に在宅や就労に適したサテライトオフィスでの勤務を取り入れてきました。こうした中で、メンバーにもう少し帰属意識も持ってもらえるようにと考えた結果、oviceの導入を決定しました。
コロナ禍をきっかけに世の中にリモートワークが広がったこと、そして同社がoviceを導入したことで、重度身体障がいのあるメンバーが営業訪問をしたり、外部の人と仕事をする機会が生まれりしたそうです。その結果「メンバーにとってのモチベーション、やりがいにも大きく影響を与えていると思います」と同社の担当者は語ります。
oviceのようなバーチャルオフィスとそれ以外のツールを比べた場合、声のかけやすさに違いを感じたという緒方さん。声をかけることもかけられることも増え、困りごとの解決のスピード感が上がったそうです。緒方さんにとっては、チャットなどテキストを入力するのが大変な場合もあるといった理由から、チャットの場合はなるべく簡潔に済まそうとしてしまう傾向があったそうですが、「oviceであれば気楽に会話ができる」と語ってくれました。
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事例②株式会社WIALIS
株式会社WIALISは、不登校生に新しい居場所を提供するオンラインフリースクールを運営する企業です。ovice上では全生徒とコミュニケーションが取れる状態にあることから、生徒たちの状況や性格、特徴がとても把握しやすいと感じているそうです。
ビデオ会議ツールでの交流は、参加者同士が会話以外の場面でつながることが難しいですが、oviceでは自然発生的に気が合いそうな子同士が会話し始めて仲良くなる…という光景も見られたといいます。
顔出しに抵抗がある子や、大勢の前で話すことに抵抗がある子であっても、oviceであればシチュエーションに応じたコミュニケーションが取れます。WIALISの中島氏は、それがバーチャルオフィスのメリットだと語ります。
「オフィス出社」「登校」だけではない、働き方・学び方
オフィス出社や学校へ登校することは、これまで一般的な就業・学びのあり方と考えられてきました。しかし、オフィスに出社しない「リモートワーク」や、学校へは行かない「フリースクール」という形が広まることで、新たに活躍の場を得る方が現れたり、豊かな交流が生またりしています。
こうした新しい働き方・学びのあり方は、メタバースの活用が進むにつれ今後より一般的な選択肢となっていくのかもしれません。