オンライン会議のカメラオフは失礼?意思疎通をスムーズにするポイント
ビジネスパーソンにとって、オンライン会議はもはや日常業務の一部です。イヤホンを付け、カメラに逆光で映らないように、そして場合によっては背景にぼかしを入れて臨む…そんな準備ももはや慣れたもの、という人も多いでしょう。
一方で、カメラオンをする理由がわからない、そんな意見に出くわしたことのある人もいるのでは。
顔を見て話すことにはメリットしかないようにも思えますが、果たしてどちらの主張が正しいのでしょうか? 本稿では、オンライン会議において、カメラのオンとオフ、どちらが適切なのかを考えます。
目次
オンライン会議でカメラオンすべき理由
リモート勤務を取り入れている組織であれば、在宅での稼働もあるでしょう。その際、外出時のような身支度をしないという人も珍しくありません。
女性の場合、メイクをしない顔を見せたくないという場合もあるでしょう。在宅勤務は業務遂行が目的であり、服装や身だしなみは本来業務には関係しないはずです。
パジャマやルームウェアのようなプライベートな格好でも、業務の成果物の品質が保たれていれば良いのではないでしょうか。
在宅勤務を理由に身だしなみをサボる人にとって、オンライン会議でのカメラオンはかなり不都合な事態でしょう。
しかし、本来仕事とは組織のミッションに向かってメンバー一丸となって取り組むものです。身だしなみが整っていないことで、カメラオンで得られる効率の良さを犠牲にすることは本末転倒です。
たとえば、企業の中ではプライベートに配慮したり、通信を安定させることを目的に、ビデオ会議ツール利用時に話者以外はカメラやマイクをオフにするというルールで運用しているケースもあります。
こうした会議で、メンバーが発言にどんな印象を受け取っているのかがまったくわからず、またその場が盛り上がらず、さらにはそもそも聞いているのかどうかすら把握しようがないというのは、よく見られる光景です。
オンライン会議のカメラオフは「拒絶」の意味
オンライン会議ツールでは同時に複数人が発言することは難しく、うなずきや表情といった視覚で与えることのできる情報が、やりとりにおいてより重要になります。
また、顔を見せて話すことは信頼感の醸成にも繋がります。カメラをオンにすれば顔が見せられるにもかかわらずわざわざ切っているということは、相手との交流をシャットダウンしているという拒絶のメッセージにも見えるでしょう。
顧客対応の業務であるならば、カメラオフにより損失する機会はもっと大きいかもしれません。
「相手の様子が分からない」というデメリット
2021年9月に、一般社団法人オンラインコミュニケーション協会はビジネスパーソン103名を対象に「オンライン会議に関する実態調査」を実施しています。
この調査では、社内会議がオンラインになったことで、対面で会議を行っていた時より「メンタルが疲労するようになった」と感じるかどうかをまず質問。
疲労を感じる人を対象に、どのような場面で「メンタルの疲労」を感じるか、複数回答を得たところ、「カメラやマイクがオフで、相手の感情がわからず神経を使う」と答えた人が56.4%にも上っています。
サイボウズの「サイボウズチームワーク総研」でも、オンラインコミュニケーションで相手を視覚で認識することの重要性が伝えられています。
同メディアでは、常にカメラをオンにできない環境もあることは理解したうえで、それでも社内の限定的なメンバーや、コミュニケーションを目的とした場ではオンにすることをお勧めしています。
カメラをオフにすることに伴う負の側面を評価しての提案といえるでしょう。
<参照>サイボウズチームワーク総研|オンライン会議での、カメラのオンオフ問題を考える
オンライン会議での顔出しはストレスになる
「オンライン会議でのカメラオフは、相手とのコミュニケーションの拒絶であり失礼」であるならば、オンラインコミュニケーションにおいてはカメラオンをルールにすることで、問題の全ては解決するかというと…物事はそこまで単純ではありません。
「Zoom疲れ」という言葉があるように、実際に顔を合わせることと、オンライン会議でカメラをオンにすることは大きく異なります。
オンライン会議でカメラオンの状態では、発言中は参加者の顔が画面一杯に並びます。実際に対面している場合よりも強い注目を感じたことのある人もいるのではないでしょうか。
同時に、その表情の意味するところが対面時のようには読み取れない、という事態も起こります。
自分に向かう過度な注目と、自分の欲しい情報が不足するコミュニケーションに疲弊しないわけがありません。
こうした事実を受けてか、一般社団法人オンラインコミュニケーション協会の調査では「会話の間に間がありペースが掴みにくい、こちらの提案に対してどのように受け止めているかわからない、探り探りでの打ち合わせとなることが多い」といった回答も見られました。
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オンライン会議でカメラをオンにすることは、確かに「相手に心を開く用意がある」と伝えることになります。表情やしぐさなど自分の様子を視覚的に相手に伝えることで、自分が何を感じているかを伝えることにもなります。情報を受け取る側はカメラオンが望ましいと考えるかも知れませんが、映る方にもストレスがかかります。
オンライン会議システムの空間は、リアルとは同一にはなれません。こうした前提に立ち、オンライン会議の目的は情報共有なのか、意見を聞き出すことなのか、交流なのかーをはっきりさせ、全員の当事者意識を高めることこそ、オンライン会議に必要な態度です。
こうした意識を参加者全員が持つことができれば、究極的にはカメラはいらないはずです。
カメラよりも、オンライン会議の進行スキルを高めることの方が、つまるところチームワークの発揮において良い作用をもたらすのではないでしょうか。
オンライン会議に必要なのはカメラだけではない
オンライン会議では、ビデオオン・オフのいずれが望ましいのでしょうか。
どちらの主張にも一理あるように思えますが、会議の目的を明確にし、それが果たされるような環境を用意すれば、カメラは必ずしもオンにする必要はないといえるでしょう。
オンラインミーティングがうまくいかない理由には、参加者同士のコミュニケーションにおける情報量の過剰や不足や、参加者の当事者意識の欠如があります。
これらは物理的な空間を共有していないことに起因するものです。では、こうした感覚はオンラインでは再現できないのでしょうか。いくつかの工夫で、現実空間に近い状態を構築することができます。
クリアな音声
オンラインミーティングではPCを通した音によって情報を取得するため、音質はコミュニケーションの質を左右します。なるべくクリアな音質を確保できるように、機材にこだわるべきでしょう。
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心理的安全性
会議参加者の主体性は発言をするかどうかや、その内容から感じ取ることができます。
ただし、発言をしない参加者は一見主体性のない態度にも見えますが、実は意見があっても躊躇して発言していないということがあります。その理由は、心理的安全性の欠如にあります。
こうした心理状態の出席者から意見を吸い上げるには、発言をうながし、相手のペースで論理展開できるよう十分な間を与えることが大切です。
また、役職に関係なく、組織の利益になるアイデアは歓迎されるということを折々に伝えるべきです。
オンラインでのコミュニケーションやリモートワークでは、こうしたメッセージが思った以上に伝わらないということがあり得ます。
対面で渡すことのできる情報量との差分を念頭におき、「あなたの意見を受け止める姿勢がある」と繰り返し伝えることは、会議参加者の心理的安全性の確保に役立ち、ひいては組織の生産性につながるでしょう。
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