セールス部門必見!リモート組織の「営業」成果を出すために必要なこと
企業において、セールス部門は売上を作り出す重要なポジションだ。たとえ商材の機能や品質が優れていても、顧客がそれを理解し、自社の課題解決につながると納得しなければ成約には至らない。
従来は、営業担当者が足しげくクライアント先に通い、顧客との信頼関係を築きながら段階を踏んでアプローチすることで、成績として跳ね返ってくるとされていたが、テレワークの普及により非対面での営業スタイルが広まった。
新たな「リモート営業」では、どう顧客にアプローチし、成果を上げれば良いのか。本記事では、コロナ禍で起きた顧客の心理変化や現場の潜在的な課題について解説し、個人の営業成績だけでなく組織として営業力を高め、利益に貢献するためには、リーダーが何をすべきかを説く。
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目次
テレワークの浸透で「リモート営業」がニューノーマルに
コロナ以降、ビジネスにおいて売る側・買う側双方のテレワークが進み、営業スタイルは大きく変わった。
非対面で見込み顧客をナーチャリングし、営業を効率化させるインサイドセールスは2005年頃より注目され始め、SaaS企業を筆頭に導入が進んでいたが、具体的な商談フェーズを担うフィールドセールスについては対面がスタンダードであった。
一方、ワークスタイルはここ数年で劇的に変わり、2021年度には4割の企業がテレワーク制度を導入し、業務やミーティングのオンライン化が瞬く間に進行。営業活動も例外ではなく、法人営業組織および経営層を対象とした調査によれば、2019年から2021年までの2年で、外勤よりも内勤での営業活動が多いと答えた割合は11ポイント増え、約4割に上る。
Web会議ツールなどを使い、直接会うことなくプレゼンや商談をする「リモート営業」という言葉も今や当たり前になった。
顧客は対面にこだわっていないのが実態
では、顧客は対面と非対面、どちらを望んでいるのだろうか。
調査によると、2019年時点では半数以上が「訪問型営業の方が好ましい」と答え、次いで「どちらでもいい」という回答が25%、非訪問型を望む人は約2割だった。それが2021年には、どちらでもいいと答える人が4割弱まで増加し、訪問型を好む割合と並ぶ結果になっている。
さらに、顧客が誠意を感じる営業について問うと、「足を運び対面で話してくれる」と答えた人は24%に留まっている。
<出典>日本の営業に関する意識・実態調査2021の結果をHubSpotが発表(2021年2月8日)
働く場所が選べるようになった今、顧客側の営業に対する価値観も変わりつつある。意外にも営業活動の形式にはこだわっておらず、スピーディに効率よく話を聞けるかどうかを重視する傾向だ。
リモート営業で浮き彫りになった課題とは
前章までで述べたとおり、営業する側も受ける側もリモート営業の推進に前向きだが、解決すべき課題もある。
まずは、リモートかどうかに関わらず、営業部門で起こりやすい事象に目を向けよう。
営業職は業務の特性上、個人プレーになりやすい。組織を形成しながらも、案件数など定量的な情報のみ共有され、水面下で動く各案件のステータスやプロセスは本人のみぞ知る、という状況だ。その結果、業務分担は最適化されず、組織全体の生産性低下につながってしまうだろう。
情報やスキルが個人でクローズしてしまうと、芋づる式にさまざまな問題が発生する。
各メンバーがキャッチアップした情報を自身の課題解決にしか役立てなかったり、営業マニュアルを作っても使われず放置され、属人的なセールス手法により営業品質のバラつきが生じたりする。いずれも組織の成長を停滞させてしまうだろう。
訪問型で目をつぶってきたこれらの課題は、リモート営業によりさらに深刻化する可能性がある。営業担当者は、対顧客だけでなく同僚や上司とも顔を合わせる機会が極端に減り、周囲とのコミュニケーションが不足しがちになるからだ。
これらの課題を解消するには、個人に閉じていた知見や情報を共有し、貴重なナレッジとして蓄積していくことが重要だ。目の前の顧客との1to1の関係を良好に保つことも大事だが、長期的な組織の成長や持続的な営業力維持に目を向けなくては、競合に打ち勝つ力が失われてしまう。
そして、このような取組みは日々実施し、習慣化させることが理想だ。訪問型営業で発生していた移動が不要になった分、チーム内のコミュニケーションや顧客分析、戦略立案に時間を有効活用すると、負荷分散やトラブル、方向転換などスピーディに対処できる。
テレワークの営業チームで、成果をあげるための6つの方法
もし組織そのものがリモート勤務がメインであるなら、上述した課題を解決することにはより困難を感じるかもしれない。ここからは、営業チームが競争力を失わず、強くありつづけるための方法を5つ紹介する。
①結果を待たずにプロセスを追う
メンバーを野放しにしてはならない。まずはリーダーが、営業成績だけでなく日々の活動も管理する視点に変わる。メンバーは、都合が悪いことについて報告を避けるかもしれない。そうなれば、待ちの姿勢でいては状況が悪化するばかりだ。
リーダーはメンバーと目標をすり合わせ、日々の活動プロセスを把握するようにし、いつでも先手を打てる状態にしておく。これには、SFAツールなどで活動履歴を可視化するのがおすすめだ。リーダーだけでなくチーム内でもお互いの状況を簡単に把握でき、案件のフォローや引継ぎもスムーズになるだろう。
常にコミュニケーションしやすい環境を保持することを考えよう。チャットツールやビデオ会議ツールにはない、「隣の席にいる」が実現するバーチャルオフィスも役に立つだろう。
②同行よりも効率的な教育の仕組みを検討する
非対面では若手に対してOJT教育ができない。代わりに、ベテラン社員の営業手法をデモ動画として記録すれば、新人や若手は繰り返し見て上達しやすくなるだろう。
ほかにも、オンライン商談時に先輩社員と同時参加し、プレゼン方法や顧客への受け答え方などを学ぶのも有効だ。
さらに、ロールプレイングの機会を設け、メンバー同士で改善に向けたアドバイスをしたり気付きにつながったりするなど、工夫次第でチーム全体のスキルアップは加速できる。
③ストック型とフロー型の双方で、ナレッジシェア
提案資料や顧客から獲得した資料はチーム内で共有するように呼びかけ、他案件への有効活用を促す。全員が一から資料を起こす必要がなくなり、作成にかけていた手間や時間を取り戻せるだろう。
これらのコンテンツは、在宅でもオフィスでも変わらずアクセスできるようにオンライン上でストックすると便利だ。どこにいても資料の格納や検索ができ、商談時などとっさに説明が必要な際も要領よく対処できる。
ストック型でノウハウを溜めるほか、市場動向や競合情報などをスピーディに共有することも重要だ。ビジネスチャットを使えば、関係者をメンションして必要な人に必要な情報を展開できるし、チャンネルを区切ることである程度の情報の整理も可能だ。
利用用途に応じたツールの使い分けについて整理し、チーム内で認識を合わせておけば、カオス化することなく、効率よく貴重な知識を組織内に共有することができる。
④顧客管理はツールで最新情報を保つ
人事異動や組織変更などにより、顧客情報には変化がつきものだ。いくらアンテナを貼っていたとしても、すべてを網羅するのは難しい。そこで、顧客データベースを自動的にアップデートできるツールを導入すると良いだろう。
たとえば、名刺管理ツールで顧客情報を管理すると、顧客がプロフィールを変更すれば情報がアップデートされ、営業部門による更新作業は不要だ。さらに、名刺管理ツールとCRMツールを連携させれば、正しい顧客情報をベースにプロモーションの検討やサポート、メール配信など一連の営業活動において精度を向上できる。
もちろん、外出先や共有スペースで使うことも考え、ツール選定の際はセキュリティにも留意する必要がある。使いやすさについては、本格導入の前にトライアルで利用し、チームの意見を聞いてみるのも良いだろう。
⑤定期的に集まり、協働や連携が生まれやすい雰囲気を作る
リーダーが個々の商談状況をウォッチし、コミュニケーションツールなどで指示や報告を交わせば業務は滞りなく進められるかもしれないが、加速するビジネス環境に後れを取ることなく”活きた営業”を続けるためには、チーム内外のコラボレーションが必要不可欠だ。
メンバー全員が顔を合わせる機会を定期的に持ち、自由にディスカッションすることでアイデアが拡張されたり、予想外の連携が生まれたりする。チームの団結力も増し、共通認識が保たれ、同じ方向性で進みやすくなる。
全員がオフィスに出社し、会議室で話すスタイルでも良いが、バーチャルオフィスを使えば移動不要で集まって話せる。物理的には離れているが、アバター同士は自由に近づけ、周囲に自分の声を届けることが可能だ。さらに、バーチャルならではのゲーム要素が加わることで、リアル以上にカジュアルな会話をしやすく、活発なコミュニケーションが期待できる。
実際に、キャノンマーケティングジャパン社では、バーチャルオフィス「ovice」を使い、全国各地の拠点にいる営業支援チームと営業チームをつなぐことで、効果的な社内連携を実現している。
▼ovice 活用事例
“密でスピーディなコミュニケーション”が実現 バーチャルオフィス導入で事業推進力を高めるキヤノンマーケティングジャパン
⑥自社のブランディングを活かしたリモート営業で差をつける
リモート営業と言えばWeb会議ツールを使った営業が主流になりつつあるが、こうした環境を活かして自社の価値が伝わる営業体験も差別化要因となる。顧客のファン化を促進できれば、解約抑止やアップセルも期待できる。
潜在層に向けたイベントやユーザー向けのセミナーも、ブランドイメージを印象づける絶好のチャンスだ。オンライン空間で実施する際には、イベント体験が素晴らしいものとなるよう、コンテンツはもちろんのこと、様々な形態を検討したい。
たとえば自社のカルチャーや特色を表現したバーチャル空間に顧客を招待し、顧客の興味にそってコンテンツが視聴できる空間であれば、より関心を高める成果も期待できる。また双方向のコミュニケーションは距離感を縮め、親近感の獲得に効果的だ。
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