ハイブリッドワークでZ世代をマネージングする上で役立つ 6つのルール
テレワーク・ハイブリッドワークをしている友人に、「今のワークスタイルが気に入っているか」という質問をしたところ、「出社しなくていいし、上司も優しくてとても快適」と答えるZ世代(1995年以降生まれのデジタルネイティブ世代)の友人がいる一方で、「テレワーク自体には慣れたけれど、上司に対する不満が溜まってきて疲れてしまった」「最近の部下(Z世代)が何を考えているのかわからなくてマネージメントがしにくい」という声もあった。
上司部下の関係が原因の愚痴を話す・聞くという機会は、社会人になれば誰にでもあるのかもしれない。しかし人生の大半の時間を働くことに費やしているのだから、職場の人間関係においても改善できる点があるなら改善し、幸せな上司部下の関係を目指してみたいものである。
上司が優しいという、ある人にとっては夢のような発言をする友人に、「どういうときに上司が優しいと感じるのか」と質問をしたところ、①指示や説明がわかりやすく、②自身の特性を理解して程よい距離感を保ちながらもうまく引っ張ってくれ、③結果を出したときには花を持たせてくれたので感動したというのだ。
マネージャーの鏡のような上司だが、部下に対して甘すぎではないかと感じる人も少なくないだろう。現にZ世代である筆者も、その濃密なサポート体制に驚いてしまったほどだ。しかし時代は変わるもので、今の時代や人に合わせたやり方を導入することが、さらにその次の世代に乗り遅れることもなく、well-beingなワークスタイルを確立させるキーなのかもしれない。
そこで今回はZ世代をマネージングする上で役立つ 6つのルールを紹介する。
目次
①ミッション・ビジョン・価値を強調する
Z世代は ”問題定義” することが得意な人が多い。実は口に出さないだけで心の中では「なぜこんな古いシステムに正当な理由もなく従わなければならないのだろう」と唱えているZ世代も多く、現在起こっている出来事やコミュニティの問題を冷静に認識している。そして、彼らの時代が生んだ ”新しい価値観” に基づいて、理想的な結果を生むことに情熱を注ぐことを好んでいる。
この “新しい価値観” というのは、彼らにとって非常に重要で核となるアイデンティティであり、自身の理念を信じ、共感する物事に対しては積極的に支援することを好む。慈善活動に関心の高い若者が多いのもそのためだ。
つまり、Z世代の従業員と仕事をするときは、彼らが積極的に取り組むべき理由、使命、ビジョン、価値観を強調する必要がある。彼ら自身がその問題に取り組む動機を見つけ、目的を持って会社に貢献してくれるだろう。
そしてこの動機や理由を定期的に思い出させることも大切だ。
②従業員の健康に関心を持つ
パンデミックの影響でwell-beingの重要性が広がり、誰もが肉体的・精神的な健康と幸福により関心を持つようになった。Z世代は特に精神的な幸福に価値を感じており、「ハッスル」や「意欲に満ち溢れた状態」などミレニアル世代以前に好まれていた伝統的な職場の雰囲気には馴染めない傾向にある。
彼らの健康や幸福度を優先させるwell-beingなシステムを積極的に彼らに知らせ、活用することを勧めよう。組織が従業員のワークライフバランスを大切にしているということは、彼らにとって大きな安心材料になる。
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③オンボーディングの成功プランを組み立てる
オンボーディングとオリエンテーションは新入社員にとって必要不可欠なイベントであり、テレワーク・ハイブリッドワーク環境下ではさらに重要になる。
企業の文化を伝え、彼らにチームの一員であることを感じさせ、彼らをトレーニングするために最良な機会だ。時間をかけて、リモートでのZ世代のオンボーディングとオリエンテーションを強化する方法を見つけよう。
ベストなオンボーディングを見つける上で確認すべきリストは以下を参考にしてみてほしい。
- オンボーディングに期待することを明確にする
- 新入社員がより歓迎されていると感じる方法を見つける
- 新入社員と同僚が良好な関係を築くには何をしたら良いかを検討する
- 新入社員に社内交流の機会を与える
- well-beingを促進し、良いワークライフバランスを保つことを可能にする方法や福利厚生を伝える
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④A地点からB地点までのマップを作る(「昇給までのマップ」など)
Z世代は企業への貢献の結果を一刻も早く見たいと思っており、昇進を数年間待つことを望んでいない。行き詰まりや退屈さを感じないために、定期的に自身の立ち位置を把握し、前進しているということを確認する必要がある。
従業員が辞職する最も一般的な理由のひとつは、「その環境で目標達成が不可能だと感じたから」であり、この感情はリモート環境下で孤立・孤独を経験することにより悪化する可能性もある。
Z世代が快適に仕事できる環境を保つには、早い段階且つ定期的に彼らの目標について話し合う必要がある。最終的なゴールは何なのか。どんな役割を目指しているのか。5年後、10年後に何を描いているのか。
彼らの得たいゴールについて話し合うことができたら、キャリアマップを作成しよう。習得する必要のあるスキルと知識を認識し、その最終的な目標を達成するためにはどこを目指せばよいのかを明確にする必要がある。もし可能であれば、(一般的に)その目標を達成するまでにかかる時間も概算し、タイムテーブルを作成しよう。
計画を立てることで、具体的なアクションプランを立てることができ、生産性も向上する。 また、職場の昇進システムに対する不安を取り除くことができる。
⑤上司部下の関係を考え直してみる
マネージャーと直属の部下との関係が主従関係だったのは疾うに昔の話だが、だからといって仲の良い友達になる必要もない。この曖昧さがマネージャーを混乱させてしまっているようだ。
効果的にZ世代と仕事をするためにリーダーがすべきことは、自身の役割を再評価し、新しい世代に合わせてマネジメント法をシフトチェンジさせること。
Z世代が探してるのは従来の「上司」ではなく、自身をガイドしてくれる「コーチ」だ。
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⑥学習と能力開発を奨励する
Z世代は学習意欲が高く、新しいアイデアを受け入れることも得意だ。SNSと共に人生を歩んできたデジタルネイティブであるが故に、新しいシステムも積極的に活用し、目的達成のための手段やアイデアもたくさん持っている。そんな彼らに退屈感を感じさせないための努力が必要だ。
そこで、彼らのキャリアの目標と興味関心に沿った学習と能力開発の計画を作成することをお勧めする。新しい挑戦を促し、自己成長の機会を与え、きちんと評価することによって彼らのやり甲斐と居場所を提供することができる。
前書きで紹介したマネージャーの鏡のような上司(①指示や説明がわかりやすく、②自身の特性を理解して程よい距離感を保ちながらもうまく引っ張ってくれ、③結果を出したときには花を持たせてくれる)は、見事にこの6つのルールを活用しており、Z世代の特徴を理解し、彼らの能力を存分に開花させようとしているのだと思う。
ここ3年間で世界的に定着したテレワーク・ハイブリッドワークは、テクノロジーに抵抗の少ないZ世代と非常に相性が良いため、彼らは今後も会社に大きく貢献してくれるだろう。うまくマネジメントすることにより生産性も向上し、well-beingなワークスタイルを実現できる6つのルールをぜひ参考にしてみてほしい。
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<参考>
https://www.insperity.com/blog/secrets-to-managing-gen-z/
https://hbr.org/podcast/2020/06/millennials-gen-z-and-generational-anxiety
https://hbr.org/2022/06/gen-z-employees-are-feeling-disconnected-heres-how-employers-can-help
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