テレワークで健康的な人間関係を築くためのアンガーマネジメント3steps
オフィスワークであってもイライラなど負の感情を一切感じることなく、穏やかに毎日を過ごすのは難しい。更にテレワークでは、上司・部下の様子を気軽に窺うことができないので、コミュニケーション不足になりやすく、相手に対してイラ立ちやすい。そのために攻撃的なテキストを送ってしまう人が増えている。上司部下の関係を改善するには、イライラしてついキレてしまうという人も、毎日責められて悩んでいる人も、「アンガーマネジメント」をすることが重要だ。今回は、テレワークでの人間関係をより良くするためのアンガーマネジメントテクニック3つを紹介する。
/
社内の人間関係改善に悩んでいる?
\
目次
Step1: 怒りの感情が生まれたら6秒間やり過ごす
以前の記事でも紹介していた最も簡単なテクニックで、6秒間やり過ごすためのに「別のことを考える」、「何かに没頭する」、「怒りの原因になるもの(PC画面など)から物理的に離れる」など、自身に合う方法を見つけるのがお勧めだ。
関連記事
テレワークこそアンガーマネジメント!相手への「印象」で判断しないことが大切
Harvard Business Reviewに掲載された「難しい会話でどのように感情をコントロールさせるべきか」によると、単純に休憩時間を作るというのが効果的だという。
あなたを困らせる対象物に思考を巡らせていては、なかなかイライラの感情はおさまってくれない。その負の空間からあなた自身を一時退出させることが大切だ。そして、怒りのピークは6秒と言われており、コーヒーブレイクの時間を確保することにより、冷静さを取り戻せる。
また、感情的になっているのはあなただけではないはずだ。あなたが感情的になっているということは、相手もイライラしやすい精神状態の可能性がある。テキストを返信する前にお互いに冷静になる時間を設けることによって、冷静に会話を続けることができる。
Harvard Business Review「How to Control Your Emotions During a Difficult Conversation
NIKKEI STYLE キャリア|「怒りのピーク」は6秒、感情と上手に付き合う秘訣
Step2: 固定観念を捨てる
「〇〇すべき」という固定観念が強いと、相手がその観念から外れた言動をしたときに過剰に反応してしまったり、相手を否定してしまう傾向にある。
日本は島国であるがゆえに、「年上の人と話しているときに足は組むべきではない」など同じ価値観を持っている人が多く、偏った固定観念が生まれやすい。そして日本を出ない限り、その価値観を疑う機会はなかなか得られない。
しかし、アメリカでは、足組みは相手に心を開いているというアピールの一つであり、無礼だとみなされる可能性は低い。わざわざ日本人が足を組む必要はないかもしれないが、帰国子女の社員が足を組んだために「無礼だ」とイラ立ってしまうのは勿体無い。こういった固定観念を捨てることは簡単ではないが、グローバルで優秀な人材と良好な関係を築き、余計なストレスを自身に感じさせないためにも、固定観念を捨てるという作業は非常に重要になる。
固定観念を捨てるためには「①何もかも自分が正しいと思わない」、「②他者の考えを一旦受け入れる」、「③新しい体験や経験を増やす」、この3つが助けになる。
①何もかも自分が正しいと思わない
あなたが正しいと思う言動や選択は、自身の人生経験を参考にして選んだ、最もベストなアイデアだ。しかし、あなたと同じ人生を歩んできた人はいない。だからこそ、皆違うアイデアと価値観を持っている。
そして「何が正しいか」は時代や情勢、環境によって変化する(「足組み」についての例がわかりやすいと思う)。私たちの価値観だけで「何が正しいか」を決めつけることは、広い世界を見渡せば、とても難しいことだとわかる。
②他者の価値観を一旦受け入れる
世界を見渡せば、「常識」さえも大したことのない価値観になってしまうのだが、その「常識」があるからこそ、安心して仕事を任せることができている。
Zoom会議も日本人はオンタイムで参加してくれる人が多いが、国によっては30分遅刻され、お詫びもなく会議がスタートすることもある。こんなことがあると「時間にタイトな日本人は良いな」と安心してしまう筆者だが、グローバルな会議の方が学びを得ることは多い。
国境を越えなくても、多種多様なバックグラウンドを持つ人材が集まれば、素晴らしいアイデアが生まれることと引き換えに、意見がぶつかってしまうこともあるだろう。
そんなときは、納得がいかなくても、他者の考え・価値観を一旦受け入れよう。否定だけをしていては、相手がなぜその考えに至ったのかを知ることができない。一旦受け入れて、相手の考え・価値観を十分に理解してから、冷静に自分の考えを述べることが重要だ。
③新しい体験や経験を増やして価値観をアップデートさせる
①の「何もかも自分が正しいと思わない」で述べたように、あなたが正しいと思う言動や選択は、自分の人生経験を参考にして選んだ、最もベストなアイデアだ。
ということは、新しい体験や経験を増やすと、あなたにとってベストなアイデアが更に素晴らしいものにアップデートされる可能性がある。この「価値観をアップデートさせる」というプロセスを何度も踏むことによって、柔軟な思考を持つことができるので、お勧めだ。
Step3: イライラせずに済む話し方を取得する
相手と話していて、毎回同じようなプロセスでイライラしてしまったり、イライラしてしまう内容が明らかになっている場合、それを防ごう。
「①特定のテーマを避けて話す」、「②特定のワードを使わずに話す」、「③相手に原因があると思わない」、この3つを参考にしてみてほしい。
①特定のテーマを避けて話す・話してもらう
苦手な人や嫌いな事柄など、特定のテーマになると決まって感情的になってしまう場合がある。
その場合はそのテーマをできるだけ避けて話を展開させたり、「今、〇〇について冷静に話せる状態ではないので、できればその内容は避けたい」という旨を相手に伝えるのがお勧めだ。
②特定のワードを使わずに話す・話してもらう
「このワードを聞くとイライラしてしまう」というワードがあるなら、相手にもその旨を伝えて、できるだけ避けてもらうのも手だ。その場合、何も知らずにイライラされるよりはマシとはいえ、相手にとっては負担になる。きちんと謝罪と感謝を伝えるのを忘れないようにしよう。
③イライラの原因が相手にあると思わない
イライラしたとき、どうしても相手に原因があると思ってしまう。しかし、相手のその発言にイライラしない人もいるのだ。
「変わっているね」と嫌味・皮肉を言われたとしても、褒め言葉に受け取ってしまう人が世の中にはごまんといる。筆者は8歳の頃、「変わっているね」と同級生に言われ、非常に落ち込んだことがあった。嫌味なのか褒め言葉なのかはわからないが、当時は嫌味を言われているように感じていた。しかし今となれば、「皆と同じだね」と言われた方が貶されてるように感じる。
相手の発言の意図を知ることは難しいが、受け手の状態によって、それがプラスの意味を持つのか・マイナスを意味するのかが変化する。つまり、相手の発言がたまたま自分にとって好ましくなかっただけで、誰かにとってはイライラするような内容ではないのかもしれない。
自分の意見を否定されたり、望んでいる方向に物事が進まないと、どうしてもイライラしやすくなってしまう。しかし、アンガーマネジメントテクニックを活用すれば、新たな視野で今の状態を見ることができ、今まで以上に良いアイデアに恵まれることもあるのだ。
- 社内コミュニケーションが組織にもたらすメリット
- コミュニケーションを活性化できる仕掛け