「Z世代」はリモートワークが得意!? マネジメント職に必要な留意点
今回は、新入社員として続々と社会に登場するようになった「Z世代」の特徴やリモートワーク下でのマネジメントの方法について考える。
特にマネジメント部門と世代が大きく異なる場合、マネジメント側も考え方のアップデートが必要だ。彼らが何を考え、何に価値を置いているのかを理解することで、円滑なコミュニケーションが可能になるだろう。
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これまでの価値観では通じないZ世代へのマネジメント
中盤から2010年代中盤あたりまでに生まれた世代を「Generation Z」と呼び、マーケティング用語では「GenZ(ジェンジー)」と略される。日本では「Z世代」と訳され、かなり広い世代を定義しているが、概ね2010年代から2020年代にかけて社会にデビューした年代としてよい。
彼らは生まれた時点ですでにインターネット環境が常識となっていた、人類史上初めてとなる「真のデジタルネイティブ世代」だ。PCよりもスマホを得意とするため、iPhoneをもじり「iGen」と呼称されるケースも海外では散見される。日本でもスマホを活用し卒論を仕上げたため、入社後も「PCの使い方がわからない」「キーボードが使えない」という世代がまさにこれにあたる。
そのひとつ前のカテゴリー「ミレニアム世代」と比較しても、Z世代はスマホを活用した情報発信能力に優れているため、スマホでつながる人々への影響力は大きく、SNSなどを駆使する「インフルエンサー」と呼ばれる人も多い。
新型コロナウイルスに席巻されるこの世界において、昨年および今年入社の新人はおろか、社内の30歳未満の若手社員の多くはZ世代。上記の前提を踏まえると、リモートワークが主流となった職場を、こうした若手は両手を挙げ歓迎している……かというと、これがそうでもないケースが散見されるため、特にマネジメント層は留意する必要がある。
Z世代が抱えるリモートワーク下での課題とは
公益社団法人全国求人情報協会がZ世代を対象とした「2020年新卒者のリモートワーク/在宅勤務実態」調査によると、新卒者のうち38.5%がリモートワーク中に「ひとりで課題を進めていた」と回答、電話やインターネット・プロトコルを介した会話についても33.3%が「機会がなかった」としている。
これに対してやや矛盾を感じざるをえない点は、上記の実態があるにもかかわらず、リモートワーク希望者は51.6%と半数以上が希望、一方、「利用したくない」が12.3%と少数派である状況だ。リモートワークは希望するものの、実施者の3分の1はコミュニケーションになんらかの支障を抱えている…としていいだろう。
内閣府が令和2年12月に実施した、「新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査」においても依然、「社内での気軽な相談・報告が困難」は前回調査と比較しても38.4%と上昇しており、全世代において引き続きテーマとなっている点を窺わせる。「取引先などとのやりとりが困難」も31.6%。リモートワークの限界やそのストレスについても高い不満が把握できる傾向に変わりはない。
また、こうした全世代的傾向は、全研による調査でもコミュニケーション不足について74.8%が言及。リモートワークよる影響としても、「社内事情に疎くなった」「仲間意識の薄れ」「寂しさ」「孤独感」などコミュニケーションに起因する要件が並ぶ。
実際、現場のナマの声としても「上司や先輩が別のリモート会議に出席している間、ぼーっとしてしまいがち」、「在宅勤務ではメリハリがつかないので、出社したいのですが…」などの声も後をたたない。
こうした現場の対応には、いろいろと工夫が見られる。オフィスのデスクトップPCへのリモートアクセスを利用している会社では、PCそのものを上長がモニターしており、これにより業務状況を把握するパターン、またはZoomなどのビデオツールやLINE WORKSなどのテレワーク・ツールを常時接続し、いつでも上長や先輩、同僚に話しかけられる体制を敷く会社もある。
時代の流れか、oviceなどに見られる「バーチャル・オフィス」も活用例が増えており、実際に出社せずともネット上に設けられたオフィスで行動可能、気軽に上司や同僚に話しかけることができるほか、来客とバーチャル会議室で打ち合わせも敢行できる。社内だけではなく、取引先とのコミュニケーション向上にも利便性が高いようだ。
リモートワークにおける上記の問題点は特に、一人暮らしの若い男性に見られる傾向にあり、そのストレス解消のためにカウンセラーなどを用意している企業もあるという。もっともこの傾向はなぜか男性のほうが強いため、不思議に感じていると、Z世代の女性から「女性はすぐに友達と相談したり、ストレスを溜め込まない方策を熟知しているからでは……」との意見があった。
全研の前述の調査ではリモートワークの影響について「運動不足で疲れがたまる」という回答も意外に大勢を締めているが、こうした回答は自己管理ができない社員をそのまま反映している。つまり通勤以外の運動を試みない現れであり、出勤でも在宅勤務でも個人個人で運動による健康管理ができてさえいれば、こうした結果はみられないはずだ。運動不足を嘆いている部下がいる場合は、注視すべきポイントとも言えそうだ。
リモートワークが影響してか20代では特に副業志向も強く現れており、「副業をしている」「副業に関心がある」を含めると75%が副業の意思を持っている。50代の45.4%が、60 代に至っては57.9%が副業に「関心がない」と世代間の意識の違いが浮き彫りになっている。
さらにFNNの調査によると、リモートワークにより、「ハイパフォーマー」と「ローパフォーマー」の二極化が進んでいるという見方も広がっており、こうした落とし穴にはまらないようマネジメントとしては目配せを効かせたいもの。ローパフォーマーは特に、コミュニケーション不足を実感しており、帰属意識も薄れている傾向にある。
その対応策としては、
- 業務分担の明確化、権限・裁量移譲の見直し
- 身体的、精神的、社会的健康への着目
- 教育・研修の充実
の3点を挙げている。自社においても、こうした観点から見直しを図るのもよさそうだ。
(参照:在宅勤務で「ハイパフォーマーに業務が集中」…二極化はなぜ進む? 理由と対応策を聞いた|FNNプライムオンライン)
こうしてデータ全般をあらためて眺めてみると、Z世代は真のデジタル世代と認識され、スマホ・ネイティブで各種アプリを活用しているように見えるものの、そこはあくまでプライベートでの活用に過ぎず、リモートワークが導入されたニューノーマル時代において、特に適正に優れているというわけではない。その点について、会社組織のマネジメント層は認識を改める必要がありそうだ。
「新時代には新世代」という固定概念は抱かぬよう用心したい。
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