コロナ禍におけるメンタルケアの重要性・テレワークでのセルフケアTips
経済協力開発機構(OECD)のメンタルヘルスに関する国際調査により、新型コロナウイルスの影響でうつ病・うつ状態の人が増加したことが明らかになった。日本国内では新型コロナウイルス流行前にうつ病・うつ状態だった人が7.9パーセント(2013年調査)だったのに対し、2020年には17.3%となり、2.2倍に増加。アメリカは6.6パーセントから23.5パーセントになり、3.6倍急増したことがわかる。
<参照>読売新聞|コロナで日本人の「うつ」倍増、米も3・6倍…若い世代や失業者ら深刻化
一見数字だけを見るとアメリカと同じような状態であるように感じるが、アメリカと日本には大きな差がある。自身の精神状態に対する関心度合いだ。
▼関連記事
リモートワークでメンタル不調になりやすい人は?ストレスの原因や対策を紹介
目次
日本のカウンセリング・精神病に対しての偏見が、心のリカバリー(回復)を遅らせている
“メンタルケア” と言って思い浮かぶのは、「精神科医へ受診してカウンセリングを受ける」という行為だが、とても敷居が高いと感じている人が多いようだ。
そもそも日本は精神病に対する偏見が強い傾向にあり、精神科に対しての誤解も少なくない。自殺願望が出るなど命に影響が出る限界点まで我慢してしまい、取り返しのつかない事態になるケースもある。忍耐が美学とされる日本独特の文化が関係しているのかどうかは不明だが、自殺者数が多い国として有名になってしまっている以上、その汚名を返上すべく改善していかねばならない。
日本ではまだまだ精神科やカウンセリングへの抵抗が強い
アメリカでは、カウンセリングを受けている人が身近に存在していることが多いからか、精神科を受診することやカウンセリングに通うことに対する抵抗感が低い傾向にある。精神病を抱えている患者もそうだが、病気になるもっと手前の段階(「失恋したから立ち直れない」または「失業して不安だ」というような理由)だったり、経営者やスポーツ選手など大きなプレッシャーを抱えながら活躍するプロフェッショナルもメンタルの専門家(カウンセラーないしコーチ)に相談したり意見を尋ねているケースが多い。
もちろん「アメリカでは」と一言でまとめるにはとても広すぎる国であり、土地や文化によっても異なるが、メンタルケアに対してお金と時間を投資する文化があることはとても素晴らしいと筆者は思う。投資できるということは、自身の精神的な健康状態に対しての関心度が高いという意味であり、自分を良くしていくことに対して前向きである。つまりは、心の回復が早くなるということだ。
コロナ禍ではセルフメンタルケアが求められる
人間の大きな悩みの一つは人間関係だと言われており、人間関係悪化の原因の一つはコミュニケーションのすれ違いである。そのため、コミュニケーション能力を向上させることは大切だと言える。特に新型コロナウイルスによって急増したテレワーカーの悩みの一つが「コミュニケーション不足」によって起こるものなので、信頼関係構築Tipsも参考にしてほしい。
そしてもう一つ大切なのは、メンタルケアである。しかし、何かストレスを感じる度に「精神科を受診する」または「心理カウンセリングに行く」という必要はない(もちろん、自身で必要だと感じたら迷わず受診してみてほしい)。まずは自分でできる「早めのセルフメンタルケア」を心がけてみよう。
テレワークにおけるセルフメンタルケアTips
精神状態の管理ができるようになるととても便利だ。管理といってもガチガチに心理をコントロールをするこということではなく、「傷ができそうなときにどのような予防をするか」「傷ついたときにどういったケアをするか」が重要となる。
ストレスに対しての対処法はいくつかあるが、ここではテレワークにおけるセルフメンタルケアtipsを3つ紹介する。
1. 疲れていてきたなと感じたら、20分の昼寝をする
テレワークをしていると作業場が家になり個人の作業が増えるため、その切り替えが難しくなる。作業をしていない時間でさえも無意識に脳を動かしてしまい、エネルギーを消耗し、気がついた時には疲れ果てている。
精神的な疲れが溜まるとネガティヴな考えに偏りやすい上、作業効率も下がるので自己へのパフォーマンス評価度も下がりやすい。その為、疲れる前に脳を休めることが重要だ。
Harvard Business Reviewの記事によると、年収1000万円以上を稼ぐ人の1/3が昼寝をしているという。
筆者は作業効率が下がってきているなと感じたら20分の昼寝を取り入れているが、昼寝の後は眠気も消え、思考がクリアになっているので作業効率が向上する。起きている時間を最大に有効活用するためにも、昼寝はとても良いテクニックであると言える。
Harvard Business Review|Use Nap Time to Maximize Your Up Time
2. 自分の思考をアウトプットする
テレワークをしていると、人になかなか合わず視野が狭くなりやすい。
Zoomミーティングなどオンラインツール上では更に自分の発言にも慎重になるため、なかなかアウトプットの時間が減ってしまう。
しかし、アウトプットすることは大切だ。アウトプットすることによって、自分が今何に悩んでいるのか、何を解決しなければならないのか、何をしたいのかが整理されて明確になる。
上司に話を聞いてもらう、友達に話す、紙に思っていることを書き出すなどをしてアウトプットしよう。そして大切なのは、アウトプットした後は自分の現時点での考えを具体的にまとめることだ。明確にする項目リストは以下を参考してほしい。
- 何に悩んでいるのか、モヤモヤしているのか
- 具体的に何を解決したいのか
- そのために少しでもできるないのか
- …etc.
人間は正体のわからない存在に対して恐怖感を感じやすいので、憂鬱な気分の原因を明らかにすることは大切である。すぐに解決できない問題だとしても、小さな一歩の踏み出し方向を自分に提示してあげよう。
3. 外に出る
物理的にずっと家に閉じこもってしまっていたら、外へ散歩に行こう。単純な行動だが、その単純な行動で気分が明るくなる場合が多い(早期のストレスなら尚更だ)。
また、ここでいう “外に出る” は仕事以外の世界に出るという意味でもある。
一つのことだけに集中していると視野が狭くなりやすい上、それしかないように感じてしまい、そういった勘違いが選択肢を無意識に狭めてしまう(「この上司に嫌われたら人生が終わってしまう」など一見おかしいように感じるが、これを本気で信じている人も多い)ので、仕事と全く関係のない外の世界と繋がりを持つことによって冷静さが保たれ、全ての出来事を客観的に見れるようになる。
テレワークのストレスはメンタルの自己管理がカギになる
単純で簡単な3つのTipsを紹介したが、早期のストレスであればあるほど、単純なケアで心が回復する可能性が高い。また、上記のTipsを行うのが難しく感じたり、効き目を感じられなかったら迷わず精神科を受診するなどのアクションを起こそう。
▼こちらの記事もおすすめ
テレワークによって起こる「バーンアウト(燃え尽き症候群)」を防ぐには?
- 社内コミュニケーションが組織にもたらすメリット
- コミュニケーションを活性化できる仕掛け