[リモートワーク] 新卒社会人/Z世代との信頼関係の築き方
ジェネレーションZ世代と呼ばれる年代(1996年~2012年の間に生まれた新たな世代 )が新社会人になったのは、コロナ禍によるリモートワーク推奨がスタートした時期とちょうど被る。中でも、筆者の生まれた 1997年代はリモートワークしか経験したことのない社会人も多いのではないのだろうか。
新型コロナウイルスが流行する前、新卒3年以内の離職率は3割を超えていた。
しかし現在、リモートワークを積極的に取り入れている企業の新卒離職率は減少傾向にあるという研究結果も出ている。
その一方、多くの在宅勤務者が(オフィス勤務をしている同僚と比べて)上司から同様の支援・キャリア指導を受けられていないと感じていることが同調査で明らかになった。
<参照>
転職Hacks|新卒の離職率|3年で3割辞めるって本当?
ZDNet Japan|在宅ワークを認める企業の方が離職率は低い–ただしデメリットも
テレワーク最大の課題は“信頼関係の構築”
今後日本でもワクチン接種率が上がれば、オフィス勤務が主流に戻る企業もあるだろう。そのままテレワークを続けることもできるだろうし、週に1~2回だけ出社するなど働き方の多様性が認められる世の中になると思われる。というより、その選択肢があると私たちは期待している。
今現在解決していない物理的な課題も、更なるテクノロジー進化の加速により解決していくだろう(この ”課題” というものが世の中の進化を進める材料なのだから)。
こうして世の中が便利になっていく中で、人々は最も厳しい課題に直面している。
それは ”オンラインでの信頼関係構築” だ。
冒頭で述べた通り、コミュニケーションや信頼関係構築という観点で、上司や会社のメンバーと直接「会わずに」仕事を進めるということには課題が残っていると言える。
どれだけテクノロジーが進化しても、上司や部下が優秀でも、結局ビジネスは人である。
オフラインで全て行われていた時代でさえも、信頼関係の構築は簡単とは言えなかった。無口なミステリアスタイプはこまめに様子を見て意思を確認しなければならなかったし、感情的になりやすいタイプは冷静になる為の時間を与えるなど常に意識ならなかった。常に良いパフォーマンスを行う為にも、信頼関係を築くことは極めて重要である。
昨年の緊急事態宣言禍で一時期 Zoom飲み が流行っていたが、正直にいう。
若者は猫を被るのが得意だ。オンラインであれば尚更だ。もちろんすぐに本音を話すタイプもいるが、中には猫を100匹近く被っているタイプもいる。つまり、飲みの場を設ければ良いというわけでもない。そもそも付き合いでお酒を飲まない烏龍茶タイプも増えているので(筆者もその一人である)本音トークでお酒の力を借りるというのは弱いテクニックになりつつある。
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【ovice独自調査】「オンライン飲み会」、部下と上司に大きな意識の差
リモート時代のウェルビーイングに必要なのは「見える・見られる」というコミュニケーション
信頼関係は徐々に生まれるもの
本当の意味での信頼関係構築には時間がかかる。クライアントの信頼や興味を1分で掴むことはテクニックとして存在するが、揺るぎない信頼関係というものは繰り返される会話を通して成り立つ。家族という存在に変わりがいないのと同じだ。
だから職場の人とは信頼関係が築きやすい(職場恋愛が多かったのもこれが理由だ。今の時代は社外での出会いが多いため減少しているが )。
<参照>QOM総研|ここ20年で職場結婚がほぼ半減 代わりに、高校・大学の縁、ネットでの出会いからの結婚が増加中
Z世代は今何を考えているのか
新たな偏見が生まれぬよう語弊がないように気をつけなければならないのだが、ミレニアル世代(1980年から1995年の間に生まれた世代)に比べて、Z世代は自身を健康的であると認識している人が少ない傾向にある。不景気や新型コロナウイルスの影響によって将来が不透明であることに対しての不安、SNSの普及から起こる情報過多などによって精神的な不安を自己認識している人が多い。
<参照>GWI|What Gen Z really think and why you should care
一方、幼い頃から携帯電話という存在に慣れているためテクノロジーに関しての抵抗感がなく、不自由なく使いこなせる人が多い。このことをデジタルネイティブを呼ぶが、彼らはデジタルに頼りきって怠けているのではなく、自身を発展させたり限界点を広げることができている。
一昔前だったら意志の強さや根性論が美徳とされていたが、今は現実味のあるアイデアや事例を探すことが安易になったためそこまで重要視されなくなった。
メンタルの強さは大切ではあるが、最重要ではなくなったということだ。ネット情報に誰でもアクセスできるため(とはいえネットに書いている情報なのでどこまで信頼して良いかは自己責任ではあるが)、努力するべきことが明確になりやすかったり、チャンスにも恵まれている。
そういった意味では、目標が高い野心家の若者も増えている。あくまで傾向ではあるが、ギャンブラー精神はあまりなく、事例などを探し出して確実な答えを求めようとする慎重派が増えている。
そういった理由からか自身より上の世代からなかなか理解されないと感じていたり、 “最近の若者は…” など、(相手にその意図はなかったとしても)年齢差別を受けていると感じている人も少なくない。
<参照>Harvard Business Review|Am I Old Enough to Be Taken Seriously?
逆に言うと、自分が理解されていると感じる人に対しては心を開きやすいのだ。
猫を被るのが得意な若者は、相手は猫を被っていることに対しても敏感に感じ取ることができる。その為、理解できない領域まで理解できると嘘をつくことは信頼関係を構築する上で全く役に立たない。
そんな時は、彼らが本音を話せそうな人を(自分ではなくても、またはチーム外メンバーからでも良い)見つけてあげることが大事である。
会社のメンバーにひとりでもそういう存在がいるだけで、彼らの不安感を解消する手助けになる。安心感を感じることができる場所・人を提供してあげることは、彼らの仕事に対するイメージさえも大きく変えることができるのだ。
相手の感情を認めることがいかに信頼関係を生みだすか
彼らに合う人を見つけるとはいえ、一緒に仕事を進めるメンバーとの信頼関係も大切だ。できる限りベストなコミュニケーションを図る必要がある。
「最近の若者はすぐ弱音を吐く」
そんなセリフを聞いたことがあるが、弱音というのは誰しも抱えているものである。アメリカを代表する勇敢なヒーロでさえ、弱音を頭に思い浮かべることはある。それを言葉にするかしないかだけの違いだ。その弱音に大きな意味を込めたつもりはないので、彼らを改心させる必要もない(クライアントの前で不安を吐露するのは問題だが、上司の前でなら無問題である)。
大切なことは「休みたい」「できなそう」など弱音を含む選択肢の中で、結果的に何を選ぶかなのだから。
話が脱線したが、Harvard Business Reviewによると、こんな研究結果がある。
「相手の感情を認めることは職場での信頼関係を強化することができる」
感情は私たちのアイデンティティや精神的経験の基盤であるため、それが受け入れられたとき、相手に対して信頼を寄せるようになる。
“状況” ではなく “感情” を口頭で認める/受け入れることが信頼関係強化につながる。
「商談がうまくいかなったようですね」と遠回しに言われるより、「怒っていますね」と(商談がうまくいかなかったからだと予測ができたとしても)感情に対してストレートに言われたほうが、心は開きやすい。
若者は胡散臭い優しさに敏感なため、慎重になりながらも、積極的にコミュニケーションを取って欲しい。
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