2020年以降、日本でもテレワークが急速に広まりました。日本政府が「柔軟な働き方」の実現に向けた方針を示していることもあり、感染症が収束し出社が可能となった今でも、働き方の一つとしてテレワークを継続する企業も少なくありません。この記事では、テレワークをコスト面から支援する、厚生労働省人材確保等支援助成金(テレワークコース)について紹介します。
目次
人材確保等支援助成金(テレワークコース)
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助成金とは、主に中央省庁や地方公共団体が、特定の企業や団体の事業や活動を支援するため、審査と手続きを経た上で資金を提供する制度です。
働き方の分野における助成金としては、厚生労働省が管轄する、企業の労働環境改善や人材育成、雇用促進を目的とした取り組みに対して支給する施策などが挙げられます。
こうした助成金の一つである「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」とは、テレワークを制度として導入・実施することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主を対象に、助成金を支給する制度です。
支給対象となる経費の範囲には以下が含まれます。
1.就業規則・労働協約・労使協定の作成・変更
2.外部専門家によるコンサルティング
3.テレワーク用通信機器等の導入・運用
4.労務管理担当者に対する研修
5.労働者に対する研修
<参照>
厚生労働省 | 人材確保等支援助成金(テレワークコース)
注目すべきポイントは、「3.テレワーク用通信機器等の導入・運用」の取り組みとしてウェブ会議関係機器(webカメラ、ヘッドセットなど)の購入費用や、テレワーク用サービス利用料が助成される点です。
この助成金には2種類の助成があります。一つ目は、「機器等導入助成」です。これは支給要件を満たす場合に、最大100万円、支給対象となる経費の50%が支給されます。この助成では、計画認定日から6か月以内に3か月間評価期間を設け、厚労省により指定されたテレワーク回数などを達成した場合、支給申請ができます。
具体的には、以下のいずれかを満たす実績を示す必要があります。
- テレワーク実施対象労働者全員が1回以上テレワークを実施
- テレワーク実施対象労働者のテレワーク実施回数の週間平均が1回以上
※実施を拡大する事業主の方は、上記に加え、評価期間(機器等導入助成)の延べテレワーク実施回数を計画提出前3ヶ月と比べて25%以上増加させる必要があります。
<出典>
厚生労働省 | 人材確保等支援助成金(テレワークコース)申請マニュアル(R6.4.1版)
二つ目は「目標達成助成」です。年間の離職率が計画提出前1年間を下回り、かつ離職率が30%以下であることなどが条件です。
具体的には、以下の要件を満たしていることを示す必要があります。
- 15%補助の要件
- 年間の離職率が30%以下であること
- テレワーク実施人数の割合が1年前より増加していること
- 25%補助の要件(+10%)
- 1年以内にテレワーク実施対象労働者の毎月決まって支払われる賃金が5%以上増加させること
これまで、テレワークの導入・拡大を検討していたものの、費用面のハードルの高さから、ソフトウェアの導入を見送った、適切なデバイス(ヘッドセットなど)をそろえることができなかったといった企業もあったと思います。こうしたケースでも、費用を押さえながら必要なサービスや機器を新たに導入するという選択が生まれます。
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2024年度(令和6年度)の主な変更点
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助成金・補助金の内容は、年々実態に合わせてアップデートされています。ここでは、2024年度(令和6年度)の人材確保等支援助成金(テレワークコース)のアップデート内容を紹介します。
機器等導入の助成率を50%に引き上げ
令和6年度の改正で、機器等導入助成の助成率が、30%から50%へと大幅に引き上げられました。この変更は、テレワーク実施継続のためにはコストがかかることが認知されてきたことを反映しているといえます。
テレワーク導入済みの企業も対象に
今回の改正では、すでにテレワークを実施していても、その実施規模を拡大する場合にも利用が可能となりました。
昨年度までの要件では、更にテレワークを推進するために助成金を利用したいと思っても、すでにテレワークを実施したことがある企業は対象とならない場合もあったため、断念した企業も少なくないのではないでしょうか。今年度の変更で、こうした企業も利用できるようになったため、対象は大幅に拡大します。
仮想オフィス(バーチャルオフィス)も対象に
仮想オフィス(バーチャルオフィス)のサービス利用料が、2024年度(令和6年度)の改正で初めて助成対象となりました。仮想オフィス(バーチャルオフィス)の利用が広がり、テレワークを含む働き方に欠かせないプラットフォームだという認識が広がっていることがわかります。
従来型のテレワークでは、社員の姿が見えないことから生じる課題が少なくありません。例えば「今上司や同僚がどのような状況か分からず、確認が行えないため仕事が進まない」、「新しいチームに異動したものの、誰が何の担当をしているのか把握するのが難しく、チームに対する帰属意識を持てない」といった声がたびたび聞かれます。結果、オフィス出社に戻す企業も増えていました。
しかし仮想オフィスを活用することで、ひと目で同僚の状態がわかり、スムーズに連携できるため、上記のような問題を解消することができます。そのため、わざわざオンライン会議を設定したり、相手のカレンダーを確認して空き時間に電話するということをせずとも、ちょっとした確認のためにアバターを介して相手に話しかけることが可能です。
また、多くの企業では、テレワークを導入する際、まずはパソコンやタブレットなどのデバイスを増やすことに注力します。しかし、いくらデバイスを揃えても、テレワークに適した環境が整っていなければ、その効果は限定的なものになってしまいます。デバイスに加えて仮想オフィスを導入し、コミュニケーションや業務管理がスムーズに行える環境を整備することが不可欠です。
人材確保等支援助成金(テレワークコース)で、今回初めて「仮想オフィス(バーチャルオフィス)」が対象となったのも、上記のような課題解決やテレワークの定着に、仮想オフィスが有効だという認識が広まった結果であると考えられます。
助成金を受け取ることができる可能性は?
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人材確保等支援助成金(テレワークコース)の採択件数について、公表されている令和4年度までの決定件数を見ると、全国を対象としているにもかかわらず、その数は数十件の実績にとどまります。
このような数字の背景には、支給申請の際に提出が必要なレポートの作成に手間がかかることや、これまではテレワークを新規で導入する企業のみが対象であり、既にテレワークを導入していて拡大をしていこうとしている企業は対象外だったことが考えられます。
しかし前節で見たように、申請のための条件や助成の対象も実状に合わせてアップデートされ、テレワークを拡大させていこうとしている企業も助成の対象となるなど、より「実用的」になっているため、今後は働き方の変革に向けた取り組みの広がり次第で、助成金を活用する組織も増えてくることでしょう。
テレワークの課題を解決するovice
テレワークにはさまざまなメリットがある反面、「仲間が今何をしているのか見えず、連携しづらい」「話しかけるタイミングが分からない」といったことが課題とされていました。この課題を、2次元のバーチャルオフィスツールである「ovice」(オヴィス)」で解決することができます。
しかし働く環境としてoviceを導入すると、オフィス勤務でもリモートワークでも、みながアバターとしてovice上に出社することになりますので、メンバーの状況を可視化し、適切なタイミングでコミュニケーションを取れるようになります。テレワークの課題を解消することができるだけでなく、オフィス勤務でも離れたデスクやフロアにいるメンバーとも、距離を気にせず働けるようになります。そして、「テレワーク関連のサービスを導入したものの、うまく使いこなせず定着に至らなかった」という問題も解決できます。
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oviceを導入した企業の多くが、コミュニケーションの活性化や問題解決のスピードアップを実感しています。離れた場所にいるメンバーとも一体感を持って連携でき、社員エンゲージメントの向上にもつながっています。
「柔軟な働き方」実現に寄与するテレワーク制度。この機会に、仮想オフィスを活用したテレワークをぜひ検討してみてください。