急激にリモートワークが普及したことにより、新しい働き方の実現のために頭を抱えている方も少なくないでしょう。ニューノーマルにおける働き方が注目を集める今、oVice社、Slack社、Notion社、ゆめみ社の4社合同で「『変化する働き方に、企業はどう対応するべきか?』 #ニューワークスタイル」と題したオンラインセミナーを開催しました。
今回の記事では、次世代の働き方について各社がどのような取り組みをしているのか紹介します。
ニューワークスタイルを牽引する4社
ーまずはoviceのサービスについて教えて下さい。
ジョン・セーヒョン(以下 ジョン):oviceを立ち上げたきっかけは、2020年3月に渡したが北アフリカで突然ロックダウンに遭遇したこと。いつ日本に帰れるか分からず、テレワークを余儀なくされました。既存のオンライン会議ツールを使っていたものの、普段隣に座っていたメンバーと気軽に話せないもどかしさから開発を始めたのがoviceです。
「物理的に離れている人たちが、一つの場所で作業できる」そんな空間をバーチャル上で作れないか?と思い、開発を始めてから約1年半が経ちます。最近は「メタバース」という言葉が流行っていますが、私たちがユーザーに提供している価値はまさにメタバースとしての価値です。
ーニューノーマルな働き方についてどう捉えていますか?
ジョン:以前は「コロナ禍への対応策」と考えられてきたテレワークも、今では企業の成長戦略の中心になりつつあります。テレワーク下でいかに社員が快適に、かつパフォーマンスを出して働ける環境を作るかは、今や経営における最重要課題と言えるでしょう。
そのためには、単にテレワークを導入するだけでなく、自社に合ったツールなども柔軟に取り入れていかなければなりません。私たちのサービスが提供しているのはあくまでスペースです。今はサードパーティと繋がって様々な機能をアドオンできるので、私たちのユーザーにはぜひ自社に最適な環境にカスタマイズしてほしいですね。
ー続いてSlackのサービスについて教えて下さい。
生垣侑依(以下、生垣):私たちのサービスは「Digital HQHQ(会社を動かすデジタル中枢))」を実現するために開発されたビジネス向けのメッセージプラットフォームです。デジタルを活用することで時間や場所に縛られない柔軟な働き方を提供しています。
そのために私たちが提供している価値は主に3つ。1つめは「従業員同士の繋がり」。オープンなコミュニケーションを実現することで、社内の透明性を高める他、Slack内での検索機能を活用することでオンボーディングにも役立たせられます。新機能の「Slackハドルミーティング」を利用を利用すれば、音声ベースでのコミュニケーションも可能です。
2つめは「お客様/パートナーとの繋がり」。Slackコネクトという機能を使えば、社外のパートナーともチャンネルを共有して、一緒にプロジェクトを進めることもできます。3つめの「システムと繋がる」は、様々な外部アプリと連携することで、自社にあった機能をカスタマイズできます。
ーニューノーマルな働き方についてどう捉えていますか?
生垣:リモートワークをしている企業を対象にしたある調査では「オフィスに戻りたい」と答えた社員はわずか17%で、63%もの人が「出社と在宅を選びたい」と思っています。この結果を見ただけでも、企業には以前の働き方に戻る選択肢はないのではないでしょうか。
今や多くの従業員が働く場所・時間への柔軟性を望んでおり、働く満足度を決める上で報酬に次いで重要な要素です。ニューノーマルな働き方を模索していくことは、企業にとって最も重要な経営戦略になっていくと思います。
ー続いてNotionのサービスについて教えて下さい。
西勝清(以下、西):Notionはチームが成長するためのオールインワンワークスペースです。チームwikiやプロジェクト管理など、チームで使いたいようにカスタマイズしながら使えます。例えば企業内で様々なツールを使っていると、情報が散らばって必要な情報が見つからないこともありますよね。チームごとに使っているサービスが違えばなおさらです。
そのような時にNotionで「情報の地図」を作っておけば、必要な情報にすぐにアクセスできます。統一された情報の入口を作ることで、情報を探す時間をぐっと圧縮できるんです。
また、一箇所に情報を情報を集めることでチームとしての文脈も補うことができ、自走できる組織へと成長させることも難しくありません。一人ひとりが必要な情報を自分で集められるので、自ら意思決定して動けるようになっていくのです。
そのように情報の地図を作ったことで、定例だった朝会夕会を廃止した企業もあります。非同期で情報共有できるようになったことで、無理にみんなで集まることなく仕事の効率もぐんとあがりました。
ーニューノーマルな働き方についてどう捉えていますか?
西:今は誰もが新しい働き方を実践できる波がきています。かつてはトップが働き方を決め、組織に浸透させるのが主流でしたが、今はメンバーが普段使っているツールをトップが認める風潮が強まっているのです。
今は誰もが新しい働き方の解を持っておらず、模索している最中。だからこそ現場での目利きが非常に重要です。働きやすい環境を作りたい方は、最新のツールに触れながら小さなチームで試してみてください。その感想を発信していけば、徐々に仲間が増えていきますし、いずれは企業のオフィシャルになっていくはずです。
ーゆめみの事業内容や働き方について教えて下さい。
片岡俊行(以下、片岡):私たちはクライアントと一緒にデジタルサービスを開発しているため、社名を聞いたことがない方もいるかもしれません。しかし、みなさんが知っている大企業のサービスも、実はゆめみが作っています。
事業以上に私たちの名が知られているのは日本一の「Qiita活用企業」としてです。エンジニアのノウハウを発信するQiitaというサイトにおいて、アウトプット量で日本一を誇っています。
同時に日本一の「Slack活用企業」でもあります。Slackさんが調査したツールの浸透度を計るマチュリティスコアが日本一になり、Slackの価値を最大限に活用している会社として表彰されました。Slackだけでなく、本日登壇されているoViceさんもNotionさんも最大限利用させてもらっています。
ーそれぞれのツールの活用方法を聞かせてもらっていいですか?
片岡:Slack上ではメンバーの心理的安全性を作るため、メンバーそれぞれにパーソナルチャンネルを作っています。そこは基本的に本人が投稿するチャンネルで、否定的な感情も含めて自己開示出来る場として活用してもらっています。
「弱みを吐ける場所なんだ」と思うことで心理的な安心に繋がりますし、自分の不調にも気付きやすくなるんです。いきなり悩みをつぶやくのが難しい人のために、質問に答えるだけで自己開示できるbotも用意しています。
Notionはリモートワーク下でも「困ったことがあった時に横の人に聞ける安心感」を作るため、どんな些細なこともドキュメントにまとめて残すために使っています。どのように活用しているのか「ゆめみオープンハンドブック」として公開しているので参考にしてください。
そして、偶発的なコミュニケーションを生み出すために取り入れたのがoviceです。私たちは日本一勉強会を開いている企業でもあり、それらの一部をovice上で開催しています。メンバーがふらっとoviceに入った時に開催している勉強会に参加し、たまたま出会った人と会話する。そのように偶発的なコミュニケーションが生まれる環境を作っています。
「どうすればツールを社内に浸透させられるか」よく寄せられる相談に対する各社の答えとは
ーここからパネルディスカッションに入っていきたいと思います。まずは各社、サービスを導入する上でユーザーからどんなことを相談されるのか聞かせてください
ジョン:一番相談されるのは「どうすればサービスが浸透するか」ですね。私たちのツールはコミュニケーションツールでもあるため、1人2人が使っても意味がありません。一定数のメンバーがoviceに入らなければ導入しても意味がないんです。
私がいつも言うのは「いきなり全社で強制的に使わせないでください」ということ。強制的に使わされても楽しくないので、コミュニケーションツールではなく監視ツールになってしまいます。
まずは1チームで使ってみる。それがうまく行けば、自然と隣のチームも使うようになり、いずれは全社で利用されます。遠回りのように見えるかもしれませんが、実はそれが1番の近道なんです。
西:私たちも同じで、ツールをどう浸透させるかよく相談されてます。その答えは2つあって、1つはoviceさんと同じでスモールチームで始めて、徐々に仲間を増やしていくこと。これは私たちが提案し始めたのではなく、うまくいっているユーザーさんから学びました。
もう1つは組織としての考え方や方針をまとめたプレイブックを作ること。ツールを導入しても、その理由や経緯がわからなければメンバーたちはなかなか利用してくれません。ツールを導入する先に、どんな組織を目指しているのか伝えることで、メンバーたちも腹落ちして利用してくれると思います。
片岡:私が意識しているのはツールを浸透させることではなく、自然と浸透するツールを選ぶことです。私たちはトップがツールを選ぶのではなく、メンバーたちの間で自然と広がったツールを標準ツールとしています。
そのため、個人がツールを使い始める費用は全額補助しています。無理にツールを導入させようとするよりも、現場にあったものを最初から選んだほうが速いですし、結果的に仕事の効率も上がると思います。
ー社員のみなさんが楽しんでツールを使えるように工夫していることはありますか?
片岡:ゲーミフィケーションを取り入れることで、仕事していること自体を楽しんで貰える仕組みを作っています。例えば全社会議についてSlackで書き込みをしたらAmazonギフトポイントがもらえるなど、ご褒美を用意することも多いですね。
今は歯を食いしばって頑張って勝つ時代ではありません。仕事を楽しむことで創造性を生み出し、それが成果に繋がる。その仕組みをいかにして作るかが企業に求められる努力ではないでしょうか。
ジョン:私たちも企業のカルチャーとして仕事を楽しむことを大事にしています。働く時間は人生の大部分を占めるので、仕事がつまらなければ人生は絶望的です。そのため、どんな大変なことも楽しく乗り越えようと普段から話しています。
例えばoviceのサーバーが落ちて、お客様に迷惑をかけたとしても、一つのお祭りとしてみんなで楽しく乗り切ります。サーバーが落ちた瞬間の写真を撮ってSNSで拡散したり。私たち自身がoviceのユーザーでもあるので、私たちが一番楽しめばお客様も一緒に楽しく使ってくれるはず。そういう気持ちで日々の仕事も楽しんでもらっています。
ー最後にニューノーマルな働き方を実践するためのアドバイスをお願いします。
ジョン:まずは深く考えずに動いてみることです。今は時代の変化が激しく、誰も正解なんて持っていません。うまくいっているように見える企業も、少しでもいい方法を模索し続けているだけにすぎません。
そのため、他社を参考にするのもいいですが、まずはスモールスタートしながら失敗を繰り返してよりよい方法を探していって下さい。時にはチームごとに違うツールを使って派閥ができるかもしれませんが、それ自体も楽しみながら乗り越えていってほしいと思います。
西:ジョンさんの言葉に付け加える形になりますが、ぜひ最新のテクノロジーに触れてみて下さい。特にスタートアップが提供しているツールは、ジョンさんのように「こんな不便を解消したい」といった原体験から生まれたものが多いです。そのため、ユーザーに寄り添って作られてる可能性が高く、きっと抱えている課題も解決してくれるでしょう。
特に海外の最新ツールに触れれば、新しいインスピレーションももらえるはずです。まずは今日登壇しているoviceやSlack、そしてNotionに触れてみてはいかがでしょうか。
片岡:私たちは自分たちのノウハウをハンドブックにまとめて公開しているので、ぜひ参考にしてください。なぜわざわざノウハウを公開しているかというと、これまでのような「ノウハウを隠して勝つ時代」は終わったと思っているからです。
これからはノウハウを公開しあって、それをいかに実践できるかの勝負。その上でユーザーに支持されたサービスが残っていけば、自然といいサービスだけが残っていきます。
また、社外に公開すると記事の質が上がるんです。私たちも最初からノウハウを公開していたわけではありませんが、公開するようになってから記事が精緻化してきれいになりました。ぜひ私たちのノウハウを参考にした後は、みなさんのノウハウもまとめて公開してみてください。
ー今日はいろんなお話を聞けました。oviceやSlack、Notionに興味のある方はぜひお問い合わせください。どうもありがとうございました!
◆おしらせ◆
ポストコロナにおいて企業の持続可能な成長に向けた働き方の方針として提唱される「Work Transformation(ワーク・トランスフォーメーション/以下「WX」)」を推進するため、共に働き方を変革していくパートナー企業/団体「WXアライアンスパートナー」の募集を2022年2月17日(木)より開始しております。
詳しくは下記よりご確認ください。
oviceがポストコロナの働き方を再定義する「Work Transformation(WX)」に向け共に変革を進める「WXアライアンスパートナー」を募集