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リモートチーム間での燃え尽き症候群。理由と防止策

※本記事は米国ovice officialの翻訳記事です。Medium|Living at Work, Not Working From Home: On Burnout Among Remote Teams

「私は、昨年の3月からF50コーポレーションの財務部門でリモートで働いています。その間、私は2回役割が変わりましたが、一度も同僚と直接会ったことがありません。仕事と家庭の境界線がなくなり、日常が崩れ、同僚との交流がなくなり、家で一人座ってコンピューターを見つめていることは、私のメンタルヘルスに大きな打撃を与え、仕事にも影響を与えているように感じます」。

これは、「r/careerguidance」というページで共有された証言だ。同じような声がSNSやオフレコにたくさん共有されている。詳細は異なるが、全体像は変わらない。ある時点から、人々は仕事が自分たちの生活に浸透し、家にさえも安全な避難所がないように感じ始める。

リモートワークのポートレート

過去20年間、生計を立てるために働くことに飽き飽きしてしまっている人の割合がとても高くなり、燃え尽き症候群についての大規模な話し合いが始まった。デロイトによると、ジュニアから経営幹部、CEOまでを含む従業員の77%は、少なくとも1回は燃え尽き症候群を経験しているという。

冒頭の証言は、「仕事と家庭の境界線がなくなり、日常が崩れ、同僚との交流がなくなり、家で一人座ってコンピューターを見つめていることは、私のメンタルヘルスに大きな打撃を与え、仕事にも影響を与えているように感じます」と続く。

「燃え尽き」の定義

燃え尽きは疲労感・倦怠感・不信感・個人的な成果の低下を特徴とする心理学的な症候群だ。

燃え尽き症候群の表現はうつ病の表現と似ているが、後者は職場との強い繋がりがあるため、2つを分離させる傾向がある。

現時点では、燃え尽き症候群の原因として共通している点はないが、燃え尽き症候群を調べる最も一般的な方法は「エネルギーの管理ミス」だ。エネルギーは広義の用語であるため、従業員が管理に苦労する傾向がある3タイプのエネルギーについて考えてみよう。

  • IQは、複雑な問題解決を必要とするタスクの遂行に関連したエネルギーである。
  • EQは、周囲の環境と関連したエネルギーである:人と話す(クライアントまたは同僚)、感情に訴えるコンテンツを作る(記事・セールストーク)などである。
  • PQは、オフィス間の移動やライアント訪問など、物理的な活動に関連したエネルギーである。

3タイプそれぞれの管理ミスは燃え尽き症候群へと繋がる。

燃え尽き症候群の症状

残念ながら、科学によると、生理学的な燃え尽き症候群の兆候のリストはないが、心拍変動(HRV)を追跡することにより、燃え尽き症候群の測定の精度が大幅に向上した。

この手順は、交感神経系(戦うか逃げるか)と副交感神経系(休息と消化)の間の不均衡を判断するのに役立つ。

チームリーダーには生理学的な燃え尽き症候群のマーカーを追跡することができないため、ほとんどの場合、細部への注意力の喪失、忍耐力の欠如や焦り、職場での憤りや恨み、同僚とやりとりすることを嫌がるなど、わかりやすい燃え尽き症候群の危険信号に頼ってしまっている。

問題は、燃え尽き症候群の兆候が明らかになる前から、ダメージが長く続いていることだ。

Buzzfeedによると、人々は燃え尽き症候群の初期症状を周囲に見せる場合がある:ある人は、ユーモアのセンスが失われ、ある人は睡眠障害になり、最も一般的なのは、朝起きたくなくなるということだ。これらは精神的なものであり、職場では気が付きにくい。

チームリーダーが何かがおかしいと思ったときは、既に手遅れだ。

燃え尽き症候群の影響

ほかの病状と同様、燃え尽き症候群が自分自身やチームに与える影響を体験することで、燃え尽き症候群がいかに困難であるかを学んだ。燃え尽き症候群は全員にとって壊滅的なものではないが、次のように悪化する可能性がある。

  • 職場のストレスによって以前の健康状態が再浮上するか、新しい症状が出現する。
  • 個人のやっていた仕事は、キャリアパス自体をギブアップして、新しいスキルセットを学び直す必要があるほど、完全に意味をなくす。
  • 家族の絆の悪化 ― 両親・パートナー関係の悪化、友人関係を維持したくなくなる。
  • 生活の質が悪くなる。

雇用市場にとって燃え尽き症候群は、重要な知識を持つ主要メンバーやチームで最も熟練した人々を盗む泥棒だ。これは、従業員の離職率が高く、職場の生産性が低いことの背後にある重要な要因だ。

過去10年間で、燃え尽き症候群の影響を経験するマネージャーが増えるにつれ、燃え尽き症候群を防ぐことの必要性が明らかになった。

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燃え尽き症候群とリモートワーク

パンデミックは、共通する概念を生み出した ―リモートワークは燃え尽き症候群を引き起こす。多くの人がReddit、Twitter、LinkedIn、ブログを通して職場のストレス体験を共有し、リモートワークは家での自由が失われたと不満を訴えた。しかし、真実はそれほど単純で明確ではない。

一方で、パンデミックによってストレスレベルが増加したことは研究によって確認されている。主な理由は次のとおりだ。

  • チームや同僚と効果的なコミュニケーションが取れない(回答者の21%)
  • コラボレーションの管理、コミュニケーションツールに苦労している(調査を受けた従業員の19%)
  • 気を散らすものを避ける(回答者の18%)
  • 仕事と家庭の両立(調査協力者の15%)

一方、ストレスや燃え尽き症候群のレベルが高くなる他の理由は、リモートワーク固有のものではなかったのも事実だ。燃え尽き症候群の主な要因として、多くの人が次のような理由を挙げている。

  • パンデミックによるストレス(コロナになりたくない、家族・友達・恋人を怖がる)有毒な政治情勢
  • 職場での振る舞いの課題(クライアントやマネージャーから話しかけられる)
  • 従業員に利用されていると感じる
  • 意味の感じられない仕事

従って、在宅ワーク自体ではなく、マネージャーによる新しい環境に適応する方法が原因だ。

以前の仕事のやり方に重点を置きすぎていたり、チームが長時間働くように圧力をかけ、透明性のあるコミュニケーションを行わず、チームメートに社交的な機会を与えていないことが、私たちが仕事で充実感を感じなくなった理由の一部だ。

その上、パンデミックでは、チームリーダーが従業員のwell-beingについてさらなる努力をする必要があったが、その課題に取り組む人はほとんどいなかった。

リモートチームの燃え尽き症候群の防ぎ方

燃え尽き症候群を早期に発見することはほぼ不可能であるため、チームリーダーは燃え尽き症候群の予防を目指し、従業員のメンタルヘルスの面倒を見る必要がある。

そのため、経営陣は、作業の工程の編成、オフィス管理、コミュニケーション、そしてパフォーマンスの追跡のさまざまな変更点を探求する必要がある。

燃え尽き症候群を防ぐためのコミュニケーションtips

続いて、燃え尽き症候群を防ぐためのコミュニケーションtipsを4つ、紹介する。

1. クリアな境界線を設定する

在宅ワークへのシフトの増加は、グローバルチームを採用する傾向と相まって、チームの作業スケジュールが統一されていないことに繋がる。地理的に分散したチームは、誰かが常に働いて同僚にメッセージを送っている。

その結果、ストレスを解消して休む時間を十分に持てない。

リモートチームの家・オフィスの物理的な境界線がなくなると、従業員がメールに応答しなくなり、燃え尽きてしまう恐れが高まる。

これを防ぐため、マネージャーは従業員の作業スケジュール・休みを明確にし、カレンダーとコミュニケーションツールを通してメンバーに知らせるように勧めよう。

2. 長時間働くことを奨励しない

必要以上の時間を費やして仕事のプロジェクトに取り組んだことで従業員を叱責する理由はないが、マネージャーも熱意を称賛しないようにしよう。そうすることで、競争心と同僚からのプレッシャーが落ち着き、従業員は休憩する余裕が生まれ、病欠の余地がなくなったように感じる。

チームリーダーは、喧騒で闘争心の高い文化を広めるのではなく、従業員が家族と自由な時間を過ごしたり、彼らの情熱を探求したり、仕事でストレスの多い日を過ごした後、リラックスすることを奨励する必要がある。

彼らの情熱について話す余地を与えるSlackチャットを作成することは、チームの人間的側面を強調し、従業員に「休息の大切さ」を気づかせ、休むことを促す方法の1つだ。

3. ドキュメントシステムの構築

チームメイトが病気休暇や休日をとらないことを選択する理由の1つは、休みを取ることによって作業に遅れが発生し、プロジェクト全体の速度が低下するためだ。重要な知識が特定の個人によって保持されているようなチームは、特に燃え尽き症候群のリスクが高く、それによって生じた損傷は、取り組んでいるプロジェクトチームの進行に悪影響を及ぼす。

チームメイトがセルフケアの重要性を受け入れるため、マネージャーは、チームの皆がかけがえのない存在であることを確認する必要がある。

学んだ教訓を文書化するよう従業員に勧めることで、チーム内の知識の伝達・共有性が改善され、キープレーヤーが不在の場合でも、誰かがいつでも介入できる環境が生まれる。チームにさまざまな役割を試す機会を与えることは、チーム間で助け合う力を高める1つの方法だ。

4. 「勤務時間外のコミュニケーション禁止」ポリシーの導入

チームメンバーが仕事とプライベートを明確に区別するために、チームリーダーは、仕事の後にお互いにメッセージを送らないようにさせる必要がある。

仕事後のコミュニケーションをすべて無くすことで、マネージャーはチームメイトがメッセージや通知に注意を払う必要がなくなるようにしよう。

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燃え尽き症候群を防ぐための組織的な変化

次に、燃え尽き症候群を防ぐために組織がどのように変化できるのかについて紹介する。

変更可能な余地を残した計画

締め切りが厳しく、作業の負荷が高いこと、そしてリーダーが各タスクの複雑さを予測・見積もることができないことや、チームにかかる精神的な負担も原因となる燃え尽き症候群の原因となる。

  • 最良の計画ではなく、最も可能性の高い計画に従う
  • 速度よりも品質を優先
  • プロジェクトの各ステップでストレス評価を実施し、締め切りに間に合わせるためにチームがどのように負担を感じたかを測定する
  • 計画を立てる前に強靭なリスク評価を実行する
  • 変更と緊急事態を念頭に置いておく

非伝統的な働き方を探求する

燃え尽き症候群を、バケーションや1日の休暇で解決することは滅多にできない。

むしろ、それは組織が直面している体系的な問題の兆候である。したがって、燃え尽き症候群を防ぐため、非スタンダードな作業へのアプローチを模索するなど、根本的な変更が必要になることが頻繁にある。

  • 週4時間の労働は、生産的であることが証明されている
  • 1日の労働時間数を削減することで、チームは自分たちにさらなる時間を割くことができる
  • 就業日の再構成は燃え尽き症候群を防ぐのに役立つ。たとえば、マネージャーは必要な会議の数を確認し、会議の回数を減らしてチームの感情的エネルギーを節約することができる
  • メンタルヘルスに焦点を当てるために定期的に仕事を休む習慣は、従業員が自分の幸福と仕事のバランスを調整するのに役立つ

非同期通信ツールの活用

同期通信(チャットや会議)の普及は、チーム間で緊急性とプレッシャーを生み出す。人々は、通知にすぐ応答し、24時間年中無休で対応する必要があると感じているためだ。

マネージャーは、同期通信と非同期通信のバランスをとることで、このマインドセットによってもたらされるダメージを軽減することができる。緊急ではないメッセージ、タスク、そしてアナウンスをEメールで共有することで、チームがじっくり考えて対応するための時間を確保し、「すぐに返信しなければならない」という強いプレッシャーから彼らを解放することができる。

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仕事とプライベートのバランスを改善するツールの使用

リモートワークが高度なテクノロジー主導であるため、チームマネージャーはワークライフバランスを改善するためのツールを使用することができる。

例えば、oviceのようなバーチャルオフィスツールは、従業員が会社のバーチャルスペースにログインしている場合にのみ作業するなど、勤務時間と終業時間のメリハリをつけるのに役立つ。

燃え尽き症候群を防ぐために向き合うべき改良点

最後に、取り入れるべき新たな視点2つについて紹介する。

チームのwell-beingにフォーカスするため、メンタルヘルスの専門家を雇う

メンタルヘルスは多くの組織で広まっている問題になりつつあるが、この課題に対処するために実行可能な措置に取り組めるリーダーはほとんど存在しない。燃え尽き症候群に関連する問題、不確実性、懸念について従業員に助言するセラピストとキャリアアドバイザーを雇うことは、職場で安全な場所を作るのに役立つ。

そうでなければ、チームメイトはお互いに直面している困難について打ち明け、プライベートな問題を共有することを恥ずかしく思うかもしれない。

新しい従業員を雇うべきタイミングを知る

チームの仕事量が異常に高く、休暇を取る自由がないなど、スタッフが不足している組織は従業員が燃え尽き症候群になる傾向がある。

新入社員の必要性を認識し、チームから余分なプレッシャーを取り除くため、経営陣が新人を積極的に探すことは、燃え尽き症候群を防ぎ、健康的でバランスの取れた職場環境を作り出すのに役立つ。

まとめ

多くの点で、燃え尽き症候群は、生産性と可用性主導の管理による予測可能な副産物だ。早期の燃え尽き症候群を見抜くために役立つ明確な兆候はない。その代わり、リーダーは予防にフォーカスする必要がある。

燃え尽き症候群の先を行くには、一連の変更と微調整が必​​要だが、一度実行すると、長期的に従業員の定着率と生産性が向上する。

チームメイトに人と人としての繋がりを大切にするように促すことは、燃え尽き症候群を防ぎ、職場の充実度を高める方法の1つだ。皆が自宅で仕事をしているとき、自発的なやり取りができる環境を作ることは難しいが、バーチャルオフィスソリューションを使用してリモートチームにオフィスワークのメリットを導入するリーダーが増えてきている。

oviceは、世界中の20,000を超える企業で使用されている主要なバーチャルオフィスプラットフォームだ。リモートチームとハイブリッドチームの繋がりの維持にどのように役立っているかを確認してみてほしい。

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YUI SASANO
フリーランス歴10年目、現在25歳の作詞作曲家/SNSマーケター。アーティストや文化人、企業のSNSプロデュースの他、コラムニストとしても活動している。