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テレワークが招く健康課題を解決!企業が取るべき対策と事例を紹介

テレワークにより、パソコンから離れづらくなったり、気分転換ができていなかったりと、疲れを感じる人が増えています。株式会社月刊総務の調査によれば、約7割の企業が「リモートにより従業員の健康管理が難しくなった」と感じているようです。オフィスのように、顔色や態度が直接見られない点や、腰痛など訴える従業員へ適切なサポートができていないなどの声があがっています。また、メンタル面への悪影響も顕著化しており、成果を出すためにがんばりすぎる傾向が強まったり、不調を訴える人が増えたといった意見もあるようです。

企業はニューノーマルにおける健康経営を改めて考え、制度改正やテクノロジーの活用など柔軟に対応し、従業員が健康的に働ける環境作りが大切です。

テレワーク・在宅勤務で健康課題が変化

従業員が健康であることは、組織の生産性や従業員自身のモチベーションにも重要であり、

企業の健康経営に対する意識が高まっています。そして、近年のテレワーク化により、オフィスとは違った健康課題に直面している企業も多くあります。

テレワークは、周りから業務を中断されることなく、作業に集中できることがメリットの一つですが、一方で、没頭して仕事が長時間化してしまったり、無理のある体勢で体に痛みを伴うなどの健康リスクもあります。人との接触が減ることで、新たに生まれる心身のストレスについて、具体的に説明します。

フィジカル面

RIZAP株式会社がテレワーク実施中の企業に対し、従業員の健康変化について調査した結果、約8割の健康管理担当者が従業員の運動不足を実感していると回答しました。また、2割が体調面の不調者が増加したと答えています。

運動不足は、放置しておくと肩こりや腰痛、生活習慣病の重症化など二次被害につながる恐れがあり、企業として、健康促進のための措置を取り、全社的な改善が大切です。

メンタル面

テレワークは、心の健康にも影響を及ぼしています。ニッセイ基礎研究所の調査によると、テレワーク実施中企業の約2割強が「メンタル不調者が増加している」と回答しており、不調者は、人との接触が減ることで孤独感や閉塞感を感じやすい傾向が見られます。また、同居家族の近くで仕事を進めることによる集中力欠如や、業務に適さない環境に対するストレスなども理由として挙がっています。

<参照>ニッセイ基礎研究所|新型コロナ テレワークの人間関係-新たなストレスは仕事のパフォーマンスにどう影響しているか? 

ただし、メンタルヘルス不調の最大要因である職場の人間関係ストレスは軽減されたとという声もあり、不調要因の変化が明白です。

テレワーク普及で健康経営の取組みが進展

企業が実践する健康経営施策も、働き方の変化に応じて、デジタルの積極活用や社内コミュニケーションの創出など新たな動きが進んでいます。また、健康経営の対象範囲も、これまではオフィスに焦点を当てていたのに対し、自宅を含めたオフィス外にまで拡大する必要があります。

企業が取るべき対策5つ

従業員の健康促進を目的に、企業が取るべき対策と事例を紹介します。

①労務上必要な対応をオンライン化

テレワーク導入後も、出勤して働く場合と同じように労働基準法や労働安全衛生法などが適用されるため、留意が必要です。

労働関係の法令で定められている内容

  • 医師による健康診断の実施、医師からの意見聴取
  • 長時間労働者への医師による面接指導

さらに、50人以上の従業員を有する企業は、定期健康診断結果報告書の提出、ストレスチェックの実施、およびその結果に基づく面接指導の実施、長時間労働者への産業医面談も義務付けられています。

対面で実施していた対応については、オンライン化で解決できます。人事総務や産業医との面談はWeb会議に代替することで、体への負担無く実施可能です。また、健康に関するデータをオンライン上で管理すれば、産業医は過去の健診履歴やストレス状況、面談ログといった情報にアクセスしやすくなり、よりきめ細やかで適切な指導につながるでしょう。

②業務時間・業務量の可視化

従業員の残業長時間化を防ぐため、ログ管理ツールで業務の証跡を残し、各種システムに対し標準勤務時間外のアクセスを制御すると有効です。各自が業務開始・終了を自己申告する方法もありますが、正確な把握には十分ではないため、客観的な記録を残すことが大切です。

また、プロジェクト管理ツールを導入し、上司は部下のタスク進捗を把握できるようにします。可視化することで、的確な指導や業務調整が可能となり、特定の人への極端な負荷や不合理な分担を防げます。

③コミュニケーション方法の工夫

テレワーク中は周囲の人に中断されにくい反面、息抜きのタイミングが作りづらかったり、つながりや連帯感を感じにくいため、気軽にメンバーと話せる環境を準備すると良いでしょう。たとえば、ビジネスチャットで雑談目的のチャットルームを開設したり、近年注目を浴びているバーチャルオフィスを導入し、リアルオフィスに近いかたちで声かけや相談ができる環境作りもおすすめです。

コミュニケーションは仕事に対するエンゲージメントを高め、熱意や活力を生み出す効果があります。従業員が健康を保ち、パフォーマンスを上げるためにも、企業として向き合うことが大切です。

④不調者のサインを早期発見する工夫

さまざまな対策を取った上で、二次予防として、不調サインを見逃さない仕組みも持つと安心です。コンディション把握ツールで定期的に従業員の状態を収集し、異変が無いかチェックします。従業員はスマホなどから手軽に診断でき、企業側は集約された情報をグラフなどで視覚的に理解できるため、双方に負荷がかかりません。

また、相談窓口を立てるのも効果的です。チャット上で相談用のホットラインを設置すれば、重症化する前に相談できる機会となり、早期対処につながります。

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⑤働き方の選択肢を増やす

テレワークで生じる健康課題は、オフィスでの勤務とテレワークを混ぜ合わせたハイブリッド勤務を実施したり、ワーケーションを導入することで解決できる可能性があります。

ハイブリッド勤務では、従業員が業務効率性の観点から最適な場所を選ぶため、心身にストレスが生まれにくくなります。また、従業員自身の意思で仕事場を選択することは、仕事に対する主体性も高めます。オフィスがある場合は、ハイブリッド型の方がスペースを有効活用でき、さらに、オフィス内にリラックススペースや集中ブースを拡張すると、使い勝手の幅が広がり、快適さが増すでしょう。

ワーケーションは、調査によれば、業務の生産性や心身の健康にプラスであることがわかっています。リゾート地など自然に恵まれた環境はリフレッシュ効果があり、仕事中のストレス軽減に有効です。

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テレワーク導入企業の健康施策取組み状況

テレワークを導入した企業が、実際に取り組んでいる施策について紹介します。

約8割の企業が健康管理を目的とした施策を実施

テレワーク導入企業のうち、約8割は従業員の健康施策を実施中もしくは実施予定という調査結果が出ています。施策で最も多いのは、雑談などができるコミュニケーションの場を作り、従業員のストレス軽減につなげたり、異変を察知できるようにする、というものです。

<参照>頑張る経営者の応援サイト|経営者523人に聞く テレワークの健康問題と対策

次いで、出社の機会を与え孤立感を感じさせないようにする取組みや、労働時間を柔軟にし従業員に自由度を持たせるなどの工夫が上位に挙がっています。また、PCやイスなど、テレワーク環境の向上に向けた費用支援も、高い割合で実施されているようです。

テレワーク企業の健康施策事例4選

健康経営のために実践しているユニークな取組みや効果について、4つの事例を紹介します。

①労務担当・産業医・各拠点のメンタルヘルス推進担当でチーム結成

サイボウズ社では、人事部メンバーと現場メンバー、産業医がワンチームとなり、3者が分断されない体勢で健康課題の解決に取り組んでいます。個別相談や面談などクローズで深掘りすべき対応と、ストレスチェック勉強会や中途入社向けの不安解消プログラムなどオープンな施策の両方を積極的に進め、従業員の本音を聞き出すことに成功しています。「安心して言える」「安心して書き込める」という心理的安心を従業員が持ち、自ら発信できるような雰囲気作りを重視している点がポイントです。

<参照>HR NOTE|サイボウズ・DeNAから学ぶ!リモートワーク下における従業員のメンタルヘルス対策|HR-Study#10

②バーチャルオフィス導入で気軽な「声かけ」が増え、メンタル不調回避

パソナテック社では、テレワーク中の社内アンケートで従業員同士のコミュニケーション減少によりモチベーションが低下していることが発覚し、バーチャルオフィスを採用しました。

バーチャルオフィスではアバターで近づき声かけができるため、リアルよりも上司に相談しやすくなったり、雑談ゾーンに集まり、気分転換できるなど、コミュニケーションが活性化されました。

島根と博多にあるLab(ラボ)拠点ともフロアの上り下りで出会え、リアルよりも距離が近づき、連携が強化されたようです。

<参照>Think IT|Withコロナ時代のコミュニケーション課題を解決する ーバーチャルオフィスの活用

③ 栄養バランスが取れたレシピの配信で健康意識を高める

ある大手食品メーカーは、テレワーク中の従業員に、健康促進につながる情報を提供し、健康に対する意識付けを強化しています。

たとえば、営業バランスが良く時短で作れるレシピやトレーナー監修のフィットネス動画の配信、高齢者家族とのオンラインコミュニケーション推進など、栄養や運動、社会参加の観点で働きかけています。日々の業務に並行して取り入れやすい提案で、従業員の健康をサポートしている好例です。

<参照>JTB Benefit|テレワーク中でも従業員に健康意識を持ってもらう方法とは?

④花購入の費用を支給し、癒し効果でストレス緩和

あるPR企業は、自宅環境に癒しをプラスする花を各自購入できるように、毎月費用を支給する「花セラピー」という制度を導入しました。在宅勤務でも気持ちよく過ごすとができ、ストレスの緩和やモチベーション向上につながっています。

<参照>NEC|テレワーク先進企業に学ぶ取り組み事例10選~「手当」「コミュニケーション」「健康」~

出社時のような関係値を築き、ストレスコントロールに効くバーチャルオフィス

バーチャルオフィス「ovice」は、仮想オフィスにアバターとして出社し、実際のオフィスにいるかのような感覚でメンバーとのコミュニケーションが可能です。アバターに近づくと会話が聞こえてくる仕組みで、オフィスの活気やにぎわいを感じられ、悩みや相談を躊躇なくできるため、コミュニケーション不足によるストレスから解放されます。遠方拠点メンバーとも同一拠点にいるかのような親近感が持て、連携強化を実現します。

oviceは、テキストのみのやり取りよりもお互いの様子や行動が見えやすく、タイムリーな声かけやフォローができます。また、カジュアルなコミュニケーションが増え、モチベーション向上にもつながるため、健康経営を実現するツールとして効果的です。


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KYOKO ONOGI
大企業、ベンチャー企業、まちづくり企業でシステム開発からマーケティング、広報PRまで幅広く経験し、独立。ITやマーケティング分野を強みとし、記事執筆やディレクション、Webコンテンツ制作に携わる。