ホーム » ウェルビーイング » テレワークこそアンガーマネジメント!相手への「印象」で判断しないことが大切

テレワークこそアンガーマネジメント!相手への「印象」で判断しないことが大切

テレワークでは、テキスト上でコミュニケーションを取ることが多い。個人のタイミングでやりとりができるため非常に便利であるが、細かいニュアンスを伝えたいときにスムーズに伝わりにくく、部下のマネジメント・育成が難しくなったという声も多く聞く。

上司部下の関係をより良いものにしたいがために、ポジティブな内容ばかり話していては仕事にならない。時には言いにくいネガティブなことも話さなければならないだろう。やり取りの全ては、良い仕事をするためにあるからだ。

▼こちらの記事もおすすめ
テレワークで健康的な人間関係を築くためのアンガーマネジメント3steps

いつどこでもあなたにとって悩みの種になる人は存在する

オフラインでさえ関係を構築することは難しいのに、画面越しで良好な関係を築くことができるのだろうか。筆者はフリーランスなので直属の上司はいないが、プロジェクト毎にグループチャットでやりとりをしながら作業を進めることが多く、ほとんどのプロジェクトでは一番年下になる。

先輩の意見を尊重しながらも、自身の役割を果たすために積極的に発言をする。納得いかないことは簡単に折れず、皆が納得いく答えを新しく導き出すために、アイデア力を発揮しながら折り合いをつけていくというポリシーでコミュニケーションを取っているが、ノーストレスで業務を進めていくことは難しい。

なかなか話が通じないと感じたり、イライラしている相手から皮肉を言われてしまうことも多々ある。言い返したくなるところをグッと堪えて(心の中では盛大に言い返して)、良い仕事のために心を切り替えて作業をする。

プロジェクトを終え、「この人(=ストレスの種)からやっと解放された!」と喜んだのも束の間、新しいストレスが訪れるというサイクルを何度か繰り返し、なぜそんなにもテキスト上でサイコパスのような発言をする人が多いのか?という疑問が浮かんできた。

テレワークで攻撃的になる理由

普段オフラインで話している時は穏やかなのに、テキスト上の文章が攻撃的になり、ちょっとしたことで声を荒らげるようになったというパワハラ気味な上司に悩んでいる部下が増えているという。株式会社ヒューマンテック代表取締役で、マネジメントやコミュニケーション研修講師の濱田秀彦氏によると、その原因はテレワークで生まれる「イラ立ち」だそうだ。

FNNプライムオンライン|「職場では良い上司だったのに…」リモートワークでギャップに戸惑う部下たち

出社勤務であれば、部下にちょっとした確認をしたいとき、「あの件はどうなっている?」と聞けばすぐに返事が返ってきていた。しかし、テレワークではSlackなどのチャットツールを使って聞く必要がある。そして返信が遅いと、「この程度のことでいつまで待たせるんだ」とイラ立ってしまう。

テレワークだと部下の様子が全く見えない。クレーム対応で忙しくしており、返信ができない状況かもしれないのに、仕事をサボっているのでは?と上司の中で懐疑心が生まれ、部下への信頼度も勝手に下がってしまっている。そして、「まだ?待ってるんだけど?」というトゲのあるメッセージを送ってしまうのだ。

仕事のイラ立ちはコミュニケーション不足が原因のことも

テレワークで相手の様子が見えにくいために、自身の中で相手の印象が勝手に作られてしまい、相手のその後の言動全てが、その印象を膨らませる材料になってしまっている。先程の例文で言うと、上司にとっては「仕事のできない部下」という印象であり、部下にとっては「すぐにキレる上司」という印象だ。

性格の善し悪しは定義付けが非常に難しいお題であると筆者は感じており、相手の真の性格にもそこまで関心がないので、丁寧なコミュニケーションをしてくれて、お互いに信頼でき、世の中の役に立つ仕事ができれば大満足だと思っている。

そんな筆者も、「すぐキレる人」に不信感を抱いてしまうことは多々あるが、大抵はコミュニケーション不足が原因である。相手の様子がわからないため、何かを勘違いをして、イライラしているのだ。その理由を聞けば相手がこちらに何を求めているのかを理解でき、それは対応できることなのか、こちらではどうにもできないことなのかを見極めることができる。

どうにもできないことで八つ当たりされているとしたら、その人は一緒に仕事ができるメンタル状態でないと認識し、こちらもそれに合った対応(チームを変えるなど)をすることができる。

その人がどれだけ才能あるとしても八つ当たり相手になりたいとは思わない。人権の重さに差がない以上、ストレス発散相手になるべきでもない。

アンガーマネジメントを実践するためのコツ

ついキレてしまうという人も、毎日責められて悩んでいるという人も(その苦しみが怒りに変わる前に)事態を良くするためには、一度冷静にならなければならない。

そこで重要になるのが、アンガーマネジメントだ。

その名の通り、自分の中に生まれた怒りをコントロール・管理するテクニックで、言葉自体は有名になっているが、実際にできている人はまだまだ少ない。

アンガーマネジメントにはいくつかやり方があるが、筆者が個人的に取り入れやすいと感じている2つのテクニックを紹介する。

①怒りの感情が生まれたら6秒間やり過ごす

「怒りの感情が生まれたら6秒間数える」という簡単なメソッドだが、このシンプルなことを瞬時にできるようになる為には、「別のことを考える」、「何かに没頭する」など自身に合う方法を探す必要がある。

筆者の場合、「怒りの原因になるものから離れる」というのが効果的だった。テレワークだと、大抵PC画面を通して悩まされることが多いので、物理的にPCから離れる。そうすることで、集中力が良い意味で乱され、怒りにエネルギーを注ぎ続けることが難しくなり、次第に怒りの感情が消えていく。

ここで大切なのは、「怒りの感情100%を6秒間で無くして、問題解決しよう」なんてことを考えないことだ。そんなことは不可能である。まずは一瞬でも冷静になるということが目的だ。あなたの怒りを無かったものにする必要はない。

②自身でコントロールできることのみにエネルギーを注ぐ

こちらは筆者が最も気に入っているメソッドだ。そもそも仕事で疲れている上に、解決できもしない悩みを抱えたくないという方には、特にお勧めだ。

例えば、部下のWi-Fiの不調に怒ったとする。部下の家のWi-Fiが不調だったせいで、プレゼンテーションがぎこちなくなってしまった。取引先にマイナスのイメージをつけてしまったかもしれない。

この事象は、解決が難しい。Wi-Fiの不調は誰にでも起こることであり、事前に対策を防ぐこともできない。毎日Wi-Fiが安定しないのであれば、不調なのではなく何かしら問題がある可能性が高いので、Wi-Fiを変えてもらうなどのコントロールが可能である(その提案を部下が拒んだ場合は、テレワークに適していないので、別の人にプレゼンテーションを任せるなどの判断が必要だ)。

そういった問題でもないのなら、あなたがコントロールできる範囲を超えており、あなたが努力したところで、過去が変わることはないだろう。あなたが怒っても事態は変わらないので、「仕方ない」と諦めることしかできない。

その上で、取引先相手にフォロー作業を行い、できる最善策をするのみだ。「スマートでない」という印象を持たれてしまったことを悔やんでいるのなら、「スマートである」という印象を作れるアクションをしよう。

手間に思えるかもしれないが、あなたの脳内が怒りでハイジャックされ、解決することのない問題に苦しみ続けるよりは、何倍も良い案だと思う。

まとめ

同じゴール(=プロジェクト成功など)を持って仕事をしているとはいえ、世代もバックグラウンドも違う人間なので、全く同じプランやアイデアが思い浮かぶ可能性は低い。コミュニケーションミスですれ違いが起きたり、時には衝突することもあるかもしれない。

しかし、直接会っている時に比べて、発言する前に考える時間を設けやすいテキストコミュニケーションは、アンガーマネジメントのテクニックを取り入れやすいはずだ。上司部下お互いにとって、心地の良いテレワークになることを願っている。


  • 社内コミュニケーションが組織にもたらすメリット
  • コミュニケーションを活性化できる仕掛け

資料を無料でダウンロード

author avatar
YUI SASANO
フリーランス歴10年目、現在25歳の作詞作曲家/SNSマーケター。アーティストや文化人、企業のSNSプロデュースの他、コラムニストとしても活動している。