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ラップアップとは?会議運営を効率化して生産性を向上させる方法

チームやプロジェクトを運営する過程でしばしば開かれる会議。メンバーの限りある時間を有効活用するため、会議を効率的かつ生産性の高い方法で運営することが重要です。
ラップアップとは、要点を収束させて取りまとめることを指します。会議におけるラップアップは、意思決定の質を向上させ、議論から得られる成果の最大化を狙うために欠かせないプロセスです。この記事では、ラップアップの概念を整理し、組織に定着させるためのコツを紹介します。

ビジネスシーンにおけるラップアップとは?

「ラップアップ」(wrap up)は、「終わりにする」「締めくくる」「完成させる」を意味します。ビジネスシーンにおけるラップアップは、用語本来の意味から転じて、一連の流れの振り返りや重要事項の整理を改めて行い、その場を完結させる、クロージング手法を指します。ラップアップを用いる場面としては、会議、商談、セミナー、研修などが該当し、内容をまとめてその場を締めくくります。

ラップアップを担当する人は、会議などの最中に「誰がどのような発言を行ったか」を把握して、重要事項や決定事項を整理します。その上で適時「ラップアップします」「認識を確認させてください」などと声をかけ、自身の整理した情報を伝える流れです。あるいは、整理した情報を会議終了後にメールで提示し、リマインドを行うことも、ラップアップする方法のひとつと言えます。

ラップアップは汎用性の高い手法で、社内会議だけでなく、社外の人と接する際にも活用できます。例えば、商談の終了間際に締めくくりの言葉として「月末までに製品の導入を検討してもらう」などと確認すると、次回のアポイントを取りやすく、その後の交渉をスムーズに進めやすくなります。
また、白熱した議論を一旦整理して、軌道修正を狙う場合にも活用できます。参加者が一連の流れを確認して理解を整理し、冷静な視点を持って再度議論に臨めば、より建設的な結論を導けます。

ラップアップと議事録の違い

図版 ラップアップと議事録の違い

会議の終了後に行う重要事項のリマインドを「ラップアップ」と呼ぶことがあるものの、議事録とは目的が異なるため、適切に使い分ける必要があります。

ラップアップは、参加者の認識に食い違う点がないかを確認する、ネクストアクションを促す、といったことが主な狙いです。会議や商談などの終了後にリマインドとして実施するラップアップは、議論の要旨を再度提示し、参加者の認識を促すことを目的としています。一方で議事録は、会議の内容や重要な決定事項を記載して参加者に情報共有するとともに、保管資料として活用するために作成する書類です。

つまり、議事録は議論の記録と保管を目的とするのに対し、ラップアップは議論からネクストアクションに繋げることが目的となります。

ラップアップとラップアップミーティングの違い

ラップアップミーティングは、ラップアップと混同されやすいビジネス用語のひとつです。ラップアップミーティングは「統括会議」や「最終確認会議」とも言い換えられ、特定のプロジェクトやテーマに関する話し合いを行った後に、改めて開かれる会議を意味します。一般的には、最初の集まりのキーパーソンのみが参加して、流れの振り返りや利害関係が対立した案件の整理を行います。一方でラップアップは、最初の集まりの中で、適時適切に重要事項やネクストアクションについて総まとめすることを指し、事後にメールで実施するリマインドも含まれます。


なぜラップアップが有効なのか

もし、日々行われている会議、セミナー、研修などが有効に機能していないと、参加者の時間の浪費となり、情報共有や意思決定のスピードが遅れてしまいます。そうしたさまざまな立場の人が参加する集まりでラップアップを適切に取り入れると、参加者の理解を促進し、過ごした時間の質的向上につながります。また、それを企業文化として定着させると、得られる成果の最大化につながります。

以下では、なぜラップアップが有効なのか、定着させるメリットを具体的に解説します。

議論の要点を集約して意思決定の質を高める

多くの人が参加する会議では、それぞれの立場から多種多様な意見が出され、ときに議論の収集がつかない状況へ陥ることもあります。さまざまな発言によって論点が複雑化すれば、課題の解決策や組織としての方針を明確化できないまま時間が過ぎ、生産性の低い会議になりかねません。

論点が複雑化した際には、振り返って重要事項や論点を整理すると、軌道修正することができます。整理された論点をもとに議論を展開すれば、意思決定の質が高まり、同じ時間内でより大きな成果を得ることが期待できます。

また、会議の最後に改めて決定事項を確認することで、参加者に確実な実行を促すことにも役立ちます。また、「いつまでに」「誰が」「どのように行動するか」といった決定事項のポイントを明示することで、参加者同士での認識の食い違いを回避し、同じ方向を向いて次のステップへ進めるように誘導することができます。議論するだけでは組織の利益につながりませんが、確実な実行は成果に貢献します。

情報共有の漏れを防ぐ

配布資料の内容や発言の要旨を伝えられる点も、ラップアップのメリットです。資料や発言の重要事項をまとめ、明確に提示することで、共有したい情報を参加者へ確実に認識させられます。

複数の参加者が取り組み状況などを共有する趣旨の会議では、資料を配布して順番に報告する、ということが行われます。ただ、参加者すべてが配布資料を確認するとは限らず、意図した趣旨が伝わらずに、認識の食い違いが生じる恐れもあります。そこで、共有された情報についてラップアップすれば、情報共有の漏れを防ぎ、認識の統一を図ることができます。

またラップアップにより、日常業務に追われている従業員も、自身が取り組まなければならないタスクや重要な決定事項を確認できます。次回の会議スケジュールを告知する際にラップアップを添えたメールを送信すれば、一連の流れを総復習した状態で当日を迎えられ、より建設的な議論が可能になります。


ラップアップを組織の文化として定着させるポイント

リモートワークやオンラインミーティングの普及によって働き方が多様化し、会議のスタイルもさまざまです。ラップアップの実践難易度は、社風や採用している会議のスタイルによって異なりますが、ポイントを押さえることで、スムーズな実践を目指すことができるでしょう。

以下では、ラップアップを組織の文化として定着させるために必要な事前準備を、ポイント別により詳しく解説します。

ラップアップのルールを作る

ラップアップをいつ、どのように実践するかが不明瞭な状況では、組織に定着しません。会議前・会議中・会議終了後の三段階に分けてラップアップのルールを作成し、組織内に共有することで、実践を促せます。

ラップアップのルールの例

以下は、ラップアップ担当者のためのルールの例です。

  • 会議前
    • 会議の目的、ゴールを確認した状態で当日を迎える
    • アジェンダを見て、不明な用語を調べておく
    • 参加者の部署、氏名、役職などを確認しておく
  • 会議中
    • 発言者の氏名を含め、議論の内容を正確に記録する
    • 閉会5分前にラップアップを行う
    • ラップアップの内容にはネクストアクションの割り当てを含める
    • 要旨や決定事項を伝えた後、質疑応答の時間を取る
  • 会議終了後
    • ラップアップの内容を改めて参加者へメールする

会議の目的やゴールを確認した上で当日を迎えることで、議論の内容を理解しやすくなり、記録を取る際に慌てずに対応できます。参加者の部署や氏名の確認も、落ち着いて記録を取るために欠かせない作業です。

ルールをより効果的に機能させる

ラップアップで一方的に情報提供しても、参加者の認識を統一できない場合があります。ラップアップをより効果的に機能させるためには、情報提供した後に質疑応答を行い、不明な点がないかを確認するルールを設定するのが有効な方法のひとつです。

ルールを具体的に伝える

ラップアップのやり方をより具体的に従業員へ伝えたい場合はテンプレートを作成し、共有する方法もあります。テンプレートに含める項目の例は、以下のとおりです。

  • 会議情報(開催日時、アジェンダ、開催場所、参加者、配布資料など)
  • 決定事項
  • ネクストアクション(内容、担当者、期限など)

会議内容を漏れなく把握する

ラップアップ担当者は、会議の進行している間、議論の流れをつかみつつ、具体的な発言の詳細にも目を向け、記録することになります。会議の内容を漏れなくすべて把握するのは、なかなか難しいものです。そこでテンプレートの項目を意識して会議に臨むと、情報の記録漏れを防げます。会議中の負担を軽減するために、会議情報の項目を事前に埋めて臨むようにルールとする方法も一案です。

会議後の周知に利用する

必要事項を埋めたテンプレートは、会議終了後、ラップアップの内容を参加者にメールなどで周知する際にも利用することができます。また、参加者は共有された内容を必要なタイミングで確認し、会議の振り返りができます。

会議を効率化するツールを活用する

活発に意見が飛び交うスピード感のある会議では、ラップアップ担当者が情報を聞き漏らし、正確に記録できないリスクも考えられます。ラップアップを無理なく組織に定着させるには、会議を効率化するツールの活用も有効です。

例えば、文字起こしツールを活用すれば、会議中の音声を自動でテキスト化し、記録作業の負担を軽減できます。議事録ツールを併用すれば、記録した会議の音声や動画をすべて確認することなく、議論の要点を入手できます。またバーチャルオフィスツールを活用すれば、オンライン会議の開催や参加者の招集をスムーズに行えます。

ツールを選ぶ際には、従業員の操作負担を考慮し、シンプルで使いやすいものを選ぶことが重要です。また、セキュリティ対策も十分に検討し、安全に運用できる環境を整えましょう。


ラップアップを円滑にするovice

ラップアップを実践し、オンライン会議やハイブリッド会議の生産性を向上したい場合、バーチャルオフィスツール「ovice(オヴィス)」の活用が効果的です。oviceは、従業員の働く物理的な場所がどこかを問わず、ひとつのバーチャル空間に構築されたオフィスに集まることによって、コミュニケーションやコラボレーションを促進するツールです。通信はすべて暗号化され、万全のセキュリティ対策も取られています。

リモートワークかオフィス出社かを問わず、バーチャル空間に出社した従業員は、アバターとして表現されます。アバター同士を近づけることで、何気ない会話や手軽なら打ち合わせが始められます。重要な議論なら、オンラインに設置した会議室に集まることもできます。「文字起こしオブジェクト」を使うと、マイクをオンにして会話するだけで、リアルタイムに文字に起こし、議事録を作成してくれるので、会話の記録ではなく議論に集中できます。参加者の使用言語へ翻訳することもできるので、多言語話者の含む会議にも対応します。

ツールを活用して会議やラップアップの実効性を高め、従業員同士のコラボレーションを促進したいと感じている企業は、バーチャルオフィスツール「ovice」の導入を検討してみてください。

まとめ

ラップアップは、会議の成果を最大化し、次のアクションを明確化するプロセスとして有効な手法です。議論の要点や決定事項を整理して参加者に共有することで、情報共有の漏れや認識のズレを防ぎ、意思決定の質を向上させる効果があります。ラップアップルールの整備や効率化ツールの活用を通じて、組織内でラップアップを定着させることで、業務効率化や生産性向上につなげましょう。

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