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メタバースでビジネスはどう変わるのか?各業界の変革を解説

近年、しきりに耳にするようになった「メタバース」というワード。バーチャル空間の中を自由に動き回ることができるゲームのようなイメージを持っている方もいるかもしれませんが、メタバースの本領が発揮されるのは、何もゲーム業界だけではありません。

メタバースはあらゆる業界に変革をもたらすと期待されており、今後市場規模がうなぎのぼりになると予想されています。今回はメタバースによってどんなビジネスチャンスが広がるのか、それぞれの業界でどのような変革が起きるのか紹介します。

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メタバースとは

メタバースとはインターネット上に構築された仮想空間の総称です。英語の「超(meta)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた言葉で、ニール・スティーヴンスンのSF作品「スノウ・クラッシュ」に登場する仮想空間サービスが元ネタとなっています。

メタバースが注目される背景

近年、メタバースがこれほどまでに注目を集めている背景には、アメリカの大手IT企業Facebookが、2021 年に「Meta」に社名変更したことが挙げられます。同社は VR と AR、そしてメタバースに 1 兆円規模の投資を行うと明言しました。

それに続くように、2022 年 2 月には、Google が運営する YouTube もメタバースへの参入検討を発表しています。このように、日本においてもメタバースが新たに大きなビジネス市場になるという期待から大きく注目を集めているのです。

メタバースの市場規模

海外の大手IT企業が参入を表明したことにより、さらに多くの企業が参入を決めメタバースの市場規模は大きく拡大しました。カナダの企業経営コンサルタント会社「エマージェン・リサーチ」の調査によると、2020年度のメタバースの市場価値は476.9億ドル(約5兆5000億円)に達したとしています。

このような市場規模の拡大から、メタバース業界に対する投資額も増加の一途を辿っており、投資家たちも注目の業界であると目を光らせています。

<参照>Emergen Research|2028年に8,289億5,000万米ドルに達する世界のメタバース市場規模

メタバースとVR

メタバースとよく混同されているワードにVRがあります。メタバースとVRは相性がよく、メタバースサービスの中にはVR機器を利用することも多いため、同一視してしまうのも仕方ありませんが、2つは全く違う言葉です。

VRとは直訳すると「仮想現実」ですが、その意味するところは仮想現実を体感するための技術です。一方でメタバースが指すのは「空間」。メタバースという仮想空間を体感するためにVR技術を用いることがよくあるということです。もちろん、VR技術を使わなくてもメタバースを利用することは可能です。

メタバースビジネスのプレーヤー

今や多くの企業がメタバースに参入しはじめましたが、一口に「メタバースに参入する」と言っても様々な方法があります。メタバース市場にどのようなプレーヤーがいるのか、下記に簡単にまとめてみました。

  • サービス提供者:ゲームやコンテンツを作成・提供する
  • アプリケーションプラットフォーマー:サービス提供者に対して、実際に使える仮想空間を提供する
  • インフラプラットフォーマー:アプリケーションの開発に必要な環境を提供する
  • デバイスメーカー:消費者が仮想空間にアクセスする際に使用されるデバイスを提供する

私たちはアプリケーションプラットフォーマーが用意したメタバース空間をアバターとなって動き回り、サービス提供者が作成したサービスを楽しみます。しかし、それらの空間やサービスは必ずしも自社で開発しているとは限らず、インフラプラットフォーマーが技術を提供しているケースが多いのです。

他にもサービス提供者には、IPホルダーやサービス企画者というプレーヤーが関わることも。必ずしもメタバースの技術を持っていなくても、メタバース市場に参入することは可能なのです。

また、メタバースはPCだけでも楽しむことができますが、ゴーグルなどのデバイスがあるとより没入感を得られます。それらのデバイスを開発するメーカーの存在も、メタバース市場では非常に重要になってくるのです。

メタバースを活用するビジネス上のメリット

メタバースを活用することで、企業にどのようなメリットがあるのか見ていきましょう。

自社商品・サービスの提供場所が増える

メタバース内では、現実の世界と同じように商品やサービスを提供するための店舗を設けることができます。もちろん、メタバース内での店舗でも購買できるため、それだけビジネスチャンスが増えることに。

デジタルサービスだけでなく、リアルな商品を扱っている企業も店舗を設けたり、広告を出すことで消費者との接点を増やせるでしょう。

ビジネスの形を変えられる

メタバースを使えば、単に顧客との接点を増やすだけでなく、ビジネスの形そのものを変えることもできます。例えばアパレル会社では、リアルな服を販売するのと同時に、メタバースのアバターが着る服をつくって売ることも可能です。

NFT技術を使えば、複製できない商品を販売することもできるため、リアルの世界と同じように限定商品なども販売できるでしょう。

各業界はメタバースでどう変わるのか

様々な可能性を秘めているメタバースですが、各業界でどのような変革が起きると期待されているのでしょうか。それぞれの業界の未来予想図を見ていきましょう。

ゲーム業界

ゲーム業界は最もメタバースとの相性がよい業界の一つ。人気の「FORTNITE」や「マインクラフト」「あつまれ動物の森」といったタイトルもメタバースの一種です。既に多くの人がメタバースの魅力を感じているようです。

単にメタバースのゲームタイトルが増えるだけでなく、今後はビジネスの形が変わっていくことも予想されています。例えばゲーム内のアイテムがNFT化されれば、希少価値が高まり価格も跳ね上がるかもしれません。eスポーツの隆盛で盛り上がるゲーム業界ですが、今後さらなるお金が動く業界になりそうです。

エンタメ業界

エンタメ業界、とりわけ音楽業界もメタバースとの相性のよい業界の一つです。既にメタバース内でバーチャルライブを開催するアーティストもおり、今後より多くのライブが開催されると予想されています。

今後は、ファン同士でインタラクティブな交流ができるなど、サブ的な要素をいかに強められるかが今後のカギになりそうです。

不動産業界

不動産業界でも既にメタバースは活用されています。コロナの影響で物件の下見にいきづらくなったことで、メタバース上でバーチャル内見するサービスが生まれました。リアルな内見には遠く及びませんが、間取りから候補を絞る時には便利に利用できるでしょう。

医療業界

メタバース上には既にクリニックも設立しており、健康に関する相談をすることもできます。メタバース内ではアバターを使って話せるため、人には話しづらいことも気軽に話せるという利点があるのです。

メンタルケアだけでなく、外出が困難な患者のためのコミュニティを作ったり、治療の疑似体験ができるなど、大きな可能性を秘めています。

観光業界

メタバースの中には現実の世界をリアルに表現した世界もあり、バーチャルな旅行を楽しむこともできます。単に映像を楽しむだけでなく、アバターを歩かせたり、お土産を買うことで、より旅行に行った気分を楽しめるでしょう。

また、旅行前の下見に使うことで、スケジュールを立てやすくなりますし、現地についてから道に迷うこともなくなります。メタバースで体験できる地域は限られていますが、今後は日本中、世界中がメタバース化していくはずです。

小売業界

今でもオンラインショッピング市場が拡大していますが、メタバースによるバーチャルショッピングが普及すれば、より現実に近い買い物を楽しめるようになります。単に画像を見て商品を選ぶだけでなく、店員とのコミュニケーションを介しながら商品をおすすめしてもらうことも可能です。

また、最近はバーチャルモデルの人気も高まっており、本物の商品をバーチャルモデルが身につけることで、商品を宣伝するケースも現れはじめました。

HR業界

私達の働き方も、メタバースによって大きく変わることが期待されています。メタバース内のオフィスに出社できれば、これまでよりもスムーズにリモートワークができますし、採用や転職活動もメタバース内で完結できます。

教育業界

メタバースを活用するのは大人たちだけではありません。これからはメタバース内の学校や教育機関が誕生し、どこにいても好きな学びを得ることができるようになります。

また、リアルの学校でもメタバースを使った課外授業を取り入れるようになり、普段はできない体験もメタバースを介して学べるようになるかもしれません。


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SuzukiKohei
フリーのビジネスライターとして、ビジネスメディアでの執筆やベンチャー企業の採用広報を担当。起業家や投資家のほか、ベンチャー企業とのオープンイノベーションに積極的な大企業への取材を行う。