ビジネスコミュニケーションスキルを身につけることは、社内外の担当者と良好な関係を作り、業務を円滑に進める上で非常に重要です。
ビジネスコミュニケーションには基礎となる3つのスキルがあり、様々な方法で高めることができます。
この記事では、ビジネスコミュニケーションの目的や種類、3つの基本スキル、身につけるメリットや向上させる方法を紹介します。仕事の質を高める上で重要となるため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ビジネスコミュニケーションとは
ビジネスコミュニケーションは、ビジネスシーン全般におけるやり取りを指します。社内コミュニケーションの基本である「ホウ・レン・ソウ」(報告・連絡・相談)だけでなく、会議や商談、プレゼンテーション、指示、顧客対応なども含みます。
社内のメンバーと適切なコミュニケーションが取れないと、業務遂行の上で必要な情報を共有できなくなります。その結果、業務が滞ったり、相手に不快感を抱かせたりして信頼関係が崩れてしまう可能性もあるのです。
ビジネスコミュニケーションの目的・重要性
ビジネスコミュニケーションの目的は、正確な情報を共有して互いの認識を一致させ、業務進行をスムーズにすることです。
さらにビジネスコミュニケーションは、社内の円滑な人間関係や、風通しの良い職場づくりに役立つだけでなく、社外パートナーや顧客企業との信頼関係を築く上でも重要になります。
ビジネスコミュニケーションは主に6種類ある!
ビジネスコミュニケーションの重要なスキルとして、主に次の6種類が挙げられます。
ビジネスコミュニケーションの種類・代表例 | 概要 |
プレゼンテーション | 聞き手の視点に立った上で資料を作成し、聴衆の前で発表するスキル |
交渉力 | 社内外の担当者とビジネスのアイデアについて議論し、合意形成まで進めるスキル |
文章での情報伝達 | メールやチャット、報告書などの文章を、テキストで正確にわかりやすく作成するスキル |
電話 | 互いに顔の見えない相手とでも、会社として失礼のないように明朗な言葉遣いで対応するスキル |
ノンバーバル | アイコンタクトや姿勢、態度など、言語以外のコミュニケーションのこと。適切な振る舞いを理解して行動するスキルで、会議や商談ではノンバーバルコミュニケーションからも相手に与える印象を左右する |
仕事の指示 | 同僚や後輩、部下などに仕事を割り振るスキル。リソースを確保し、担当者やタスク、スケジュールを明確にして業務遂行を監督する |
ビジネスに必要な3つのコミュニケーション能力
ビジネスコミュニケーションを円滑に進めるには、主に次の3つの能力が必要になります。
それぞれどのような能力であるのか、詳しく見ていきましょう。
伝える力
ビジネスシーンにおける「伝える力」とは、論理的に話を組み立てて、わかりやすく話すスキルのことです。
ポイントは、結論から話すこと。前置きが長く、結論を後回しにするとダラダラと伝えることになってしまい、相手に重要なポイントが正確に伝わりません。
また、話のポイントを相手が素早く捉えられるような配慮も必要です。例えば、専門用語を社外の人に伝える場合には、わかりやすい言葉に噛み砕いて言い換えましょう。
必要に応じて、相手が話の文脈を把握できるように補足説明を加えることも、スムーズな情報伝達に効果的です。
<話の文脈をわかりやすくするポイントの一例>
- 「いつ」「どこで」「誰が」言った(考えた)ことか
- どのような理由・背景から、相手に伝達している(聞いてほしい)のか
以上を明確にすることで、相手に伝わりやすくなります。
聴く力
ビジネス上の「聴く力」とは、相手の話を「聴いて」「理解する」能力のことです。相手の話のポイントを正確につかみ、整理することが何よりも重要です。
また、相手の話を聴いている最中は、途中で話をさえぎらないように心がけましょう。相槌を打ちながら、最後まで一旦受け止める態度が大切です。
さらに相手の話に共感しながら「傾聴」することで、相手は安心し、互いに信頼の念が育まれるでしょう。
質問する力
相手の話を聴くなかで、不明点や疑問点を尋ねる「質問スキル」も、話の要点を正確に捉えるために重要です。
会話のなかで質問を投げかける際には、「クローズドクエスチョン」と「オープンクエスチョン」の使い分けを意識しましょう。
種類 | 概要 | 例 |
クローズドクエスチョン | ・基本的に「はい/いいえ」で答えられる質問・明らかにしたいポイントを確定させるために使う | 「作成依頼しているドキュメントは、今週末までに完成しますか?」「会議の開始時間は15時ですか?」 |
オープンクエスチョン | ・自由回答の質問・相手の考えを探り、より深い理解を得るための問いかけ | 「この資料についてどう思う?」「今日の会議を振り返って、重要なポイントは何だったと思いますか?」 |
それぞれの違いや役割を正しく理解し、会話のなかで使い分けるようにしましょう。
ビジネスコミュニケーション力を高めるメリット
ビジネスコミュニケーションのスキルを磨くことで、仕事において様々なメリットが生まれます。具体的には、次のようなメリットが挙げられます。
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
仕事の生産性が向上する
ビジネスコミュニケーションのスキルを磨くことで、生産性の向上が期待できます。なぜなら、正しく情報共有ができるようになれば、業務ミスや滞りが減り、業務効率化につながるからです。
日頃からスムーズに業務を進めることができると、社内外の担当者から信頼を得られるようになります。特に顧客企業との関係性が良くなれば、提案や交渉も円滑に進み、ビジネス成果の向上も望めます。
社内の雰囲気が明るくなる
次に、社員一人ひとりのビジネスコミュニケーションのスキルが向上することで、社内の雰囲気を明るくすることが可能です。
ビジネスコミュニケーションが円滑にできるようになると、社員一人ひとりが、自分の意見を周囲に対して積極的に伝えやすくなります。社内のメンバー同士の相互理解が深まれば、風通しの良い社風を形成できるでしょう。
さらに、社内の雰囲気が良好になると社員は働きやすくなり、結果として離職率の低下にも期待できます。
2022年に報告された厚生労働省の調査結果によると、「職場の人間関係が好ましくなかった」ことを理由に転職している人は、「個人的理由」「定年・契約満了」に次いで多いことが明らかになりました(※)。
社内の雰囲気を良好に保つことは、会社の運営にとって大切なポイントの一つです。
<参照>(※)令和3年雇用動向調査結果の概況|厚生労働省
ビジネスマナーが身につく
ビジネスコミュニケーションのスキルを磨くことは、同時にビジネスマナーの向上を意味します。ビジネスコミュニケーションのスキルを向上することで、相手の視点に立ち、状況を的確に踏まえた言動ができるようになるからです。
ビジネスでは「初対面の人」「電話応対のみで姿がわからない人」「ビデオ会議やチャットだけでやり取りをしている人」など、様々な人と円滑にコミュニケーションを行う必要があります。個人的には苦手なタイプの人であっても、仕事上のコミュニケーションは不可欠な状況もあるでしょう。
どのような人に対しても相手の視点を理解し、ビジネスの文脈や状況を的確に捉えながら対話を進めることができれば、ビジネスパーソンとして相手から信頼を獲得できるはずです。
ビジネスコミュニケーションスキルを向上させる方法
ここからは、ビジネスコミュニケーションスキルを向上させるための5つの方法を紹介します。
それぞれ、詳しく説明していきます。
PREP法を使う
結論から伝えるスキルを身につけるには「PREP法」を使うと有効です。PREP法の概要は、次の通りです。
- Point(結論):これから何について話すのか、明らかにする
- Reason(理由):はじめに述べた主張の理由・根拠を伝える
- Example(例):具体例やエビデンスを示して、理由・根拠を補強する
- Point(再度の結論):何を主張したいのか、再度伝える
例えば、社内で部下から上司に対して、リモートワーク導入を提案している場面を想定してみましょう。
<Point(結論)> チームの生産性を向上させるために、リモートワークの導入を提案したいです。 <Reason(理由)> リモートワークは社員の満足度を高め、生産性を向上させることが可能です。また通勤時間の削減によって、より多くの時間を仕事に費やせるようになったデータもあります。 <Exxample(例)> 実際、競合のA社はリモートワークを導入してから社員の満足度が改善しているそうです。 <Point(再度の結論)> したがって、リモートワークの導入は、我が社の生産性と満足度を高める重要なステップだと考えています。 |
このような構成で提案内容を伝えることで要点がより明確になり、説得力を持たせることができます。
傾聴を意識する
相手の話を聴く場面では「傾聴」を意識しましょう。「傾聴」とは、相手の話に注意深く耳を傾け、言葉の背景にある意図まで理解しようとすることです。
例えば、パソコンのモニターを眺めながら同僚の会話に応じているような状況は、「傾聴」とはいえません。話し相手も「ちゃんと話を聴いてくれていない」といった印象を持ってしまいます。
相手の視線や表情、身振り手振りもよく見て、言葉だけでは伝わらない情報も受け止めようとする態度を心がけましょう。相手の話に共感して寄り添い、最後まで聴いた上で返答するような姿勢を意識すると良いです。
コミュニケーション研修・講座を活用する
コミュニケーション研修・講座を活用することも、スキル向上を図る方法の一つです。
なお、役職や立場によって、優先的に身につけるべきコミュニケーションスキルは異なります。企業としてコミュニケーション研修・講座を取り入れる場合は、次の例のように、役職別に異なる内容を提供しましょう。
- 新入社員・若手社員:「論理的に話す力」「質問力」「電話応対」など、ビジネスコミュニケーションの基礎力を身につける講座
- マネジメント・管理職層:「コーチング」「カウンセリング」など、部下から課題や悩みを聞き出して、チームを率いるための講座
研修・講座の具体的な開催方法として、専門の講師を社内に招いて研修・講座を開催するほか、eラーニングで学習できるコースを導入する方法があります。自社に合ったものを選択しましょう。
ノンバーバルコミュニケーションを使う
ノンバーバル(言語以外の)コミュニケーションも重視しましょう。顔の表情やジェスチャー、声のトーン、姿勢や態度を意識することも、ビジネスコミュニケーションの改善に役立ちます。
例えば、相手の提案を好意的に受け止めているならば、その場で笑顔を見せるなど、明るく肯定的に表現してみると良いです。相手にも安心感を与えられるため、より円滑な会話の実現が期待できます。
無表情や無反応でいるよりも、会話の内容に応じて反応を見せると大きく印象が変わるので、ぜひ「ノンバーバルコミュニケーション」を意識してみてください。
関連記事:
「ウェブ会議 カメラオン・オフ」論争に終止符を打つ、“コラボレーションコスト”という考え方
清潔感のある身だしなみを意識する
ビジネスコミュニケーションのスキル向上において、ビジネスシーンにふさわしい、清潔感のある身だしなみに整えることも重要です。
例えば、次のような身だしなみが整っているかどうかは、第一印象を大きく左右します。
- シャツにシワが入っていない
- スーツに汚れがない
- きちんと整髪している
海外のビジネス専門誌では「人はわずか1秒未満で、相手について判断する。それを後で塗り替えるのは非常に難しい」といった主旨が述べられています(※)。第一印象は瞬時に形成されるため、身だしなみにも気をつけてポジティブなイメージを与えることが大切だといえるでしょう。
<参照>(※)How to Make a Great First Impression|Harvard Business Review
ビジネスコミュニケーションにはツールの活用も大切
様々なITツールを活用することで、スムーズなビジネスコミュニケーションの後押しになる場合もあります。次の表は、ビジネスコミュニケーションに役立つツールの例です。
ツールの種類 | 概要 |
チャットツール | ・個人やチーム全体に向けて、簡単に業務連絡を一斉送信できる・テキストメッセージで記録されるので「言った・言わない」を回避できる |
ビデオ会議ツール | ・互いに離れた環境にいる人と、ビデオミーティングを実施できる・相手の表情やジェスチャーを確認でき、資料の画面共有もできるので、仕事の細かな認識合わせを行いやすい |
バーチャルオフィス | ・オフィス環境を模倣したバーチャル空間上で、社員がアバターを介して相互に交流できる・リモートワーク時の社員間のコミュニケーションを促進できる |
なかでもバーチャルオフィスツールは、リモート環境でメンバー同士が離れて働いていても、まるでオフィスにいるかのようなリアルタイムなコミュニケーションの実現を可能にします。
バーチャルオフィスのoviceは、一人ひとりの出社状況や「会議中」「作業中」といったステータスが一目でわかるため、チームの一体感を高め、遠隔地にいるメンバー間の連携もスムーズに行えます。
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まとめ
ビジネスコミュニケーションで最も重要な3つの基本スキルは、次の通りです。
- 伝える力
- 聴く力
- 質問する力
これら3つの基本スキルを意識して、相手の視点を踏まえたコミュニケーションを取ることが、社内の風通しを改善し業務生産性の向上にも寄与します。
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