上司への報告やチーム内の情報共有、経営トップから社員に向けた発信や、部門間の相談や交渉など、ビジネスを進める上で社内コミュニケーションは重要な役割を担います。特に、近年はビジネス社会の変化スピードが加速しており、同じ仕事を同じようにこなす受け身の働き方では優位性が保てません。業種業界問わず、イノベーション創出やコラボレーション強化が競争力維持には必要不可欠であり、いかに効果的なコミュニケーションを促進するかは、企業成長に大きく関わってきます。
今回は、社内コミュニケーションが重要な理由を掘り下げ、テレワークで浮上している課題や活性化させるためのポイントについて解説します。
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コミュニケーション、もっと後押ししたい
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社内コミュニケーションが重要な理由
コミュニケーションは、目的に応じて4つに分類でき、「1.意思疎通や伝達」「2.説得や説明」「3.人間関係の円滑化」「4.共感」の役割を果たします。ビジネスにおいては、チームや組織単位で効率的に業務を進めるシーンが多くあり、コミュニケーションが不足すれば成果を出しづらくなるでしょう。社内コミュニケーションの活性化は企業にどんな好影響をもたらすのか、具体的に解説します。
従業員の会社に対する愛着が深まり、定着率が向上する
社内コミュニケーションが活性化されると、メンバー同士の仲間意識が芽生え、従業員はチームや部門への帰属意識や企業への信頼を持ちやすくなります。また、仕事に対するモチベーションが高まり、成果を上げて会社に貢献したいという意欲が強くなるため、定着率もアップするでしょう。離職者が減れば、業務で得た経験やノウハウも社内に蓄積されやすくなります。
イノベーションが起きやすくなり、ビジネススピードが加速する
コミュニケーションを取ることで、個人が持つ多様な能力やスキルをチームや組織に還元しやすくします。たとえば、各自知り得た情報が社内でシームレスに共有されたり、メンバー同士の相談や雑談などから、個人では至らないような革新的アイデアが生まれたりといったように、業務のさまざまなシーンで相乗効果を発揮します。従業員の稼働分散や効果的な連携が進み、ビジネスが加速するでしょう。
業務品質が上がり、社外からの評価が高まる
積極的なコミュニケーションでお互いの状況を把握しやすくなり、メンバー間で柔軟に連携を図るため、業務中のミスや遅延は減少するでしょう。業務品質が上がれば、顧客満足度の向上も見込めます。また、意見が言いやすいオープンな環境は、コンプライアンス違反やセキュリティインシデントなどのトラブルが起きづらくなり、会社の信頼度向上にもつながります。
健全な組織や企業文化の構築につながる
上司部下間や同僚同士のコミュニケーション不足は、相互理解に時間がかかったり、意思疎通が取りづらくなったりと業務に支障を来します。さらに、職場の人間関係が悪化すれば精神的ストレスにもつながります。コミュニケーションは、従業員のメンタルヘルスや職場の健全性においても重要です。
テレワークでコミュニケーション課題が表面化
テレワーク導入で45%が「コミュニケーションが減った」と回答
調査によると、テレワーク経験者のうち45%の人がテレワークで感じたデメリットに「コミュニケーションの減少」を挙げています。また、テレワーク環境下における心理的変化では、「さびしさや疎外感を感じる気持ちが増えた」という回答が最多でした。
コロナ禍で急速に進んだテレワークの導入は、ビジネスにおけるコミュニケーションの形態も大きく変えました。オフィスでの対面コミュニケーションが当たり前であった従来に比べ、画面越しでは気軽な会話がしにくかったり、相手の状況が見えず話しかけるタイミングを迷ってしまったりするなどコミュニケーションにやりづらさを実感しているようです。
若手と中堅でコミュニケーションに対する感覚にギャップ
テレワーク環境下の社員に向けたアンケートによれば、若手社員の半数以上が「ちょっとした相談ができない」ことを悩みとして挙げ、先輩社員は若手からの気軽な相談や積極的な声かけを求めています。コミュニケーションの取り方や気遣いについて、若手と中堅でズレが生じていることがうかがえます。
新入社員は、人間関係を築く間もなくテレワーク環境下に置かれるため、先輩社員との接し方や話しかけるタイミングなどに戸惑いがあるようです。また、仕事や職場に慣れるまで時間がかかってしまったり、会社の一員としての実感がわかず早期退職などのリスクも懸念されます。
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テレワーク環境ではハイコンテクストが通用しない
日本では従来より察しあいの文化があり、すべて言葉にしなくても伝わると考えがちでした。ビジネスでも同様に、対面であれば表情や空気などから相手の気持ちを理解したり、言いたいことを察したりして意思疎通を図れましたが、テレワークでは通用しません。
たとえば、仕事を依頼した後に何も報告がなければ、依頼した側は「問題なく進んでいる」と思い込み、依頼を受けた側は自分なりの解釈で進め、両者にギャップが生まれる可能性があります。コミュニケーションツールを利用する場合も、発信に対し何の反応も無ければ、発信者は周囲にどう捉えられたかわからず、先に進めづらくなるでしょう。
ハイコンテクスト頼みのコミュニケーションでは生産性が落ち、メンバー同士の不信感やストレスが溜まりやすくなります。
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社内コミュニケーション活性化における3つのポイント
社内コミュニケーションを活性化させ、生産性やエンゲージメントを高めるためには、会社としてコミュニケーション機会を増やすような施策や環境作りを進めることが大切です
関係性に合わせたコミュニケーション機会を増やす
コミュニケーションの改善策は、上司と部下、チーム内、部門間といったように関係性を分けて考えると、具体的な取り組みに落とし込みやすくなります。
上司部下間であれば、1対1でじっくり話せる1on1を週や月ごとに開催すると良いでしょう。部下は仕事中に相談しづらいような内容も打ち明けやすく、上司は部下の素顔や個性が見えるため、早期課題解決や良好な人間関係につながります。
また、新入社員一人ひとりに対し、特定の先輩社員がサポートするメンター制度は、入社間もない社員の不安を解消し、成長を促します。
仕事で直接関わる機会が少ない従業員と経営トップ間は、定期的な全社会議が有効です。経営戦略や会社の状況について経営層の口から語ることで、文書だけでは伝わりづらいような本質的な部分まで浸透しやすくなります。従業員は会社の方針に沿ったゴール設定や優先順位を定めやすくなり、社内の一体感も高まるでしょう。
また、業務と切り離した社内イベントの開催は、部門横断での交流を生み、従業員の視野を広げるきっかけになるだけでなく、協業や調整の際もスムーズに進めやすくなります。
インフォーマルコミュニケーションが生まれる環境を準備する
業務中に必要な会議や打ち合わせをフォーマルコミュニケーションと呼ぶのに対し、同僚同士の雑談や喫煙所での会話、親しいメンバーで集まる飲み会など、仕事と切り離した場をインフォーマルコミュニケーションと呼びます。インフォーマルコミュニケーションは、一見仕事に役立たないと捉えられがちですが、実際は有用な情報を入手できたり、革新的なアイデアにつながったりする貴重な場です。
オフィス内に、思わずインフォーマルな会話をしたくなる環境を準備し、定着するまでは抵抗なく活用できるように働きかけましょう。従業員の動線に合わせてカフェスペースなどを設計すると、リフレッシュ目的などで立ち寄る人が増え、偶発的な会話につながります。
コミュニケーションツールでは、雑談専用のトークルームや雑談タイムを設けると良いでしょう。テレワーク中でも他の従業員と他愛無い会話ができ、孤独感を払拭できます。共通の趣味を通じた部活動も、長期的な人間関係を築けるためおすすめです。
オープンコミュニケーションが進むツールを導入する
テレワーク中でも、声かけやあいさつ、相談やつぶやきなど、オフィスで自然に生まれていたコミュニケーションを失わないようにツールを導入すると効果的です。ポイントは、お互いの存在を常に感じられ、リアルタイムにオープンコミュニケーションができることです。
ビジネスチャットは、従来のメールと異なり、実際に会話する感覚で使える手軽さと、パソコンでもスマートフォンでも見やすいUIで参照や送信が可能な即時性を兼ね揃え、コミュニケーションを促進します。また、バーチャルオフィスでは、相手に近づいて声をかけたり、周囲の会話が聞こえてきたりと、在宅でも職場の空気感を味わいながら仕事ができます。テキストでは伝わりづらいニュアンスまで共有でき、相手の反応がリアルタイムにわかるため意思疎通しやすくなります。
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