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『リモハラ』対策は大丈夫?当事者と企業ができる取り組みを紹介

テレワーク・ハイブリッドワークが普及していることがきっかけで、パワハラの進化系「リモハラ(リモートハラスメント)」が問題になっているということを以前の記事で紹介した。リモハラの解決が難しい原因の一つに、解決するためのアクションを起こしにくいという点がある。

そこで今回は当事者(被害者)、あるいは企業としてどのようにリモハラ問題に対処すべきか、解決策を紹介する。早めの解決に是非役立てて欲しい。


社内の人間関係改善に悩んでいるなら

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当事者(被害者)編

リモハラの被害者となってしまった場合にはどのように対応すると良いのか。2つのポイントを整理したい。

①解決すべきだと認識する

他人のリモハラ経験談を客観的に聞いていると、相手(上司など)よりも立場が上の人に報告して助けを求めたら良いのではないか。そんな会社辞めてしまえば良いのではないか。など、強気な姿勢になってくる。シンプルに、解決しそうなアクションを起こせば良いと思えるのは、今自分が被害者でないからかもしれない。しかし、実際に物事を解決するアクションは、そういった極めてシンプルなものだ。

では、なぜ被害者は我慢してしまうのか?

それは、被害者が自身のことを「完璧に仕事をこなせていない」と評価しているからだ。完璧にできていないから、自分が被害を受けても文句を言えないと思ってしまっているのだ。

しかし今、冷静になろう。リモハラ被害を受けても、完璧に仕事をこなせないと文句が言えないという会社はどれだけ売り上げがあろうと、お世辞にも良い会社と言えない。あなたのスキルが低ければ嫌がらせを受けても仕方ないという考えは危険なので、あなたの価値観からも消した方が良い。

また、今自身が置かれてる環境に、あなたの大事な友人・家族がいたとき、救ってあげたいと思うなら、あなたも自身を救うアクションを起こした方が良い。

②加害者より立場が高く、法律(コンプライアンス)に詳しい人に相談する

もちろん自身から、加害者に対して改善してほしいと伝えることもできるが、それが難しい・あるいは改善されなかった場合は、(リモハラの相談窓口があれば理想的だが、なければ)会社のコンプライアンスに詳しい人に相談しよう。

リモハラ問題に対して疎い人もいるので、相談者を選ぶことも重要だ。加害者に話をしたり、チームを変えてくれるなどの対処をしてくれるだろう。

企業編

次に、リモハラが起きてしまった場合に企業はどのように対応すると良いのか、2つの項目で紹介する。

①被害者・加害者にさせないため、テレワーク・ハイブリッド勤務のルールを決める

ハラスメントが起こるキッカケ・原因の一つに、価値観のズレというのがある。生まれも育ちも異なる者同士が集まってチームとしてうまく働くには、いくつかのルールを共通認識としてハッキリさせておこう。

特にテレワーク・ハイブリッド勤務では、家族構成や居住環境によって希望するワークスタイルが異なるため、社員が柔軟に働き方を選択できる環境でありながら、企業としての生産性を向上させるためのルール(コアタイム制や連絡の返信目安など)を明確にさせることが重要になる。

②ハラスメント相談窓口を設置する

リモハラされているかもしれないという社員のため、あるいはリモハラしてしまったかもしれないという社員のために、いつでも相談できる窓口を設けよう(同性の方が相談しやすい場合も多いので、男女各一人以上の相談者がいるのが理想だ)。また、全社への周知も必ず行い、効率的に運用できるようにしよう。

必ずプライバシーの配慮を明示し、相談することによって不都合なことが起こらないということを明確にさせるのも大切だ。

また、最近では事業主が職場におけるパワーハラスメント対策を徹底することが義務付けられるようになった。

<参照>厚生労働省|職場におけるハラスメントの防止のために(セクシュアルハラスメント/妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント/パワーハラスメント)

企業側がきちんとハラスメント問題を解決していくという姿勢を見せることが、社員の意識を改革させることにも繋がだろう。

③テレワークについての正しい知識をつけ、予防・対策する

リモハラの被害者・加害者になる可能性は誰にでもある。

通信インフラサービスを取り扱う株式会社オールコネクトの調査によると、部下よりも上司の方がリモハラに悩んでいる可能性があるということがわかった。

「リモハラ対策として何をすればよいかわからず、悩んだことはあるか」という質問に「悩んだことがある」と答えた部下が10.0%だったのに対して、上司は40.7%だった。

これを受けて調査では、上司がリモハラ加害者とならないように、<容姿・服装>や<自宅>、<業務管理>などに配慮しているが、それがリモハラ対策として正しいのかわからず悩んでいる可能性があることを指摘している。

株式会社オールコネクト|全国の20代~50代の男女300名に聞いた 『上司と部下のリモハラ基準に関する調査』
あなたが部下にリモハラだと思われないように<容姿・服装>、<自宅>、<業務管理>に関して気を付けていることをお答えください。
体形を話題にしないようにする52.7%
髪型やメイクを話題にしないようにする51.3%
部屋全体を写すことを求めないようにする51.3%
カメラの常時接続を求めないようにする44.7%
他
あなたが部下にリモハラだと思われないように<容姿服装><自宅><業務管理>に関して気を付けていることをお答えくださいに対する回答結果 出典<a href=httpsall connectjpE585A8E59BBDE381AE20E4BBA3EFBD9E50E4BBA3E381AEE794B7E5A5B3300E5908DE381ABE8819EE38184E3819F E3808EE4B88AE58FB8E381A8E983A8E4B88BE381AE>株式会社オールコネクト|全国の20代~50代の男女300名に聞いた 上司と部下のリモハラ基準に関する調査<a>

部下との関係に悩んでいる彼らをサポートするためにも、テレワークの正しい知識を身につけ、適切にアドバイス・指導することが重要だ。

また、日頃から社員のメンタルヘルスに対して気を配ることができれば、事態が大きくなる前に対応することができる。

精神的な余裕がなくなっているときは自覚無しに加害者になってしまったり、被害者でありながら解決のためのアクションを起こすのが難しくなってしまっている場合もあるので、特に気をつけよう。

リモハラはポジティブな話題ではないが、社内の人間関係というのは私たちの精神状態にも大きく影響するため、問題がある場合はしっかり取り挙げるべきトピックだと筆者は思う。何か思い当たる点があれば、ぜひアクションを起こしてほしい。


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YUI SASANO
フリーランス歴10年目、現在25歳の作詞作曲家/SNSマーケター。アーティストや文化人、企業のSNSプロデュースの他、コラムニストとしても活動している。