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リーダー必見!ハイブリッドワークにおける6つの心得

テレワークは生産性高く働けるというメリットの裏で、不安や不満に苦しむ実態もある。生活スペースである自宅はオフィス機能が不十分であり、身体的疲労の蓄積や、組織に属している感覚の麻痺、プライベートと仕事の区切りがぼやけた不健全な生活習慣などが懸念される。

「個」で見れば、タスクや状況に応じて働き方を切り替えられるハイブリッドワークは、まさに理想の姿と捉えられる。しかし、出社と在宅が混在した「個」を束ねるリーダーにおいては注意が必要だ。

そこで今回は、チームのリーダーが知っておくべきハイブリッドワークの心得を紹介する。

ハイブリッドワークで上司がやってはいけないこと

ハイブリッドワーク実践に伴い、上司の立場で起こりえる問題点を挙げたい。これらは無意識のうちに生じる思考のため、上司部下間だけでなく、同僚同士などあらゆる関係性において言えることだ。しかし、チームを牽引する上司が陥ると負のインパクトは大きい。集合体としてのパフォーマンスが発揮されず、組織の生産性は落ちてしまうだろう。

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近接性バイアス

近接性バイアスは、対面で接する時間が長い相手を優遇してしまう認知の偏りのことだ。人は、相手に対し一定の警戒心を持っているが、何度も接触することで警戒心が解け、好感を持つようになる。

出社率の高い上司であれば、在宅メンバーよりも、直接視界に入ったり会話したりする出社メンバーの方に信頼を寄せ、高評価になりうる。近接性バイアスによりチーム内の公平性が崩れ、本来成果を高めるはずの在宅という形態を有効活用できなくなるだろう。

Slack社が実施したグローバル調査によれば、41%の経営層が、オフィス勤務とテレワークの従業員の間で不公平が生じることに対し危機感を抱いている。                        

(参照:INTERNET Watch|一緒にオフィス勤務している従業員を経営層が贔屓してしまう「近接性バイアス」に注意

性悪説、減点主義

もともとマイクロマネジメントを好む上司や、トップダウン手法の上司は、部下の様子が見えないことから常に不信感を抱き、部下に対し執拗に疑ったり監視しようとする傾向がある。また、部下の行動や成果を正当に評価せず、マイナスにだけ目がいきがちになる可能性もある。

その結果、健全な組織に必要な「心理的安全性」が侵害され、部下は日々ストレスを感じやすくなり、発言や行動に制御がかかってしまうだろう。メンタルヘルスの不調などに至るケースもある。

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同調圧力

同調圧力とは、物事を本質で考えず、マジョリティ(多数派)が正しいと考えてしまう思考だ。同調圧力が強い組織では、多様な考え方やスキル、バックグラウンドの人間が集まっても多数派の意見に淘汰されてしまうため、前例を覆すような革新的アイデアの創出や、リスクを伴うチャレンジングな目標設定は難しくなるだろう。

ハイブリッドワークにおいては、たとえば部下のうち9人がテレワーク、1人が出社であればテレワーカー側の意見を汲み、1人がテレワーク、9人が出社であればテレワーカーに対して否定的な感情を持つ可能性があり、部下は困惑してしまう。

また、チーム全員が同じ条件であることを重視するあまり、上司が全員の出社日数を一律揃えようとするかもしれない。こうなると、部下は業務効率性に目を向けづらくなり、定められた日数の中で場所をシフトするのみとなる。自身で働き方を柔軟にコントロールしたり、臨機応変に対応したりする力は養われない。

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他責思考

部下に任せた仕事が停滞したり、期待通りの成果が出なかったりした場合、「できないやつが悪い」と放置したり、「できるやつに回せばいい」と仕事を奪ったりする上司は要注意だ。このような上司は他責思考が強く、周囲の人や環境に原因があると考え、自分の責任は顧みない。

ハイブリッドワークでは、部下一人ひとりが違う状況、違う場所で仕事をする。そして、どこにいてもスムーズなコミュニケーションが必要不可欠なため、多岐に渡るツールを利用する。

たとえば、Web会議で資料や画面を共有しながら議論を進めたり、ビジネスチャットに流れる情報をキャッチし、タイムリーなやり取りをしたりすることは必然になった。

しかし、オンラインツールを使いこなすには、一定のITリテラシーやテキストコミュニケーションスキルが求められる。スキルセットの変化に目を向けず、一方的な判断で部下の努力不足や能力不足と決めつけるのは危ないだろう。旧来のやり方に慣れている年配の社員や、社会に出たばかりの新卒社員など、フォローを必要としている人がいることを忘れてはならない。

ハイブリッドワークでリーダーが心得るべき6つのこと

それでは、ハイブリッドワークにおける理想のリーダー像とは何なのか。重要なのは、部下の声に耳を傾け、自律性を尊重し、チームの公平性を保つことだ。

①部下の本音を吸い上げる機会をつくる

業務上必要な時のみ指示をしたりヒアリングをしたりするだけでは、充分なコミュニケーションとは言えない。さらに、部下は上司へ声をかけるタイミングの見極めに迷うこともある。

テレワーク導入済みの企業に対する調査によると、上司と部下では不十分に感じるコミュニケーションの中身にギャップがあるようだ。たとえば、担当する仕事の意味や期待、貢献度合に対する感謝については、上司は充分に伝えているつもりでも、部下はもっと伝えてほしいと思っている。

このような感覚の差があることを認識し、上司部下間でいつでも話しかけられる仕組みを導入すると良いだろう。バーチャルオフィスなど、フラットなやり取りが促進されるようなコミュニケーションツールを使うのも良案だ。アバターで近づき声をかける、というゲーミフィケーション効果もあり、リアルオフィス以上に会話が弾むかもしれない。

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また、定期的に1on1を実施するなど集中して話を聞く機会を設けると、部下は上司とじっくり話す時間を確保でき、安心するのではないか。

上司は待ちの姿勢から脱却し、部下を気にかけ、積極的に対話する姿勢が大切だ。

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②出社と在宅の選択基準を決める

ハイブリッドワークは、単にリアルとオンラインの二刀流で仕事をするのでは無く、生産性向上やワークライフバランスの促進が期待できる柔軟な働き方である。本来の目的を形骸化させないために、「何を基準に在宅と出社を選ぶのか」を具体的なケースに落とし込んで示すと効果的だ。

例えば、ブレストなどで活発に意見を出し合うことが必要とされるフェーズでは、関連メンバーは対面で会議し、具体的なタスクと担当者が決まった後は、個々が仕事を進めやすい場所を選び、作業に集中する、とするなど。また、緊急時も連携して動けるように、各自スマホにコミュニケーションツールアプリをインストールし、どこにいても連絡が取れるようにする、といった運用ルールを決めておくと、体制強化につながる。

このような指針を決めることで、部下は迷わず最善の働き方を選びやすくなるのと同時に、チーム内で共通認識が持てるため、出社や在宅のステータスに対して疑心暗鬼にならずに済むだろう。

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③主体性を重視し、部下に決定権を与える

大企業によくある何段階もの形式的な承認は、ビジネススピードを遅らせてしまうことがある。特に、「承認をお願いします」という直接的な声かけや説明が根付いているアナログ文化の企業の場合、承認ルートが円滑に回らず、実行までのリードタイムはますます長引くのではないか。

企業競争力を向上させるためには、物事の必要性や優先順位を素早くジャッジし、PDCAを高速化させることが大切である。上司は、ビジョンやゴールの認識をチーム内で一致させ、決定権を部下に与え、自走を促すことを意識すべきだ。こうすることで、性悪説では成し得ない、自律型組織の形成が可能になる。

筆者が以前いた会社では、独断のみで動くのはダメだが、同プロジェクト内で一人以上のメンバーに相談し、合意が取れれば前に進めていいというルールがあった。「その結果トラブルがあっても私が責任を取る」という上司だった。この指針により、チームの結束力は自然に高まり、受動的なメンバーは誰一人いない集合体になったのだ。

④チーム全員に等しく情報を展開する

従来より、会議では「議事録係」が議論した内容をまとめ、関連メンバーに展開するという習慣があるが、ハイブリッドワークでは、この仕事が非常に重要である。在宅メンバーはオフィス内の会話を直接耳にしないため、オフィスと在宅で情報格差が生まれやすくなる。このため、メンバー全員が知っておくべき内容は、ドキュメントとしてストックし、どこからでも情報をキャッチできるようにしておくと良いだろう。

注意点としては、シンプルかつ適格な表現を使い、誰が見ても同じ解釈ができるよう、ローコンテクスト化を図ることだ。言葉足らずだとさまざまな捉え方や誤解を招いてしまう。

チャットツールなどでは、メッセージの内容に合わせ、特定の人へ通知する「メンション機能」があり、閲覧漏れの防止やスムーズな情報伝達が可能だ。また、検索性や視認性の高いドキュメント管理ツールなどで情報を一括管理すると、必要な時に必要な情報へアクセスしやすくなる。

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⑤評価軸を明文化する

人事評価には、実績や成果物、発揮された能力やコンピテンシーなど、さまざまな軸がある。そして、評価結果は人材育成や処遇決定につながり、従業員満足度やモチベーションにも影響する。

HRMOS WorkTech研究所が行った調査によれば、テレワーク拡大で「評価者による評価のばらつき」と「評価基準のあいまいさ」が露呈しているようだ。ハイブリッドワーク導入企業においても、会社として評価基準の見直しが必要であり、さらに上司から部下へ直接評価の方針を丁寧に説明し、正当かつ公平に評価することを伝えるべきだろう。

部下は、何をどうアピールすればいいかが明確になり、日々の不安から解放される。また、評価に対する納得度も高まるだろう。

⑥全員が顔を合わせる時間を設ける

チームで定期的に顔を合わせる機会を作ることで、部下はチームの一体感やつながりを感じられるようになる。対面では何気ない会話や雑談が発展しやすく、人となりも掴みやすいためだ。

月に一度、オフィスでチームミーティングを開催するなどリアルの施策と並行して、いつでも気軽に会えるオンライン上の接点も、やはり大切だ。顔を見ながら話せるWeb会議ツールや、偶発的な会話が自然に生まれるバーチャルオフィスツールなどを使えば、遠隔でも相手の温かみを感じながら仕事ができる。このようなツールで、いかにリアクションを取り、感情を伝えるかについてもスキルアップが必要かもしれない。

働き方の柔軟性が高まった今の時代、リーダーの思考や判断にも柔軟性が求められる。過去の成功や経験則を頼りにするのではなく、未来を見据え、変化していかなくてはならない。しかし、どんな働き方でも変わらないものがある。チームビルディングには、上司と部下間の強い信頼関係が必要だということだ。

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KYOKO ONOGI
大企業、ベンチャー企業、まちづくり企業でシステム開発からマーケティング、広報PRまで幅広く経験し、独立。ITやマーケティング分野を強みとし、記事執筆やディレクション、Webコンテンツ制作に携わる。