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バーチャルオフィス活用が変えた、エヌリンクス社のリモートワーク
新型コロナウイルスの影響で、多くの企業が導入したリモートワーク。働く場所の変化に伴い、コミュニケーションが「会話ベース」から「テキストベース」に変わった会社も少なくないでしょう。しかし、テキストコミュニケーションのみで業務を進めるのは難しく、様々な壁に直面するケースも少なくありません。
多数のメディアを運営する株式会社エヌリンクスも、そんな会社の一つ。リモートワークへの変化に伴いコミュニケーション課題に直面しました。そんな課題の解決の兆しとなったのがバーチャルオフィスのoviceです。
本記事では、2023年2月21日に行われた「1時間でわかる!バーチャルオフィス活用の最前線 #2~“テキスト”よりも“会話”で業務を効率化する秘訣とは~」で株式会社エヌリンクス 技術戦略室 室長の佐源太 丈二氏が語った内容をもとに、バーチャルオフィスでコミュニケーションを活性化するコツを紹介します。
密なコミュニケーションが求められる開発環境
まずは、私達の会社がどのような環境で働いているか紹介します。私たちはエンジニアが多く在籍しているベンチャー企業で、アジャイル開発のため仕様変更も珍しくありません。急に発生する仕様変更に対応するためにも、密なコミュニケーションが求められる環境でした。
そのような中で起きたのがコロナショック。多くの企業がそうだったように、私達も急遽リモートワークを導入しました。
生産性は改善できても、コミュニケーション課題は解決せず
部門内でのコミュニケーションはMicrosoft Teams、部門をまたいだコミュニケーションはLINE WORKSを活用して、とりあえず業務は続けられましたし、何ならリモートワークを喜ぶ社員もいたため期待感すらありました。
ツールの整備により滞りなく業務は進みましたが、徐々にリモートワークにおける課題が浮き彫りになっていきます。業務で関わる人と必要最低限の会話しかなくなり、テキストベースでのコミュニケーションによって意図せぬ「詰め」も増えました。先輩に相談すればすぐに解決できる問題も、相談しにくくなったことで解決に時間がかかるようになりました。
Teamsでは情報格差をなくすためにチャンネルを作って、誰もがその情報を見られるようにしました。みんながつぶやいてくれれば、そこからコミュニケーションが増えればいいなという期待も込めて開始した取り組みです。
エンジニアの部門で導入を開始したところ、たしかに生産性が上がりました。しかし、次に発生したのが「発信する人が固定される問題」です。限られた人はチャンネルに投稿し、周りもそれを見てはいるものの、コミュニケーションにまで発展しませんでした。Teamsを使うことで生産性の問題は解決しても、コミュニケーションの課題は解決しなかったのです。
月一面談も「自然なコミュニケーション」にはならなかった
そこでリモートワークが開始される前に実施していた「月一面談」を再開することに。久々にメンバーたちの話を聞いていると、徐々に、心に闇を抱えているメンバーが多いことに気づきました。まずいと思った私は、そのようなメンバーのフォローに力を入れるようリーダー陣と話します。
しかし「いつでも気軽に相談してもいいよ」と言っても、気軽に相談できるものでもありません。加えて、リーダー陣からも声がかけにくく、フォローするのも難しい状況になっていました。強制的にコミュニケーションする場を作ったことで、その場では話すものの、それ以外の場面では効果がなかったのです。
こうした中で、強制感なく自然にコミュニケーションできる場がほしいと思っていました。
バーチャルオフィスで自然なコミュニケーション、そして生産性があがる
コミュニケーション課題を解決するため、次に導入したのがoviceです。結果から言うと、oviceを導入したことでコミュニケーションが活発になりました。
メンバーの行動が可視化されるため、一人でいるのが分かったら話しかけやすいですし、誰かと話していたら会話に混ざったり、会話が終わるのを近くで待つこともできます。待たれている方も、近くで待っているのが分かるため、会話が終わってから「何か話したいことあった?」とケアできるようになりました。
つまり、oviceを使うと、オフィスに出社していた時と同じように、話しかけるタイミングがつかみやすいんですね。テキストベースのコミュニケーションと違って、わざわざ会話する場所を作る作業が発生しませんし、それだけでなく、気軽に話しかけたほうが話も盛り上がるんです。
実際にoviceを導入してから社内でアンケートをとったところ「気軽に会話できるようになった」「コミュニケーションが取りやすいので作業効率が上がった」という声が上がってきました。今ではメンバーのほとんどがoviceを使い続けたいと言っています。
他部署とのコミュニケーションも活発に。使えば見えてくる「違う世界」
oviceのメリットは部署内でのコミュニケーションが増えるだけでなく、部署間の連携もできること。
最初はエンジニアのチームだけで導入したoviceですが、オフィスで利用しているのをメディアチームのリーダーに見られて「これゲームですか」と聞かれました。そこでoviceの魅力を熱弁したところ「ぜひメディアチームでも導入したい」と言われ、他チームで導入することになりました。
その結果80名ほどのアルバイトを抱えているメディアチーム内のコミュニケーションが活発になったのに加え、エンジニアチームとメディアチームのコミュニケーションが活発になったのは大きなメリットでした。
他チームのメンバーも同様、双方のステータスが見えることにより話しかけやすくなったこと、またビル化することにより容易にフロアの行き来をすることができたので、ストレスなく利用できたことがコミュニケーションが活発になった要因です。
コミュニケーションに課題を感じていて、oviceの導入を検討しているなら、まずは1週間使ってみてください。きっと違う世界が見えてくると思います。私達はあまりルールを作らずにoviceを導入しましたが、会社の状況に合わせて運用ルールを決めると、より使いやすくなるのではないでしょうか。
ただし、導入して「使ってみてね」というスタンスでは、なかなか社内に浸透しません。導入するなら強制的に使ってもらい、特にリーダーやマネジメント層が積極的に活用することで、そのメリットを享受できるはずです。
これからもリモートワークは継続。ハイブリッドワークに欠かせないovice
最近はリモートワークを終わりにする風潮もありますが、私たちは今の働き方を続けていきたいと思っています。自宅の方が集中できる時もあるからです。アウトプットを大切にしているので、その過程については自宅だろうと事務所だろうと構わないと思ってます。
ハイブリッドワークにおいて、oviceの存在はとても大きいと思っています。場所を問わずメンバーと出社時と同じようにコミュニケーションがとれるので、リモートワークでも問題がなくなります。
我々の部門では、oviceにいる間は「話しかけられたら反応する前提」ですので、リモートワーク中の心地よい監視感も実現できていると思います。
oviceは「会話のためのツール」として使うことでハイブリッドワークを支えてくれます。私達もテキストコミュニケーションはこれまでと同じようにTeamsを活用していますが、コミュニケーションによってツールを使い分けることも、ハイブリッドワークのコツだと思います。
編集後記
oviceの導入により、自然なコミュニケーションを取り戻し生産性も改善したエヌリンクス。その成功要因は「スモールスタート」と積極的に活用した「リーダー層」の存在にあるのではないでしょうか。
新しいツールというのは、多くの人が抵抗を感じるものです。まずは一部のチームで利用し浸透させれば、隣のチームは「あのチームだけ、便利そうなツール使ってるな」と羨ましく見えてきます。そのような状態を作れば、抵抗なく社内にも広げられるでしょう。
また、上司が積極的にoviceを使うからこそ、メンバーも使いたくなります。「oviceにいれば先輩に相談できる」と思えば、結果的に多くのメンバーがoviceに出社してくるでしょう。これからoviceを導入する組織、導入したけどなかなか浸透しない組織は、ぜひ同社を手本にしてみるとよいかもしれません。
オンボーディングや、営業チームと営業支援チームの連携強化、「細かな確認事項」のための時間削減など、様々な目的でoviceは使われています。それぞれのケースを紹介。