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1 on 1とは?目的や話すこと、具体的なやり方を解説!

今や多くの企業がチーム作りやメンバーのモチベーションアップのために取り入れている1 on 1。ふたりが1対1で話すというシンプルさから取り入れやすい施策ですが、話す内容などをしっかり吟味しなければ、効果がないどころか逆効果にもなりかねません。

この記事では1 on 1を効果的に実施するために、その目的や注意点などについて紹介していきます。

1 on 1とは

図版 1 on 1とは

1 on 1(ワンオンワン)とは、上司と部下、リーダーとメンバーのような、ふたりが1対1で定期的に行う面談のこと。「1 on 1 ミーティング」を略したものです。「1on1」「1-on-1」はその表記のバリエーションです。1 on 1の目的は、聞き手が話し手となる対象者との対話を通して、相手の抱えている悩みや将来的なビジョン等を把握し、問題解決や気付きを促すことで相手の成長をサポートしていくことです。

1 on 1を実施するふたりの役割

1 on 1を実施するときのふたりの関係は、上司と部下に限りません。ふたりのうち一方の対象者は、指導を受ける側の立場、もう一方は指導をする側の立場、となります。ふたりは組織上の上下関係だけでなく、悩みを持つ者と相談する者、疑問を抱える者と知見を持つ者、成長の期待されている側の人と成長を促す側の人、といったように、対象者をもう一人がサポートするような間柄で実施するのが、1 on 1です。対象者が話し手、指導者が聞き手となり、二人の間で会話が行われます。

このふたりの関係については、別の用語で、対象者を「メンティー(mentee)」、指導者を「メンター(mentor)」と呼びます。また、メンターがメンティーに指導や支援を行うことを「メンタリング(mentoring)」と呼びます。

1 on 1の実施において大事なのは、話し手となるべき「対象者のための時間」であること、です。聞き手であるべき指導者側の主導で会話を進めたり、説教する時間としてはいけません。

人事面談との違い

これまで1対1で面談すると言えば「人事面談」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。4半期や半期に一度、15~30分程度人事と話して仕事の状況や悩みを共有する時間です。それらの情報をもとに人事が配属などを考え、より効率的に機能する組織図を考えます。

一方で1 on 1は長くても月に1度、短ければ週に1度の頻度で実施するのが一般的。時間も30分~1時間と十分にとり、対象者の話を聞いていきます。普段から一緒に仕事していたとしても、ふたりが時間を共有して会話することで、対象者が置かれている状況を詳しく理解できるのも大きな違いです。

1 on 1の目的

なぜ多くの企業が1 on 1を取り入れているのか、その背景には「対象者の成長を促進させるため」「組織力を高めるため」という2つの理由があります。人は日々の業務の中でも成長していますが、それを対象者が指導者と共有することで、対象者の成長を確認したり、一緒に問題を解決していくことで成長を加速させていきます。

もう一つの目的は、ゆっくり話す時間を作ることでメンバーを組織に定着させること。日々の業務ばかりでは孤独感を感じ、モチベーションの低下に繋がることもあります。そのような事態を防ぐためにも、自分の話を聞いてもらえる安心安全な環境を作ることで、離職率を下げたりモチベーションアップも期待されているのです。

1 on 1が注目される背景

図版 1 on 1が注目される背景

多くの企業に1 on 1が注目されているのは、社会の大きな流れも影響しています。 

人材の流動化

1つ目の背景は人材の流動化。ひと昔に比べて転職のハードルが下がり、今や多くの人は転職を経験しています。生涯雇用という概念は既に崩壊しており、転職によってキャリアアップを目指す人も少なくありません。

しかし、企業としては社員にできるだけ長く働いてもらいたいもの。そのためには、社員一人ひとりに仕事のやりがいを感じてもらう必要がありますし、仕事に対する悩みを解決しなければなりません。そのための施策として1 on 1の需要が高まっているのです。

VUCAの時代

VUCAとは「Volatility(不安定性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字をとったもの。つまり先行きの見えない時代ということです。そのような時代では、決まった答えというものがなく、時代の流れに合わせて柔軟に対応していかなければなりません。

それはつまり、上司が決めたことを部下が実行するだけの上記下達型組織では時代に対応できないということ。組織を構成するメンバー一人ひとりが考え、現場から意見を挙げる必要があるため、メンバーを成長させ、メンバーの意見を吸い上げることのできる1 on 1の実施が効果的なのです。

1 on 1のメリット

図版 1 on 1のメリット

1 on 1をすることでどのようなメリットを得られるのか見ていきましょう。

信頼関係が高まる

指導者が対象者の話に耳を傾けることで、ふたりの信頼関係が高まります。上司と部下の関係であったとしても、普段の業務の中だけでは、上司が部下の話をゆっくり聞く時間をとるのは難しいかもしれません。その場合は、1 on 1でしっかり耳を傾けると、普段から部下が心を開きやすくなることが期待できます。

相手が自分の意見を聞いてくれると思えば、メンバーの自発性も育ち、普段の仕事にも好影響を期待できるでしょう。

メンバーの成長が促進される

メンバーの中には、知見を持つ人に相談したいことがあっても、遠慮してなかなか相談できない方もいることでしょう。対象者と指導者の1 on 1の場を設けることで、対象者は安心して相手に相談できるため、仕事での課題や悩み事を解決し、より成長が促進されることになります。

ただし、1 on 1を実施するうえで気をつけたいのは、指導者が一方的に対象者の課題を解決してしまうこと、です。指導者はあくまでサポートに徹し、対象者が成長できる機会を作ってあげましょう。

パフォーマンスが高まる

メンバーと指導者が1対1で会話する時間を設けることで、対象者の組織に対する帰属意識が高まり、仕事へのモチベーション向上に繋がります。逆に、普段の業務の中でで孤独を感じていると、組織に愛着を感じづらく、モチベーション低下に繋がります。

「自分の話を聞いてもらえる」と思えば組織のことも好きになりますし、組織のために頑張ろうという気持ちにも繋がるでしょう。

離職を防げる

メンバーが組織に愛着を持つようになれば、離職を防ぐ効果もおのずと期待できます。どうしても他にやりたい仕事がある場合などは別ですが、ネガティブな理由で離職される可能性は下げられるでしょう。長期に渡って働いてもらうことで、より成長してもらえますし、そのノウハウを別のメンバーにも伝えてもらえるため、組織強化にも繋がります。

1 on 1を行う際の注意点

図版 1 on 1を行う際の注意点

1 on 1は簡単に取り入れられる施策ですが、始める前にしっかりと設計する必要があります。どのような点に注意すべきか見ていきましょう。

実施状況にばらつきを防ぐ

1 on 1の取り組みを個々の判断に丸投げしてしまうと、しっかり取り組む人と取り組まない人のばらつきが生まれることになります。場合によっては部署によって実施状況や実施内容にばらつきが生まれることにもなりかねません。

そのままで放置してしまうと、チームによって1 on 1が行われなかったり、期待した効果が得られないこともあります。1 on 1を取り入れる際には、しっかり制度化し、その取組状況を把握できる仕組みも作っておきましょう。

心理的負担を減らす

日々忙しい時間の中で、直接業務に関係のない1 on 1に時間が割かれるのは、対象となるメンバーにとって負担になることもあります。時間的な負担だけでなく、指導者の期待に応えようという思いから心理的負担となることで、逆効果になってしまうかもしれません。

1 on 1を取り入れる際には、しっかりその目的などを共有し、対象者が安心して参加できる環境を整えましょう。

上司の時間がとられる

対象者以上に時間がとられるのが指導者です。10人の対象者を持っていれば、それだけで対象者の10倍の時間を費やすことになりますし、仮に毎週実施するとなれば業務に支障がでるリスクも高まります。

一人の指導者に負担が集中しないように、たとえばサブリーダーと分担して行うなどの工夫も必要です。

1 on 1のやり方

ハイブリットワーク アイキャッチ

1 on 1をどのように取り入れているのか、ステップを踏んでその手順を見ていきましょう。

目的・実施の仕方を決める

まずは、なぜ1 on 1をするのか、その目的から明確にしていきましょう。人によって認識がずれていれば、実施方法や話す内容にもばらつきが生まれてしまい、本来期待していた目的を達成できないことになります。

目的が決まったら、それを達成するための実施の仕方を決めていきます。実施の頻度や話す内容、誰と誰が話すのかなどを決めていきます。目的が変われば実施の仕方も変わるため、目的に沿って考えることが重要です。

どのように目的や実施の仕方を決めていくのか、下記の記事ではoVice社での実施事例が紹介されていますので、参考にしてください。

<参照>
HRMOS | 1on1の目的を明確にして成果を上げる-oViceの事例から学ぶ1on1-

周知する

実施の仕方まで決まったら、それを社内に周知します。単に1 on 1の仕方だけを伝えるのではなく、なぜ1 on 1をするのか目的もしっかり共有しましょう。対象者と指導者とで目的の認識に齟齬が生まれていると、1 on 1はうまく機能しません。

特に指導者には、1 on 1を実施する目的を徹底的に理解してもらい、実際に1 on 1を取り入れるする際には、指導者の口からも対象者に目的を伝えてもらうようにしましょう。

スケジュールを決める

1 on 1のスケジュールを毎回決めるやり方になってしまうと、業務を優先してしまって、定期的に実施するのが難しくなってしまいます。特に繁忙期では両者の時間を合わせるのが困難になり、数ヶ月に渡って行えない、といったことにもなりかねません。

できれば「何曜日の何時から」「毎月第1何曜日の何時から」など実施する日時を固定しておいて、どうしても都合がつかない時のみ変更するというルールがおすすめです。

実施・振り返り

1 on 1を行なう際には、後から振り返りができるよう必ず記録をとっておきましょう。指導者陣が定期的に集まり、振り返りをすることで、期待通りの効果が出ているのか、どのような点を改善すべきか話すことが重要です。

また、記録をとっておけば、前回対象者と話したことも確認できるため「前回話していた課題はどうだった」と課題の進捗も確認できます。対象者としても、自分の話を覚えておいてもらうことで、信頼関係の構築がしやすくなるでしょう。

1 on 1の目的・話すこと

図版 1 on 1の目的・話すこと

1 on 1でどのようなことを話せばいいのか見ていきましょう。

心身の健康状態

アイスブレイクとしてよく用いられるのが、心身の健康状態について。仕事が忙しいと生活リズムが乱れがちになり、体調を崩す方も少なくありません。しっかり睡眠がとれているのか、不調を感じていないか確認するためにも話題にするのがおすすめです。

もしも、仕事が多すぎて健康を害しているようであれば、仕事量を調節するなどの工夫が必要となります。

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仕事の状況

1 on 1は部下の成長のための時間なので、当然仕事の状況についても話します。普段の業務の中では相談しづらいことや、困っていることを時間をかけて聞きましょう。ただし、悩みを聞いたからと言って「こうしたらいいよ」とアドバイスするのは避けましょう。

「私だったらこうするけど、参考にしてみて」と示唆を与える程度に止め、部下が自分で解決できるのをサポートすることが重要です。

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キャリアについて

今の仕事だけでなく、今後どのようなキャリアプランを練っているのかも話しましょう。部下一人ひとりのキャリアプランを把握することで、それを実現できる仕事を割り振ることができ、結果的にやりがいを持って働けるようになります。

キャリアプランは変わることもあれば、より具体的になることもあります。一度聞いて終わりではなく、定期的に確認して部下のキャリアプランを明確に把握しておきましょう。

1 on 1のコツ

図版 1 on 1のコツ

1 on 1を効果的に行うためのコツを何点か紹介します。

目的を理解してもらう

最も大事なのは、上司と部下で目的を共有しておくこと。上司は部下の成長のために行っているのに、部下の方が「上司に評価される時間」だと思っていれば、思うように心を開いてくれません。

アイスブレイクをする

部下が話しやすいように、1 on 1の冒頭ではアイスブレイクをしましょう。普段から信頼関係を構築できており、本音を言い合える仲であればいいですが、一般的には部下は上司に本音を言いづらいもの。少しでも心を開いてもらうために、本題に入る前に身近な話題で場を和ませましょう

ログを残す

1 on 1で話した内容はできるだけログを残しましょう。1 on 1の効果を検証するためにも必要ですし、次回の1 on 1で「前に話していた課題はどうなった」と話題にもなります。後から見返すことで、部下の成長の記録にもなるでしょう。

部下のための時間にする

1 on 1は部下のための時間です。相談されたことに対するアドバイスに夢中になったり、説教などをしてしまうと、上司の話す時間が長くなり部下が話す時間がなくなってしまいます。上司は意見を求められたときだけ話すようにして、部下が話す時間を長くとりましょう。

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