企業が持続的に事業を展開、成長させるには、人材の生産性を最大化する仕組みを整えることが重要です。そこで大きな課題となるのが、職場のコミュニケーションの活性化です。本記事では職場のコミュニケーションの課題について解説するとともに、コミュニケーションで重視すべきことや活性化を図るための方法について解説します。
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職場でのコミュニケーションに課題を抱えている企業は多い
企業にとって従業員は最も重要な経営資源のひとつです。人材という資源の戦略的な活用を図る取り組みを「HRM(Human Resource Management)」と呼びます。このHRMにおける重要課題のひとつが職場のコミュニケーションの活性化です。従業員同士のコミュニケーションの活性化は信頼関係の構築や情報共有の円滑化に寄与し、従業員エンゲージメントの向上やイノベーティブなアイデアの創出といった成果が期待できます。
しかし、職場でのコミュニケーションの重要性を理解しつつも、従業員同士の意思疎通や相互理解に課題を抱えている企業は少なくありません。ProFuture株式会社の研究機関であるHR総研が2024年2月に行った調査(※1)によると、6割以上の企業が「自社の社内コミュニケーションに課題を感じている」と回答しています。
参照元
PR TIMES/HR総研 | 「社内コミュニケーション」に関する調査レポートを公開
とくにコロナ禍以降、リモートワークが一気に普及し、働き方に柔軟性が生まれた一方で、リモートワークに伴うコミュニケーションの希薄化、孤独感といった側面が課題となりました。その後に出社回帰を進めた企業においても、実のところ対面に戻すだけでは課題が解決していないことに気づき始めています。多拠点同士ならもちろん、フロアが違えばおのずとコミュニケーションは取りづらいですし、例え背中合わせだとしても、常に意思疎通を図れるとは限りません。そのため、働く場所にとらわれず、いかにして職場のコミュニケーションの活性化を図れるような仕組みを作れるかが重要です。
コミュニケーション課題の少ない企業はエンゲージメントが高い
コミュニケーションに関する課題が少ない企業ほど、従業員エンゲージメントが高い傾向にあります。従業員エンゲージメントとは、所属する企業への帰属意識や貢献意識、業務に対する満足度などを示す指標です。また従業員エンゲージメントは、離職率や労働生産性、顧客満足度などに影響を与える要素であることから、HRMにおける重要課題のひとつです。したがって、人材の戦略的活用を推進する上で、職場でのコミュニケーションの活性化や問題解決は極めて重要な経営課題と捉えられます。
職場でのコミュニケーションの主な課題
近年、働き方改革の推進やテレワーク制度の一般化に伴い、チャットツールやオンライン会議システムといったコラボレーションツールを導入する企業が増加傾向にあります。しかし、そうしたツールでは解決しきれないコミュニケーション上の課題も少なくありません。主な課題として考えられるのは以下の3点です。
- 職場で気軽に会話をする文化がない
- 部下が上司や先輩と話しにくいと感じている
- 顔を合わせないコミュニケーションで疎外感や情報の断片化が生じやすい
職場で会話をする文化がない
国内企業の中には、業務に直接関与しない会話を、雑談、無駄話と捉えるところがあります。そうした企業では業務中の何気ない会話が敬遠され、職場で会話をする文化そのものが希薄化しているケースもあるでしょう。気軽な会話文化が根付いていない組織では、従業員同士の相互理解や信頼関係の構築が難しく、改善策の提案やアイデアの共有などを行う機会も減少します。こうした課題を解消するためには、日常会話を奨励する組織文化の醸成や、定期的な交流イベントの開催といった対策が必要です。
部下が上司や先輩と話しにくいと感じている
年功序列制度を今も採用している企業では、階層的な上下関係によって心理的な距離が生じるため、部下が上司に話しかけにくい雰囲気が生まれがちです。また、世代間のギャップによって苦手意識が生まれる、知識や経験の差から上司と会話が合わない、あるいは先輩が多忙で話しかけにくいといった意見もあります。このような環境では従業員エンゲージメントの低下が懸念されるため、いかにしてコミュニケーションにおける上下関係の垣根を取り払うかが重要です。
顔を合わせないコミュニケーションで疎外感や情報の断片化が生じやすい
現代は働き方が多様化し、それに呼応してコラボレーションツールの導入も加速しており、多彩なコミュニケーション手段が整備されています。しかし一般的に、顔を合わせないコミュニケーションでは、必要最低限のやり取りに留まりがちです。そのため、細かなニュアンスが伝わりにくく、認識に齟齬が生じる可能性があります。こうした行き違いをメールや電話、社内SNSなどで完全に解消するのは困難です。また、直接的なコミュニケーションの減少によって疎外感を覚える人もいるでしょう。このような問題を改善するためには、情報の断片化と心理的な不安を軽減する対策が求められます。
効果的な職場コミュニケーションの方法
職場のコミュニケーションを良くするには、積極的な取り組みが重要です。ここでは例として以下の3つの方法を紹介します。
- 社内イベントを実施する
- one on oneミーティングを行う
- “同じ空間に所属する”コミュニケーション環境を構築する
社内イベントを実施する
社内イベントの実施は、他部署との自然な接点を創出できるとともに、世代が異なる従業員同士の交流が生まれやすくなる点がメリットです。たとえば、セミナーや交流会の実施により、部門や世代を横断したコミュニケーションを創出できます。また、新製品のアイデアやマーケティングキャンペーンの提案といったコンテストを開催すれば、建設的な社内競争の促進によるスキルアップも期待できます。ただし、参加を強制したとすると、不満を募らせる要因となり、かといって自由参加にすると、参加者に偏りが生じます。社内イベントを企画する際は、こうした点に注意が必要です。
one on oneミーティングを行う
上司と部下、メンターとメンティーなど、一対一での対話を図るone on oneミーティングを活用すると、相互理解を深めるだけでなく、より強固な信頼関係を構築することにつながります。また一対一の対話は、互いに真情を吐露しやすい環境のため、心理的な障壁を取り払う効果が期待できる点もメリットです。さらに、相手の弱点や改善点のみを指摘するのではなく、独自の長所や成長度合いなどを伝えることで、労働意欲や貢献意識の向上につながるという利点もあります。
“同じ空間に所属する”コミュニケーション環境を構築する
働き方の多様化が加速する現代では、デジタルを活用することによって、コミュニケーションの課題を取り払うことができます。デジタルを活用した働く環境を、デジタルワークプレイス(digital workplace: DWP)と呼びます。
これまでは、たとえばメール、チャット、オンライン会議のような、コミュニケーションの「手段」を提供するツールが利用されてきました。しかしそれだけでは、コミュニケーションのハードルを下げ、その起点を産み出しやすくすること、つまり「交流の活性化」は期待できません。
そこで注目されているのが、デジタルワークプレイスとよばれる環境を構築するツールです。デジタルワークプレイスを使うと、従業員がひとつのデジタル空間に集まり、いま誰がどのような状態なのかを把握できます。すると、出社中か休暇中か、在籍中か外出中か、執務中か会議中か、集中しての作業中かといった、相手のいまの状態が明確になります。これによって、互いがどこにいるかに関係なく間合いをはかることができ、「忙しそうで声をかけにくい」といった課題が解消され、気軽な会話や交流の機会を創出することができます。
oviceを活用した新しい働き方で、職場の交流を活性化
デジタルワークプレイスの構築に最適なツールのひとつが「ovice(オヴィス)」です。oviceは、オンライン空間におけるコラボレーションの活性化を目的としたバーチャルオフィスツールです。従業員は、物理的にオフィス出社するかリモートワークかを問わず、oviceにアバターとして出社し、自身のそのときの状態を「応対可」「作業中」「離席中」のように表現します。するとovice上では、互いが何をしているのか、誰と話をしているのか、などを把握できます。デジタル空間のアバターとして自由に歩き回り、話したい相手に近づけば、気軽に会話することができます。こうした仕組みにより、あたかも同じ空間にいるかのような、自然発生的なコミュニケーションを促します。従来のチャットツールやオンライン会議システムだけでは対処できないコミュニケーション上の課題を解決するためにも、oviceの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
まとめ
職場でのコミュニケーションに課題を抱えている企業は、約6割にものぼります。職場のコミュニケーションの課題として挙げられるのが、会話を無駄話と捉える組織文化、上下関係による心理的な抵抗、テレワークの普及による直接的な対話機会の減少などです。こうした課題を解消するためには、社内イベントやone on oneミーティングの実施が有効です。また、コミュニケーションのハードルを下げ、交流の活性化を図るため、oviceのようなデジタルワークプレイスのためのツールが役立ちます。