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今問題になっている「リモハラ」とは?参考事例をチェックして対策しよう

人間関係というのは複雑で、ある人にとっては軽いジョークだったとしても、相手にとっては一生忘れられない悪夢のような事件になってしまうことがある。

社会人として誰かと共に働いていれば、ある程度の愚痴が溢れてくるのは仕方ないと筆者は思うが、だからといって我慢しなければならないわけでもない。

中でも、「ハラスメント(嫌がらせ)」は、どんな度合いであろうと許されないものだ。

ハラスメントにはいくつも種類があり、「セクシャルハラスメント(セクハラ)」や「モラルハラスメント(モラハラ)」、「パワーハラスメント(パラハラ)」などがよく知られている。

また、最近ではテレワークなど働く環境に変化が生じており、それに伴い問題視されるようになった行為もある。その代表が、「リモートハラスメント」、略して「リモハラ」である。


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テレワークで上司とのコミュニケーションにストレスを感じている社員は、8割近く

ハラスメント評論家の山藤祐子氏が代表を務める ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社の調査によると、テレワークでの上司とのコミュニケーションにストレスを感じていると答えた人は79%にのぼっている。

その理由としては、「やたらとweb会議をやりたがる」、「仕事をサボっていないかいちいちチェックしてくる」、「Slack上での言葉遣いがきつい」、「電話がかかってくる」、「ほとんどメールでのやり取りのため、ニュアンスが正しく伝わらないためストレス」などが挙げられている。

また、上司がパワハラに関してあまり知識がないこともリモハラ発生の原因になるかもしれない。同調査では、2020年6月に施行されたパワハラ防止法に関する内容を知っているか質問したところ、「詳しく知っている」と回答した人は全体の38.5%に過ぎなかった。

どのような行為がハラスメントに該当するのか、どう対策するのかを理解しないままマネジメントをしていると、テレワーク中のハラスメントにも対応できない恐れがある。

<参照>ハラスメント対策専門家山藤祐子|職場で急増しているリモートハラスメントの実態と対策

リモートハラスメントの具体例

リモートハラスメントとは具体的にどんなもので、従来のハラスメントとはどう異なるのか。いくつかの事例を紹介する。

リモハラ事例① プライバシーの侵害

テレワークでZoom等のオンラインMTGをする際に、部屋の様子が映ってしまう場合がある。その部屋についてや、子どもの声などの生活環境についてを話題に挙げて不快感を与えるなど、プライバシーの侵害は「リモートハラスメント」に値する。

また、ノーメイクにジャージでテレワークをしている女性も多いと思うが、その服装やメイクについて話題にされるのはセクハラだと感じてしまうかもしれない。

上司は何か話題を提供したかったという軽い気持ちだとしても、本人が入ってきてほしくないプライバシーの領域に踏み入れられることは、不快な出来事以外の何ものでもないのだ。

「そこまで細かいことを気にしていたら部下との距離感が更に開いてしまうのではないか」など心配の声が聞こえてくるが、難しいことは何一つない。そんな際どいトピックを選ばなければいいのだ。

リモハラ事例② 仕事環境についてとやかく言われる

プライバシー侵害とも重なる点があるが、仕事環境についてとやかく言われて悩んでいる部下も少なくない。

MTG中にペットの鳴き声が相手に聞こえてしまい、「仕事中なのに緊張感がない」と言われたり、個室がないためにリビングで仕事をしていたところ、子どもの声が音声に入ってしまったため「大事な会議中なのに気をつけろ」と怒られたなど。

もしもこれらがニュースに取り上げられたら、この上司は国民にどれだけ叩かれるだろうかと想像してしまうような内容である。

緊張感が必要な会議では理想的な環境ではないのかもしれないが、怒ったところで解決しないような内容で相手を追い込んでしまうのは果たして正しい対処法なのだろうか…。

リモハラ事例③ 仕事以外のことについてとやかく言われる

「仲の良いチームだが、オンライン飲み会に参加しないと嫌な顔をされ、「付き合いが悪い」と言われて重荷になってしまっている」という声もある。

オンラインどころか飲み会もあまり好きでない筆者にとっては苦痛以外の何でもない。何より、今どきの若者は社外の人脈作りだったりプライベートのスケジュールなどで忙しいのだ。

「ハイブリッド勤務」で働き方も選べる時代なのだから、勤務時間以外の過ごし方まで口出しするハラスメントは論外である。

もちろん、信頼関係を築く必要がないというわけでない。仕事やMTG中のちょっとした雑談で十分だ、というスタンスの人もいると理解することが大切なのだ。

今後リモハラは改善されていくのか?

個人の選択権などの尊厳を無視して命令をする、いわゆる亭主関白スタイルの上司はいつの時代も存在しているが、そんなやり方が通用しない世の中になってきているのも事実である。

2020年6月1日、労働施策総合推進法の改正により、パワーハラスメント防止措置が事業主の義務になった。中小企業は2022年4月1日から義務化となる。

厚生労働省|職場におけるパワーハラスメント対策が 事業主の義務になりました!

内容としては、ハラスメント防止の方針策定・相談窓口の設定・リモートハラスメント対応への体制整備が挙げられており、これらが事態改善へのきっかけになることが期待される。

従来のオフィスワークだったら見えることのなかった一面が見えたからといって、距離感が縮まったわけではない。逆にそのプライバシーを守ってあげる(土足で踏み入らない)ことが、部下やチームメンバーへの思いやりになるのではないだろうか。


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YUI SASANO
フリーランス歴10年目、現在25歳の作詞作曲家/SNSマーケター。アーティストや文化人、企業のSNSプロデュースの他、コラムニストとしても活動している。