2024年2月に発表された日本生産性本部の第14回働く人の意識に関する調査では、リモートワーク(テレワーク)の実施率が前回調査(2023年7月)の15.5%から14.8%に減少しました。
従業員規模別では、大企業(1001人以上)で増加した一方、中・小規模企業の実施率は低下しています。同本部は、コロナ禍で一時的にリモートワークを導入していた企業が、オフィス回帰する動きをより活発化させたことが主な要因と考えられると分析しています。
オフィスに戻ることで、リモートワーク中よりもより良い働き方が実現しているのでしょうか。この記事では、オフィス勤務のメリットと課題について考えてみたいと思います。
<参照>第14回 働く人の意識調査|公益財団法人日本生産性本部
目次
オフィス出社は“楽”?それでも続くハイブリッドワーク
オフィスの良さは、「話しかけたい相手の状況を、視覚的に把握できる」ことです。
例えば、「同僚同士で立ち話をしている」、「会議が終わり自席に戻ろうとしている」、「一人でもくもくと作業している」など、それぞれの社員の状態はオフィスを見渡すことで容易に理解できます。
2023年5月の新型コロナ5類移行後、オフィス出社に戻る動きが顕著ですが、子育てや介護がある人でも働き続けられるようリモートワークを取り入れた「柔軟な働き方」の実現が叫ばれている今、社員を毎日100%オフィスに戻すという企業は少ないのが現状です。
そのため、多くの企業がオフィスの社員とリモートの社員が混在する「ハイブリッドワーク」を採用しています。
避けられない「スピード」「エンゲージメント」の低下
ハイブリッドワークの場合、オフィス出社の社員とリモートの社員が混在していることから、仲間とのやり取りがうまくいかず、コロナ禍のリモートワークの時と同様、「周りの動きが見えないことが理由で、業務進行に必要な連携や確認に時間がかかってしまい、結果仕事のスピードが落ちた」と感じている方も多いのではないでしょうか。
会社という組織においては、社員同士が互いの状態が分かり、適切なタイミングでやり取りができることで初めて組織としてきちんと機能するようになります。
必要な確認を互いにきちんと行い業務を遂行できるよう、定例会議などを設けている企業も多いですが、時間が足りないなどの理由で会議だけでは結論に至らないこともあります。この場合、再度会議を設定するといった対応が必要になりますが、一方で、必要なメンバーで定例とは別に臨時に会議を設定するのは難しいという現実もあります。
議論の大切な部分が次の機会まで持ち越しになってしまうため、即座に対面で会話できていたオフィス出社の時に比べて、確認までの時間がかかってしまうため、仕事のスピードは明らかに落ちてしまいます。
また、リモートで勤務している場合、メンバーの姿が見えないことや情報格差により孤独感や帰属意識の低下が生じてしまう可能性があります。
どう解消・防止するか~スケジュール共有は有効か?~
「社員の状態が分からない」という課題を解決するための方法として、カレンダーツールなどでその人の今の「予定」を確認することで、ある程度の状況を把握することはできます。また、カレンダーツールのなかには、「連絡可能」(緑)、「取り込み中」(赤)「一時退席中」(黄)の3色で、その人の今の状態が一目で分かるよう示しているものもあります。
しかし、「誰」と、「何」をしているのかによって対応可能かどうかの状況は変わるため、実際の各自の「状態」を上記のような単純な3色で示すことは難しいのです。
例えば、話したい相手が、カレンダー上は誰かと会議中で一見「取り込み中」の表示であっても、それが同僚同士の毎朝の定例会議であれば、会話に入って行っても問題ない可能性があります。
逆にそれが複数人で特定の議題について真剣に話す会議である場合、よほど緊急度の高い要件でなければそこに割って入ることは難しいでしょう。また、カレンダー上に何も予定が入っていなくとも、上司と業務に関する立ち話をしている可能性もあります。
また、カレンダー上は会議中となっていたとしても、5分前倒しで終わり、そこで生まれた隙間時間でちょっとした確認が進められる場合があります。逆に、予定表では対応可能でも前の会議が長引いていたり、会議後に上司と立ち話をしていたりと、実際は対応できる状況にない可能性もあります。
このように「予定表と実際の状態がズレている」ということは、日々あらゆる場面で発生します。状況が見えていると思っていた予定表はあくまでも事前の「計画」であり、いまの「実態」を反映しておらず、各自の状態には単純な3色だけでは表現しきれない「濃淡」があるのです。
“予定の濃淡”が見えるバーチャルオフィス
ハイブリッドワークでも完全出社でも、会話のチャンスを逃がさないためには、面倒な会議設定や相手探しの手間が不要で、状況に応じた声がけを実現するバーチャルオフィスが役立ちます。
たとえばバーチャルオフィス「ovice(オヴィス)」の場合、以下のようにアバターの位置やリングの色で、相手の状況をより正確に把握することができます。
そのため、状況に応じて自分のアクションを決めることができます。
- 気軽に話しかけたいとき:相手のアバターに近づき「ちょっといいですか?」と声をかける
- 忙しそうな人に話しかけたいとき:相手のアバターに近づいて”肩をトントン”とたたいて様子を見る
- 隙間時間を狙って、ちょっとした確認をしたいとき:相手のアバターの近くに寄っていき、前の会話の終了を待って話かける
みんなの状況がよくわかるため、互いの仕事を阻害せず、タイミングよく連携することができます。これにより、組織のスピードが上がっていきます。
バーチャルオフィス oviceの特徴や機能について詳しく見る
ハイブリッドワークの困難を救う、「出社」そして「バーチャルオフィス」
業務スピードやエンゲージメントの低下といったハイブリッドワークの課題は、お互い100%対面で働いている状況と異なり、その人の「今」の状況が判別できないことで引き起こされているといえます。2023年以降の出社回帰の流れは、こうした状況の改善・解消のための行動といえるでしょう。
そして本稿で見てきたように、このような課題の解決には出社が有効であると同時に、oviceのようなバーチャルオフィスでも同様の効果が期待できるのです。
どこで働いているかにかかわらず、互いの状況がよくわかり、状況に応じて声がけができるため仕事のスピードが上がるーーそのような環境は、働き方を進化させ、より良い社会を実現するための一助となります。
出社が絶対的でシンプルな解決策であることは間違いありません。しかし同時に、働く場所の柔軟性を担保しながら、組織の成長や前進を止めない第三の道を模索することも必要ではないでしょうか。