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【3社事例】大企業のリモートワーク制度、さらに前へ。フレキシブルな働き方のメリット

新型コロナウイルスの影響で、多くの企業がリモートワークを実施してきましたが、最近になって出社に戻る企業も見られています。中には「リモートワークがいいけど、うちも出社に戻るかもしれない」と不安を抱えている方もいるのではないでしょうか。

一方で、大企業の中には、しっかりとリモートワークに関する制度を打ち出している組織も珍しくありません。今回は、リモートワークに関する制度を持つ大企業と、その背景にある目的や意義を紹介します。

大企業のリモートワーク制度、3つの事例

まずはリモートワーク制度を打ち出している企業の事例を具体的にみていきましょう。

事例1. ハイブリッド勤務導入、働く場所のフレキシビリティを高める/東芝

東芝は2023年5月より、在宅勤務と出社を組み合わせた「ハイブリッド勤務」を制度化し、出社を前提としない柔軟な働き方を認めました。国内の東芝グループで働く従業員のうち、事務や研究開発部門などで働く約4万人が対象となることが伝えられています。

公式サイトでは「各従業員の働く場所のフレキシビリティを高め、さらなるワーク・ライフ・バランスの実現を目指します」と発信しています。

▲株式会社 東芝 公式サイトでのお知らせ
▲入社された方々の様子(株式会社 東芝 Twitter公式アカウントより)

<参照>
日経新聞|東芝、ハイブリッド勤務制度化
日系転職版|東芝、原則出社を撤廃へ 4万4000人対象にコロナ後も
東芝|新型コロナウイルス感染症に係る各種対策終了および「ハイブリッド勤務」導入について

事例2. 完全リモートワーク拠点、子育て両立可能な働き方に支持/デロイトトーマツアクト

デロイトトーマツアクトは、2021年に福岡市に完全リモートワーク拠点「デロイトキューキャンパス」を開設し、全国から若手人材を採用しています。

子育て中でも、最新のデジタル技術が求められるような仕事ができる点が、働き手に選ばれる要因となっているそうです。2024年には300名の組織にまで拡大する予定です。

▲日経新聞のTwitterでの記事紹介

日経新聞の報道によれば、事務所には出社しての執務に適した環境が整備されており、社内イベントの会場としても使われているとのこと。

<参照>
日経新聞|デロイト福岡拠点170人、30都道府県からリモートワーク
デロイト トーマツ|デロイト トーマツ、国内初のデジタル人材育成・ソフトウェア開発地域拠点「デロイト キューキャンパス」を福岡に設立

事例3. 国越える遠隔地勤務、優秀な人材獲得をねらう/三菱電機

三菱電機では、2023年度から「国をまたいだ遠隔地勤務」を可能にする働き方を制度化することが伝えられています。

この制度では、国によって異なる税制や労働規制に合わせた契約のガイドラインを策定し、海外に住みながら日本の本社で働ける「越境リモート勤務」が可能になります。世界規模で居住地にとらわれない人材配置に道を開き、優秀な人材の獲得につなげるのが目的です。

同社は2021年にも遠隔地勤務制度をトライアル導入しています。この際の対象者は「単身赴任の解消または回避が可能となる者」「育児・介護、配偶者の転任等の事情により事業所の通勤圏買いに居住する必要がある者」とされ、その目的は「従業員一人ひとりのライフスタイルに応じた働き方の実現」とされていました。

同じ遠隔地勤務の制度でありながら、優秀な人材獲得とライフスタイルと勤務の両立という2つの異なる目的が設定されています。場所に柔軟性を持たせた働き方を取り入れることの、企業にとってのメリットの多さがうかがえます。

<参照>
日経新聞|三菱電機、海外でリモート勤務可能に 人材獲得へ制度化
三菱電機|「遠隔地勤務制度」のトライアル導入について

大企業のリモートワーク体制の整備・強化のメリット

大企業がリモートワーク体制を整備することに、どのような意義があるのか見てみましょう。

【企業にとってのメリット】人材の採用につながる

リモートワーク環境を整備することは、必要としている人材の採用にも繋がります。

たとえば、リアルオフィスへの出社を前提としていると、通勤が可能な範囲で生活をしている求職者を対象とした採用活動となります。一方、リモートワークであれば日本中、もしくは世界中から人材を採用できます。

2020年以降のリモートワークの広まりにより、地方移住という選択をとる人も増えました。その中には自社の求める技術を持った人物や、秀でた能力を持つ方も少なくないでしょう。リモートワーク環境を整えることで、こうした人の勤務先候補となることができるのです。

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【日本経済へのメリット】他企業への指針になる

大企業でのリモートワーク制度化とその事業に対するインパクトが世の中に共有されることで、他でもそれらを参考に取り組みを進めることができます。

時間や場所により柔軟性を持たせた働き方においては、ルール決めをしなければならない点や、どのような意識や仕組みがあればメンバーのモチベーションやエンゲージメントを維持・向上させることができるのかなど、注意を払わなければならないことがいくつかあります。こうした点のナレッジが共有されることにより、必要な人材が採用でき生産性の高い組織となるための、足がかりができるでしょう。

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【社会にとってのメリット】より豊かな生活を選べるように

リモートワークを実施していても、制度化されていなければ「いつリモートワークが終わるかわからない」という不安は払拭できません。逆にいえば、しっかり制度化して出社のルールも明確にすれば、社員も安心してその先の計画を立てることができます。

将来の働き方に不安がなくなることで、地方移住やライフプランについてより広い選択肢から個々人の希望について考えを深めること、実行することができます。ワークライフバランスの充実にも繋がるでしょう。

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企業競争力にも寄与するリモートワーク制度

2023年春、リモートワーク体制をより整備し、制度の一部に組み込む大企業の姿が伝えられてきました。これまでのやり方を変えることは、おそらく容易ではありませんが、行動に移すことで様々なメリットを享受しているようです。

フレキシブルな働き方の実践を怠り現状維持を続ければ、人材不足や人材流出、生産性の低下という危機に直面する可能性もあります。柔軟な働き方で人材の獲得や生産性向上が実現すれば、企業競争力にも寄与するでしょう。今後は、リモートワークを取り入れたフレキシブルな働き方が必須となっていくのではないでしょうか。


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SuzukiKohei
フリーのビジネスライターとして、ビジネスメディアでの執筆やベンチャー企業の採用広報を担当。起業家や投資家のほか、ベンチャー企業とのオープンイノベーションに積極的な大企業への取材を行う。