企業は社会に新たな価値を生み出すため、また事業拡大や競争力強化のため、独創的なサービス、魅力的な商品の創出を試みる。特に企画やクリエイティブに関わる部門では、メンバー間で活発に意見を出し合い、アイデアを発展させていく場面があるだろう。「ブレインストーミング」は、アイデア創出の手法として一般的だ。
では、テレワークを導入した場合、ブレストをどのように実施すればよいのか。対面と非対面で生じる違いや、それぞれにおけるブレストのコツを紹介する。
目次
ブレストもオンライン化が加速
まずは、ブレストの概要とブレストが行われる環境の変化について見ていこう。
ブレストとは
ブレインストーミング(以降、ブレスト)は、1950年頃に米国の実業家、アレックス・F・オズボーン氏によって発起された会議手法である。複数人やチームで話し合い、活発な意見交換で案を発展させたり、複数案をかけ合わせたりと、構想を広げやすく、問題解決やアイデア創出に有効だ。また、チームメンバーが刺激を与え合う関係値となることで、団結力が高まる効果も期待できる。
テレワーク浸透で非対面のブレストが増加
顧客ニーズの多様化やテクノロジーの進化などにより、業種を超えた市場参入や競争が加速する中で、ブレストの必要性は今後も高まるだろう。テレワークの導入により、非対面のブレストをトライアンドエラーで実施していた企業も、近年ではチャットやブレストに特化したツールを巧みに使い、場所に捉われず柔軟に実行しているようだ。
4割の人が対面とオンラインで「効果に差は無い」と回答
対面と比較した場合、やりづらさは無いのだろうか。
リクルートワークス研究所がブレストの方法について調査したところ、「対面の方が有効」と答えた割合と「対面と非対面で変わらない」と答えた割合は共に4割で変わらなかった。従来のように、ブレスト=対面で腹を割って話す、という概念は薄れつつあるのだ。
また、移動が不要な点やスケジュール調整のしやすさ、対面で生じるストレスからの解放など、ブレストに限らずオンラインの会議形式にメリットを感じている人は少なくない。「ブレストのためにオフィスへ集まる」という常例は、このような時代の風潮に逆行することになるだろう。
<参考>リクルートワークス研究所|職場における集まる意味の調査(2021年12月)
ブレストでは意見の「発散」と「収束」が重要
ここで、ブレストの手法について改めて解説したい。やみくもにディスカッションするだけではブレストとは言えない。以下で紹介する6つのルールを実践してみよう。
①良し悪しを判断しない
ブレストではメンバーが躊躇なく発言できるように、批判や否定的な発言は避け、ポジティブな発信に徹することが重要だ。
アイデアが良いかどうかの判断は後回しで問題無い。結論を急ぐとアイデアの絞り込み作業になってしまい、前例のある案やありきたりな案に留まってしまうだろう。
②斬新なアイデアを奨励する
日本人は「空気を読む」能力に長けているが、ブレストでは突飛と思えるようなアイデアも歓迎すべきだ。固定概念に捉われず、自由に考え、頭に浮かんだままを伝えて周囲をあっと驚かせてみよう。
千差万別なアイデアが出ることでメンバーの脳が活性化され、さらに独創的な案に結びつくかもしれない。
③他の人のアイデアに乗っかる
ブレストでは、個々が好きに意見を言うだけではなく、相手の意見をヒントに自分の考えを膨らませたり、違った角度で考えたりすると、シナジー効果でアイデアが広がっていく。発言した当事者は「些細なこと」と思っていても、そこからブレストが発展し、大ヒット商品や画期的なサービスが生まれることもある。
④話題に集中する
ブレスト中も、他の業務が頭をよぎったり、スマホやパソコンに通知が届き中身をチェックしたり‥と注意散漫になってしまう人もいるだろう。しかし話し合うテーマに全神経を向けなければ、すぐにアイデアが出きってしまう。これまでの経験やインプットした情報などを総動員して臨むべし。
⑤アイデアの「量」にこだわる
ブレストではとにかくアイデアを出して出して出し切る。もちろん、テーマと無関係の話題や長々と持論を話す独りよがりの発言はNGだ。
仕事では効率性を求めるあまり、量より質に目を向けがちかもしれない。しかし、ブレストでは数を意識することで、普段は至らないような発想が浮かんだり、ひらめきが生まれたりする。
⑥制限時間を設けメリハリをつける
ブレストは意見を発散する性質上、予め制限時間を決めておかなければ会議が長引いてしまい、まとめの時間が取りづらくなる。最終的には、量産したアイデアをカテゴリや関連性などで整理し、全体を見渡せるようにすることが大切だ。テーマに対し最も効果的なアイデアはどれかを皆で選び、次のアクションへつなげられるようにしよう。
オンラインでブレストを実施する4つのメリット
さて、ここからはオンラインによるブレストならではの良さを紹介していく。
①遠隔にいるメンバーも参加でき、多様な意見を取り込める
直接会う機会を作りづらい、地方や海外メンバーともフラットにブレストが可能だ。オンラインなら、違うエリアに住み、違うカルチャーを持つ多様なメンバーからのアイデアも吸い上げられる。
②集まるスペースの確保や付箋用紙などの備品準備が不要
対面で実施する場合、模造紙やポストイット、ペンなどの文房具や、ホワイトボードを設置した会議室などが必要になってくる。一方、オンラインではパソコンなどのデバイス以外に設備は不要、さらにブレスト開始ぎりぎりまで業務を続けられ、対面よりも効率的だ。
③その場の空気や上下関係を意識しすぎずに発言できる
一ヶ所に集まると、その場の雰囲気や対人関係、立場などを気にして発言に躊躇することもあるだろう。その点、オンラインでは画面越しに会話するため率直に意見を言いやすい。バーチャルオフィスを使えば、アバター同士で話す形式となりより気軽に発言しやすいだろう。
④話し合った内容をデータとして保存や共有がしやすい
オンラインツールの多くは音声をレコーディングできる機能がある。また、テキストコミュニケーションの場合はそのままエビデンスとして残る。お互いのアイデアをどんどん書き込めるホワイトボード機能があるツールを選べば、ブレストを強力にバックアップしてくれるだろう。
オンラインでブレストを実施するデメリット
続いて、オンラインにおけるデメリットを解説する。
①同時に発言しづらい
会話に使用するツールによっては、ブレスト時において重要な同時に発言しながらのコミュニケーションが苦手な仕組みである可能性がある。特に会議ツールはブレストを目的に作られたものではないため、備わっている機能によっては同時発言が難しく「発言するタイミングを見計らわなくてはならない」と不便を感じることも。
そもそもオンラインコミュニケーションに選択しているツールの問題であることも多いので、使用しているツールの設定や音響機器など、環境面も合わせて一度確認・見直しするのも良いだろう。
②アイデアをビジュアル化しづらい
オンラインでは、ブレスト中、手書きのように柔軟に図を用いたり、みんなで書き込んだりするアクションが取りづらい。
リアルと同じようなブレストを実現するためには、オンラインホワイトボードが役に立つ。アイデアをふせんで書き込んだり、それぞれを矢印でつないだり、枠で囲ったり、並び替えや収集ができる。
③通信環境に左右される
テレワーク場所の通信環境はオフィスほど安定していないことが多い。ブレスト中に突然音声が聞き取りづらくなったり、画面共有にタイムラグが発生したりする可能性もある。特に、大人数が参加するオンライン会議では、デバイスへの負荷が大きくなるため注意が必要だ。
ツールを選ぶ際は、大人数が同時接続する前提で、機能や品質をチェックすると良いだろう。oViceなら、同時に複数人が簡単に画面共有でき、快適なディスカッションが可能だ。
④集中力が途切れやすい
オフィスでは目の前や隣にメンバーがいるため、意識をブレストへ向けやすいが、自宅ではプライベートと完全に切り離しづらくなってしまう。
他のタスクに目移りしたり、宅配便が届いて中抜けしたりするなど注意散漫になる可能性がある。チャットツールの通知は切るなどの工夫が必要だ。
効果的なブレストを実現するための5つのポイント
対面とオンラインで共通して意識すべきブレストのポイントを挙げる。
①会議の進行をリードするモデレーターを立てる
ブレストを成功させるためには、全体の進行と時間管理を担うモデレーターが必要だ。会議の冒頭でブレストのゴールを共有し、個人ワークやアイデアの展開、意見交換、まとめなど、各フェーズの時間配分を決め、会議を計画的に進めよう。
②アイスブレイクで話しやすい雰囲気をつくる
柔軟な発想や活発なコミュニケーションを促進するため、いきなり本題に入らず、アイスブレイクで場をあたためることも軽視してはならない。世間話や時事ネタ、日常で起きたことなどざっくばらんに話すと、かしこまった雰囲気が無くなり、フラットに話しやすくなるだろう。
また、遊び心あるUIのバーチャルオフィスは、フラットな会話だけでなく創造性を掻き立てる効果もあり、ブレストにぴったりだ。
関連記事
たかがレイアウト、されどレイアウト“空間で人の気持ちを変える”oVice活用事例16選
③個人でアイデアを書き出す静寂の時間を確保する
ブレストでは大人数の時間を確保しているため「何か気の利いたことを発言しなくては」「沈黙の時間がもったいない」などと思いがち。だが、アイデア出しの時間では、まずは個人がじっくり考え、言語化し、書き出していこう。
④メンバーの発言にリアクションを返し盛り上げる
どんな意見に対しても、歓迎し、反応を返すことがポイントだ。対面であれば表情や身振り手振りで伝えられるし、オンラインであればスタンプやリアクションを使うことで、文字よりも感覚的に相手へ気持ちが伝わるだろう。
こういった意識や行動は発言者のモチベーション向上につながり、新たなひらめきをもたらすかもしれない。
関連記事
oViceにログイン出社したら、まずやってみよう!【oVice利用ガイド】:リアクションの種類と効果
⑤出たアイデアは可視化して視覚的な刺激を与える
会議中に出たアイデアがそのまま流れていってしまわないように、ストックし、メンバー全員が目を通せるようにしよう。その際、文字の羅列ではなく、表や図、色分けをすると直感的に把握しやすい。それぞれ独立した意見だと思えるような場合でも、デザイン性を少し加えるだけで相互関係が見えやすくなる。アイデア同士のかけ合わせにより、ブレストがさらに進化するだろう。
コツを押さえたブレストでイノベーションを創出
ブレストは、ただ大勢で意見をアウトプットし合う場ではない。効果的に進めるためのルールに則り、各自が意見を生み出す姿勢や受入れる姿勢を徹底しながら実行することが重要だ。
対面とオンラインのそれぞれに良い点があるため、それを踏まえた上で手段を選ぶと良い。企業競争力を持続させるため、より多様性ある人材の意見を吸収し、スピーディーに戦略へと活かしたいと考える組織は少なくないだろう。もしあなたの組織がそうならば、集まれる場と日時を調整する手間が不要なオンラインブレストの活用をおすすめする。
バーチャルオフィスなら、同じ空間にメンバーで集い、リアルの場で感じるような空気感や熱量を味わいながら活発なブレストが可能だ。バーチャル空間の背景をポップなデザインにすれば、既成概念を超えたアイデアも生まれやすくなるかもしれない。
関連記事
オープンイノベーションとは?大企業が取り組む理由と事例をわかりやすく紹介
バーチャルオフィスで実現する、新しい働き方と社員のエンゲージメントとは? この資料では5社の事例から、それぞれのワークプレイスで抱えていた課題感とovice導入の結果をご紹介しています。