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ハイブリッドワークで欠かせない「言語化能力」向上ガイド

以前、テレワークでの信頼関係構築の鍵は「テキストコミュニケーション能力」であると紹介していたが、伝えたい物事をテキスト化(文章化)にするには「言語化能力」が必要だ。

言語化能力を鍛える機会やその教育を受ける機会をなかなか持たずに大人になってしまっている人が多く感じる。

特に現在では、SNS主導の世の中となり、写真や動画などの非言語ツールで人と繋がることができるようになった。つまり、言語化能力を鍛える機会は更に減っている。

しかし、3年前からスタートしたテレワーク・ハイブリッドワークでは、コミュニケーションの中心がテキストであり、活字でのコミュニケーション能力が大切になる。

あなたの人柄がいくら良かろうと、気を遣える女神であろうと、天才肌の技術者であろうと、テキストコミュニケーション能力・言語化能力が低ければ厄介がられてしまう可能性が高い。

わかりにくいメールやメッセージを送りつけてくる人に対して抱かれるイメージは、「言ってることがよくわからない人」である。そう、文体で与えるイメージがあなたの人物像そのものになってしまうのだ。

そこで今回はハイブリッドワークで役立つ「言語化能力向上マニュアル」を紹介する。


もっと、コミュニケーションが必要…

Step1:自分の考えをアウトプットする

日本の義務教育を受けてきた限り、最低限の言語化能力は必ずある。

そこでまず、今ある能力を使ってアウトプットをしてみよう。例えば最近読んだ本や記事についての感想をTwitterに投稿してみるなど何でも構わない。

そしてある程度の時間を置いた後、その投稿を読み返してみよう。そうすることで、今現在欠けている能力を知ることができる。

<チェックポイント例>

  • 「スゴい」「ヤバい」ばかりを連発してしまう。 → 語彙力が足りない
  • 140文字に収まらない、長文になってしまう → 話をまとめる技術が足りない
  • 時間がかかってしまう → 単に言語化に慣れていない

Step2:足りない能力を伸ばす

Step1で足りない能力を把握した後は、その箇所を鍛えよう。

<例>

  • 語彙力が足りない  → インプット(読書など)をして形容詞のボキャブラリーを増やし、使ってみる。
  • 話をまとめられない → 要点から話す癖をつける。(詳しくはStep4で紹介する)
  • 単に言語化に慣れていない → アウトプットの量と数を増やして慣れる。

Step3:複雑化表現をシンプルにする

次に、文章を自分で複雑化させてしまっていないか見直してみよう。

例えば「二重否定」はユーモアを添えたいときなどに便利な表現法の一つだが、伝えたい結論が曖昧になり、誤解を招く必要もある。Slackなど業務の連絡をする際には使用を避けよう。

「上司から9時までに連絡が来ないとは限らない」よりも、「上司から9時までに連絡が来るかもしれない」の方がクリアでわかりやすい。このちょっとした差が読み手のストレスを減らし、わかりやすく丁寧な印象を相手に与える。

Step4:相手が聞きたい順で話す・書く癖をつける

話し言葉・書き言葉ともに残念な説明をする人の特徴の一つは、「考えた順番で説明してしまっている」ということ。自分が頭の中で「考えた順番」ではなく、相手が「聞きたい順番」で説明することが重要だ。

以下に<伝わる説明の順番>を紹介するので、参考にしてほしい。

①事前情報

よく「結論から話せ」というセリフを聞くが、現実問題、結論から話せないシチュエーションもある。相手に事前知識のない状態で結論から話すと、誰も話についてこれなくなるので注意しよう。

例えば新しく入ってきたチームメンバーに対してクライアントの話をするときも、過去の経緯など必要な情報を共有しておく必要がある。

②結論・主張

次に結論・あなたの主張を伝える。

③理由

ここでようやく、あなたの意見や理由を伝える。

④事例・具体例

具体例を説明することによって、なぜあなたがその結論・主張をするに至ったのかという流れを相手が理解することができる。ここでもできるだけ簡潔に、具体的な説明を心がけよう。

⑤結論・主張

説明が長ければ長いほど、リスナーは出口を見失いやすくなる。「結論なんだっけ?」とならないように、最後にもう一度結論や主張を伝えよう。

<参考>「……で?」と言われがちな人必見!『一番伝わる説明の順番』とは|type

Step5:あなたの文章が与える視覚的インパクトを認識する

Harvard Business Review の記事「ペースを落としてマシなメールを書こう」によると、文章が与える視覚的なインパクト(印象)を客観的に認識することは、テキストコミュニケーション能力を向上させる上で必要不可欠だという。

もちろん、長ったらしく温かい文章を毎回のSlackで送る必要はないが、部下からの「資料一式お送りしますので、お手隙にご確認お願いいたします!」というメッセージに対して、「了解。」という一言のみでは、感謝は伝わらない。

資料の準備が大変だった場合、部下は間違いなく「こんなに頑張って準備したのに、了解の一言で片付けられてしまうの…!?」と不満の気持ちでいっぱいになっているはずだ。

「了解、ありがとう!」など、一言付け加えられているだけで相手に与える印象は変わる。上司部下の関係も、こういった小さなやりとりが想像以上に影響してくるので、普段冷たい文章でテキストコミュニケーションをしてしまっている場合、注意が必要だ。

おそらく、平成以前、義務教育を受けてきた私たちにとって、圧倒的に不足しているものは言語化をすることへの「慣れ」と「経験」だ。

言語化能力が高ければ高いほど、ハイブリッドワークを円滑に進めることができるが、小説家並みのボキャブラリーは使わないので(逆に鬱陶しがられるだろう)、ハードルが高いと感じる必要はない。

ぜひこのマニュアルを参考にしてもらえたら嬉しい。

<参考>
Slow Down and Write Better Emails |Harvard Business Review
わかりやすい文章を書く12のコツ|AiDEM
テクニカルライティングの基本|サイボウズ


  • 社内コミュニケーションが組織にもたらすメリット
  • コミュニケーションを活性化できる仕掛け

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YUI SASANO
フリーランス歴10年目、現在25歳の作詞作曲家/SNSマーケター。アーティストや文化人、企業のSNSプロデュースの他、コラムニストとしても活動している。